その後の彼
ついに、憧れの場所での生活や! 楽しみやなぁ。
2014年4月。翼は憧れのE大学で、日々勉強をしている。周りは一学年下の人ばかりだが、彼は気にせず、いろんな人と積極的に関わろうとしている。また彼は、馬が大好きなので馬術サークルに入り、そちらでの活動も楽しんでいるところだ。
また、翼の住んでいる場所はアパート。今までずっと親にやってもらっていた、掃除や洗濯、料理も自分でしなければならないので大変だ。しかし、親から色々と言われずに済むので、その分彼は自由でのびのびとした生活を送ることができている。
そんな大学生活にも少しずつ慣れ始めた、5月のある日。アパートの自室にて、朝食を済ませた頃だった。突然、テーブルに置かれた彼のスマホが鳴った。手に取って画面を見ると驚いたことに、未来からの電話だったのだ。彼は、一体どうしたのだろうと思いながら、電話に出てみた。
「はい、もしもし。」
「ああ、永田。久しぶりやけど、今ってどうしてるん?」
「俺か? 俺は今な、京都を離れて、E大学で勉強してるねん。馬術サークルにも入って、充実した日々を送ってるで。」
「えー、そうなん。山登りに行こうって話しようと思ってたのに。」
「阪本、山登りに行くってこと、まだ覚えてたんか?」
「当ったり前やん。忘れるわけないやろ。でも永田がこっちにいないんやったら・・・。そうや、夏休みとかに帰省で京都に戻ってくる予定ってある?」
「夏休みか。そうやなぁ、多分帰省すると思うわ。」
「マジで! 夏休みやったらウチも日程合わせやすいと思うし、その時に山登り行こうや。ウチ、山ガール募集しとくし。」
「分かった。じゃあ約束な。俺、楽しみにしてるから。」
「OK。楽しめ人生。そしてグッジョブ。というわけでじゃあねー。」
「おおっ(笑) じゃあな、阪本。」
そう言って翼は電話を切った。久しぶりに未来の声が聞けて、翼のテンションは上がった。
大学生になっても相変わらず、女子に相手にされることは少なく、仲の良さそうなカップルを見かける度に、羨ましいと感じる翼。そんな彼だからこそ、この時はすごく嬉しかった。
「よし、俺もまだまだ捨てたもんじゃないぞ!」
翼は上機嫌で、学校に行く支度を始める。
この物語は、私の実際の浪人生活を記したものですが、大部分は改変してあります。
まず、予備校で真面目に勉強する場面。実際私は、予備校の自習室ではあまり勉強をしていません。もしかすると、寝ていた時間の方が長かったぐらいかもしれません(笑)
そして、第一志望大学に合格する場面。先述の通り、私は真面目に勉強をしていません。さらにセンター試験直前のショックからも立ち直りきれず、結局別の大学で勉強しています。
そして現在の私ですが、この物語のように冴えた人間になることはできず、相変わらずつまらない大学生活を過ごしています。恋の気配なんかもありません。あっ、でもこの物語に出てきた”未来”に当たる人とは、今でもたまに連絡を取り合う仲ではありますがね。彼女だけが唯一といった感じです。
最後になりますが、本当にここまで読んでくださってありがとうございます。私はこの小説の主人公のように、少しは真面目に頑張って、自分の理想とする人生を切り開いていければいいなと思っています。
2016年2月26日 京口利希斗