095
目覚め 意識が徐々に覚醒する。気だるさを残しつつ 瞼を開き ぼやけた視界はゆっくりと焦点を結ぶ。
「知らない天井・・・・・だな・・・・」
はっきり映った視界には 清潔感のある白い天井が見えた。体を起こそうとすると 暖かく優しい温もりを感じた。見ると マリアが 椅子に座り俺の手を握りながら スヤスヤと寝息をたてている。
ハッキリとは覚えていないが 激しい頭痛に襲われそのまま 意識を失ったのか。
とすれば ここは病院か・・・?
そう思い マリアが起きてしまいそうなので体を起こす事は諦め 周囲を見回すと やはり病室のようだ。
何故 こうなったんだっけ?
マリアに 暴漢への対応を咎められたんだ・・・・どんな話をしたか・・・・。
思い出せない・・・・思い出そうとすると 軽く頭痛がしてくるので止めた。
思い出せないが 自分のやった事は ハッキリと覚えている。あれは どう考えたってやり過ぎだ。マリアの言う通りやりようはいくらでもあったのに 考えるのを放棄して力に走った。
俺は 地球の魔法使いの魔力の低さを知り 見くびり 調子に乗っていたのだろう。魔法だけじゃない 戦闘や身体能力も 地球のレベルを見下していた。
驕り 慢心が、心を支配していた。俺は力を使いたいわけではない。誰かを助け 皆を笑顔にしたい そう思い そう在ろうとしてきたはずなのに・・・・。
マリアの言う通り 力に溺れていたのか。
人間は 強くはない。 強くないからこそ 力を手に入れれば使いたくなる。しかし 俺の手に入れた力は 国を世界を滅ぼす事ができるほどの物だ。
改めて 自分の人外の力を見詰め直し 今回の一件を反省する・・・・。
「んっ・・・んん~~~~~」
ベッドに横になりながらも自分を見詰めなおしていると マリアが起きたようだった。
「おはよう」
マリアの頭をそっと撫でながら 言うとマリアは驚きの表情の後 涙を浮かべ上に覆い被さってくる。
「ナオキさん!ナオキさん!! 良かった・・・・良かった・・・・・もう二度と目を開かないかと思いました・・・・本当に良かった・・・・・」
「ごめん、心配かけたね。もしかして 結構 長い間 目を覚まさなかったのかな?」
「はい、三日も目を覚まさなかったので・・・・私・・・・私が酷い事を言ったから・・・・だから ナオキさんが倒れられ・・・・ごめんなさい・・・・・私は・・・・本当にごめんなさい・・・・」
改めてマリアを見ると 目の下にはクマでき目も赤く腫れ上がっている。今 涙目だからと言う訳ではないのだろう・・・・ずっと 責任を感じ 俺の身を案じ 泣き続けていたのだろう 酷い顔をしている。それもこれも 俺の責任なんだ。マリアは悪くない・・・・なのに・・・・。
「俺のほうこそごめん!マリアは悪くない 悪いのは俺なんだ。マリアは 俺にそれを気付かせてくれた。それに 倒れたのと この話は別の問題だと思うし」
「ですが サヤさんも 体に異常はないので精神的な物だろうって仰っていましたし」
「だとしても それは俺の弱さがもたらしたことだから マリアが気に病む事じゃないよ。
・・・・・・
俺って できた人間じゃなし 強くもない。だから また俺が道を外しそうになったら マリアが注意して欲しい。その・・・・これからも 愛想を尽かさずに そばにいて欲しい・・・・・」
「ナオキさん・・・・はい・・・・いつまでも あなたのお側に・・・・」
見詰めあい 二人は自然と唇を重ねていた。
どれくらいの時間をそうしていたか 分からない。マリアは 服をパタパタと 整え顔を赤らめながら 照れた様子で言った。
「あの お医者様や 皆さんに知らせてきますね」
部屋を出ていくマリアを見送り 自分の唇にそっと触れた。
まだ、暖かく柔らかな感触が残っている。
これからのことも 考えなくては・・・・
マリア
遥
シオンさん
サヤ
それと 踊子さんのことも
向こうの世界では マリアと結婚し シオンさんとサヤを側室に なんて計画もあったが この世界では そうもいかない。
誰かを選ばなくては いけないのかな・・・・?
そう考えている自分が傲慢にも思えるが 皆が好意を持っていてくれることも 事実だろう。
そして 俺自身も 彼女たちのことを愛している。
いっそ 彼女たちに決めてもりうか?いや、それは酷と言うものだし 無責任か。
あの頃も 同じ事で悩んでいたよな
タラクシャ城にいた頃を思い出す。その時もどうすれば良いか分からず 誤魔化し 時間だけを費やしていた。最終的には みんなに 気持ちを打ち明け マリアの案に乗ったのだ。
まあ、実行されないまま こっちに帰って来てしまったわけだけど・・・・
また、みんなで相談するか。
その後 しばらくすると 医者が走ってきて 真っ青な顔で 問診やら 検査やらを受け二日後に経過観察ということで 退院した。
聞くと 倒れたあと マリアはすぐにサヤを呼び診察してもらったが 原因は分からず その間に呼び出された遥や踊子さんも合流。サヤでもお手上げだったため救急車で ひかりグループがやっている病院に担ぎ込まれ そこで医者たちは 俺に何かあればと踊子さんに 相当 脅されていたらしい。
医者たちも可哀想に・・・・。
ちなみに サヤは検査のあいだ ずっと俺に付き添っていたと言うか俺を検査している医者に付き添っていた。
MRIや最新の検査機器を見て目を輝かせ
「生きた人間の輪切りを見れるとは思わなかったわ!」
興奮して 似たようなことを何度も聞かされた。
家族にも 皆にも心配をかけた。目覚めた報せを聞き こまちが泣きながら飛び付いて来たのには驚かされたが 他のみんなも概ね似たような反応だったと言える。
俺は 自分が思っている以上に皆に愛されているのだな。
そう思うとこれまで以上に 皆を笑顔にできるように しなければと 心に誓ったのだった。
マリアは サヤとシオン 自分の友と再開でき 更に共に生活ができると 喜び、そして浮かれていた。
ナオキさんは 出雲さんと交渉し 家を手に入れたと言っていましたが一体 どの様な交渉をしたのでしょう?王国では 領地 建物は全て 国のものであり 住むには 役所に届けを出し 家賃は税として支払いますが この国の仕組みは違うようです。王も居ませんし。
力任せに 脅すような事をしてなければ よろしいのですが・・・・
シオンとサヤさんを迎えるに当たり 少しは準備をしなければなりませんでした。
ナオキさんは そのまま往き来しようとしていたようですが それでは また、衣服が無くなってしまいます。今回は 遥さんや踊子さんも同行すると言うのに・・・・
しかも 忘れていたと仰っていましたが 目がとても いやらしくなっていました。あれは絶対 わざとです。
そんなに 見たいなら いつでもお見せいたしますのに・・・・それに私はそれ以上のことも・・・・キヤッ
話が逸れました。
そんなわけで 買い物に行くことになりました。
シオンやサヤさんは 町並みに驚き そして 飛行機を見て ドラゴンとか 言うので とても面白かったです。
?
私は過去を振り返らない女です!
でも ナオキさんに いじられました。ナオキさんは意地悪です。
ショッピングモールに着き まずは下着のお店です。
シオンの胸は以前 お風呂を共にしたときに確認済みです。僅差ではありますが 私の勝ちです。サヤさんの胸は・・・・
フッ
私の圧勝ですね。
サヤさんは 私をジロリと睨んできました。
でも 私の勝ちですからね・・・・
そんな 見えない攻防をしていると お店の店員さんは 仰いました。
「大きさなんて気にするのは 最初だけよ。男を虜にするのは 大きさじゃなくてテクニックよ!」
テクニック・・・・・
どんな技があるのか 後でネットで調べてみましょう!
服も買ったところで 昼御飯になりました。
私の提案でハンバーガーになり 私とナオキさんとで 買いにいくことになりました。
飲み物を注文するとナオキさんが 悲しい目で私を見ています。
ナオキさんには 私の計略がバレて・・・・
いえ、そんなはずはありません!私は努めて平静を装っているのですから!
私は バレないように 二人を観察しました。二人は何かを警戒しているようでしたが 初めての物を食すのですから 当然でしょう。
ついに その時が来ました!
二人は同時に コーラを吸い込みました。
あっ・・・・そんなに勢いよく吸い込んだら・・・・
心配は的中し 二人は 同時に吹き出しました。
ナオキさんの顔をめがけて・・・・
何故でしょうか?ナオキさんは 少し嬉しそうに見えます。
とは言え ナオキさんは 手顔を洗いにトイレに発たれました。
それにしても 遅いです。それに 僅かですが魔力の反応もあります。また、トラブルに巻き込まれているのでしょうか?ナオキさんの事ですから心配はないのですが・・・・。
ようやく 戻ってこられたナオキさんからは 少し血の臭いもします。それにお顔にも血が・・・・。
どうなのでしょう?
感じた魔力は ほんの僅か。その相手に返り血を いえ これまで ナオキさんが 自身にも相手にも血を流すような戦いをする事など無かった。
あっ でも 響のときも・・・・。
それに 響が使った魔法を消すときにも力任せでしたね。
最近 ナオキさんの力の使い方が 雑と言うか 膨大な力に酔われているのでしょうか?
ここは ナオキさんに 注意するのが 妻として役割なのでしょう。
ナオキさんは 自覚はあるが 納得もできない、自分にも言い分があると言った感じでしょうか?
ですが、ナオキさんの力はあまりに強大。これくらいはと思って力を使って行けばいずれ取り返しのつかないことになるでしょう。
シオンに止められましたし 出先でする話でもないのでしょう。家に戻ってから もう一度 話してみましょう。
ナオキさんならきっと分かってくれるはずです。
家に戻りもう一度 ナオキさんと話をしましたが、その途中 ナオキさんは 頭を押さえ倒れました。
私は動揺しどうすればよいのか分かりません。サヤさんを呼び 診てもらいましたが原因は分からないと、精神的なものではないかと
私が追い詰めたからだ・・・・
その後 病院に運ばれましたが 一向に意識は戻りません。
私の 私のせいでナオキさんは・・・・
病院の方にも皆にも付き添いは必要ないと言われましたが そうはいきません。ナオキさんが こんな姿になったのは私の責任です。
ナオキさんの顔を見ていると涙が止まりません。
私は どうすればよいのでしょうか?
私には どうすることもできません。
私には ただ こうやって手を握ることしか・・・・
入院して三日目 疲れも溜まりつい 手を握ったまま 寝てしまいました。
私が目を覚ますと ナオキさんが優しく話しかけてきました。
これは夢でしょうか?
そして 子供をあやすように 頭を撫でてくれました。
いえ、夢ではありません!
ナオキさんが・・・・ナオキさんが・・・・!
話をすると ナオキさんは いつもの 優しいナオキさんに 戻っていました。
後の事は よく分かりません。気が付けば 私とナオキさんは 唇を重ていました。
盆休みに入り実家に戻ったり 遊びに出たりで 更新は難しくなりそうなので 次話の投稿は休み明けになりそうです。これからもよろしくお願いいたします。




