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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第2章 地球編
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「コホン」


マリアが ジトッとした視線と 咳払いをプレゼントしてくれた。周囲の雰囲気に気付き シオンさんと慌てて離れ距離をとる。


「あ、あの 姫様 お久しぶりです」


シオンさんらしからず 動揺し あたふたする。

マリアは気にすることもなく シオンに近づき 抱き締めた。


「姫様!?」


「シオン 遅くなってごめんなさい」


一瞬の驚きの表情もすぐに 優しいものに変わる。


「・・・・姫様、必ずまたお会いできると信じていました 」


積もる話もあるが 衆人環視の中 いつまでもこうしているわけにもいかない。俺が、言えることではないが・・・・。タラクシャ軍の人々が ざわざわしているのが ここまで感じ取れる。


「さあ、皆の所に行こうか」


五人で タラクシャ軍の元へと歩いていく。フードを取り 素顔を晒した俺たちが近づくと気付いた人達から ちらほらと声が聞こえてくる。


「マリア様?」

「勇者様?」


「勇者様が 帰ってきた!」

「また 勇者様が 国を救ってくれた!」


一瞬で 広まり歓声が溢れかえった。人々に囲まれ次々に声をかけられるなか 一人の男が人垣をかき分け 俺たちの前まで来ると 跪く。


「マリア姫 勇者殿よくお帰りになりました。陛下もお喜びになられるでしょう。

・・・・・・

その・・・・私はお二人に何と言えば・・・・」


「マキシムさん、分かっています。それに陛下がお許しになられたのであれば 俺達から言うことはなにもありませんよ」


「勇者殿・・・・ありがとう・・・・」



狂喜乱舞する 兵達を陛下に急いで報告しなければならないと何とか宥め城へと入る。

ようやく城の中に入り落ち着いたところで 踊子さんが ニコニコ嬉しそうに言った。


「直輝君は本当に勇者だったのだな!我が伴侶として申し分ないな」


「信じてなかったくせに」


「心外だな。直輝君が勇者なのは信じていたぞ!ただ 異世界と言うのが 信じ切れなかっただけだ」


「あっ やっぱり 信じてなかったんだ」


今度は遥が 先日の続きとばかりに踊子さんをからかう。


「いや・・・だから それは・・・・ あーーー!もう そのことはいいじゃないか。現に私たちは 今 異世界にいるのだし」


そのやり取りを聞いて 皆から笑い声がこぼれる。

マキシムさんは然り気無く後ろを窺い 尋ねてきた。


「そちらのお二人は?」


「元の世界の友人です」


「友人ですか・・・・」


と、呆れたように呟く。そんな居心地の悪い空気もさめないうちに 一人の女性が 廊下を全力で走り そして 飛んだ。言葉通り 飛んできた女性を受け止める。


「・・・・サヤ」


「絶対に 迎えに来てくれると信じていたわ」


サヤのことだ この戦争に絶対参加していると思っていた。傷付いた人を見捨てる事などできるはずもないのだから。サヤの匂い サヤの感触を堪能しつつ 抱擁していると またもマリアが・・・


「コホン」


今度は マリアだけでなく その場に居る 皆にジトッとした視線で見詰められ 慌てて距離を取る。マキシムさんまでそんな目で見ないでください・・・・。




そんなこんなで、陛下との謁見も何とか済ませる。途中 親子の再会に 貰い泣きしそうになって耐えていたことは内緒だ。

驚いた事に 俺の部屋、あの貴賓室は健在だった。俺の私物もそのままに しかも埃一つなく掃除まで行き届いている。シオンさんを見ると 少し気恥ずかしそうに


「いつナオキ様がお帰りになっても良いように 毎日 掃除は欠かさないでいました」


「シオンさん・・・・」


態勢が整うまで 迎えに来るのを躊躇っていた俺を罪悪感と恥ずかしさが襲う。シオンさんやサヤは ずっと俺のことを思い ずっと待っていてくれたというのに・・・・。


「兎に角 座って話しましょうよ」


先程まで 親子の再会で 泣きじゃくっていたマリアは ウサギさんの目をしながら 言った。


「では、私は お茶を入れてまいります」


「あっ じゃあ私 手伝います」


一旦ソファーに座った遥はすぐに立ち上がろうとするが シオンさんはそれを止める。


「いえ、結構です。お客様に 給仕を手伝わす事などできません」


「でも・・・・」


「私は 侍女ですから」


出た!シオンさんの伝家の宝刀。でも 以前のようにクールで澄ました顔ではなく とても嬉しそうな笑顔だ。と言っても シオンさんの 微妙な表情の変化がわかるのは俺くらいだが・・・・。


「直輝 良かったのかな?」


心配そうに聞いてくる遥に 俺達にお茶を淹れれるのが嬉しいんだと だからやらせてやってくれと 説明した。


「シオンの淹れてくれるお茶はとても美味しいのですよ」


マリアもまるで自分のことのように 嬉しそうに付け加える。マリアも 日本で気丈に振舞ってはいたがやはり 寂しかったし 気苦労も多かったのだと思う。久しぶりに帰ってきて嬉しいのだろう。

シオンさんは手際よく 自分のものも含め全員分のお茶を淹れ ソファーに腰を掛けた。静かな部屋で皆 お茶をたしなむ。やっぱり、シオンさんのお茶は最高だ。

体も気分も落ち着いたところで・・・・


「サヤ、シオンさん 置いていってごめん!それから迎えに来るのが遅くなってごめん!」


サヤとシオンさんは顔を見合わせ鳩が豆鉄砲を食らったような表情をしている。二人には 置いていかれた事に 腹も立てたが止むを得ない事情があったことは教えられている。 大陸の存亡と自分の気持ちを量りに乗せるくらいの判断力は備えいているし 迎えに来る事にしても10年や20年くらいは覚悟していたのが 1~2ヶ月で来るとは思ってもいなかったのだから ナオキに謝られても反応に困ると言った感じなのだ。


「そんな!謝らないでください・・・・私達は 事情は理解していますし こんなに早く迎えに来ていただけるなんて思ってもいませんでした。こちらが お礼言わなければないませんし ナオキさんも迎えに来るために相当無理をしたのかと思うと私たちが 謝らなければなりません」


「無理なんてしてないから 気にしないで・・・・」


マリアの 視線が怖い。本当は すぐにでも来れたのを 俺の事情で、引き伸ばしていたのだから。


「で、ちょっと聞いてもらいたいのだけど・・・・向こうでの生活も結構 大変で・・・・その もう少し・・・・」


「もう 置いていくなんて言いませんよね?」


言いかけた俺の言葉を 鋭い視線のシオンさんが遮った。






「というわけで 住むところを何とかできませんか?」


渋い顔で目の前に居るのは出雲さんだ。

俺達は タラクシャ城で、一泊して次の日には地球に帰り 俺はその足で 出雲さんと面会している。当然と言うか シオンさんもサヤも付いてきてしまった。総勢六人の男女が俺に部屋に入ると 座る場所すらないし あと二人 うちの家で養うのも無理があるだろう。踊子さんに 「兄上に相談してみれば」と、言われ 頼る人も他に思い付かず すがる思いで出雲さんに会いに来たのだ。


「なぜ 俺が、そんなことをしなければならない?」


「マリアもシオンさんもサヤも 異世界人ですよ!魔力も高いし 強力な魔法も使える。WWAでも監視しなければならないんじゃ?」


「別に 家を提供しなくとも監視はできる」


「む~~~~」


「そもそもだ、節操なくあちこちの女に手を出すからだろう。しかも その中に妹まで居るのだ。俺が、君に施しを与える義理はないと思うが?自業自得と言うやつだ。自分で何とかしたまえ!」


・・・・はい。仰る通りです。返す言葉もありません。

だが、ここで引くわけにはいかない。自分で何とかしようと考えた結果が出雲さんに頼ることなのは 情けない限りだが 愛する人のためだ、恥も外聞も捨てる覚悟だ!


「では、取引しませんか?」


「どんな取引だ?」


「向こうの世界から持ち込んだ物と家を交換しませんか?」


「ふざけているのか?」


ふざけてなどいない。俺は 一本の剣を顕現させ 出雲さんに手渡した。


「これは?」


「魔力を与えることで 切れ味や耐久度が飛躍的に向上する剣です」


「すぐに住む所を用意しよう」


はやッ!

数秒前には 自業自得とか妹がどうとか 言っていたのに・・・・。

ここに来る前に 踊子さんから 俺がつい 口を滑らせてしまった 魔力剣に出雲さんが とても興味をいたいていると言うことを聞いていた。顕現魔法で消していた道具の中に 異世界に召喚され間もない頃 練習用に貰った 国軍支給の剣があったのを思い出したので それを提供したのだ。

・・・・・が、

この剣は 向こうの物価で考えると ちょっといい食堂で 家族で食事ができる程度 こっちの金額にしてみれば 1万円くらいに相当するのだろうか?つまり 何万人もいる国軍の兵士に支給するために 大量生産で作った 安物と言う事になる。

それを 家と交換といっている 俺って・・・・・。

しかも 自分の感情をあっさりと覆す 出雲さんって・・・・。


その後 出雲さんは 携帯を手に一旦部屋を出た。待つこと 10分くらいだろうか 戻ってきて早々


「家が用意できたぞ」


と、満面の笑みで 言った。


斯くして 直輝は家を手に入れることに成功したのだった。



私の中では 話がすごく 飛んだ感じでいます。本当は 陛下と謁見するとこや ナオキの自室でのやり取り その後 晩餐会など 用意していたのですが 話が モッサリ?するので 省略しました。そのうち 90.5話 みたいな感じで 作り直してみようと思っています。

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