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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第2章 地球編
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扉の前に立つと 静かに開く。目の前の光景は WWAの指令室とは違い 実験室いや、何かの工場のような作りになっている。

正面の少し高くなっている所にある 大きな椅子にマリアは座らされていた。うなだられている様子から意識が無いようだ。そしてその椅子を透明のカプセルでスッポリ被せ 上部には 配線やパイプが出ていて天井へ伸びている。


マリアの様子を見て 俺の理性の糸が音をたて数本き切れたように思う。


更に先に進むと 操作パネルに向かい 座っている者が居る。俺達の足音に気付くが 振り向くこともせず話だす。


「遅かったな。虫けらの処理にどれだけの時間を使うつもりなんだ?」


この声は 響!相変わらず 不遜な男だ。


「残念だが、お前の仲間は 外で昼寝中だ」


「ん?」


響はゆっくりと椅子を回転させこちらを向き 一瞬ではあるが 驚きの表情を見せるがすぐに 下卑た笑みを浮かべる。


「おやおや まだ、生きていたか。虫けらとは思っていたが このしぶとさはどうやらゴキブリだったようだな」


踊子さんをチラリと見た後 更に続ける。


「なるほど。またも舞姫に助けられたと言う事か。桜と言ったかな?わざわざ 高価なジェネレーターを貸してやったのに・・・・所詮 無能は無能・・・・。ああ、それとな 外で昼寝をしている奴らは 仲間と思ってもいないし思われたくもないな。あれほど 出雲と舞姫には 油断せず事に当たれと言い含めたのに 5人がかりで小娘一人殺せないとは・・・・」


「貴様が 桜たちを!この外道がっ 許さんぞ!!」


どうやら 踊子さんの理性の糸も切れたようだ。今まで 見せたこともないような とても怖い顔をし 刀を抜いた。


「おお 怖い怖い。しかし 舞姫よ 許さなければ どうすると言うのだ?俺を殺すか?お前にそんなことができるのかな?くっくっくっ・・・・」


「私が お前を殺せないとでも?いや・・・・お前の言う通り 私にはお前を殺せないかもしれないが お前を倒し 一生 どこかで幽閉するくらいの事はできるぞ!狭い部屋で一人でできる事・・・・そうだな 編み物の本でも 差し入れてやろう」


踊子さんも 響の挑発に負けじと口撃するが舌戦では 響のほうが一枚上手のようで 下卑た笑みはそのままに 更に言葉を重ねた。


「それは ありがたい話だが 全ては 私を倒せたらと言う事だがな。しかし 忘れているようだがここは 俺のテリトリー 何の準備も仕掛けもないとでも 思っているのかな?」


踊子さんは 熱くなり過ぎている。冷静さを欠けば それこそ響の思う壺だ。


「はいはい、踊子さんも 少し落ち着こうか。響、無駄話はもういいかな?そろそろ マリアを返してもらうよ」


「ゴキブリが 人の言葉を喋るな!耳が穢れるわっ!」


響は言葉通り 汚い物を見るような目で俺を睨みつける。


「お前のその人を見下した物言いも少し鼻に付いてきたよ。自分が最上の存在だとでも思っているのなら それは 大きな勘違いだぞ」


「俺こそが 最高の存在に決まっているだろう!ゴキブリが もう喋るな」


「何を言うか!お前だって アレティーアの構成員の一人に過ぎないではないか!」


落ち着きを取り戻した踊子さんが言った言葉も 響は意に介さない。


「俺をアレティーアの 年寄り達と同列に見てもらいたくないね。確かに 古式魔法には学ぶ点は多い。ジェネレーターでは再現できない大掛かりな魔法も存在するしな。だが 所詮は古式は古式、古いんだよ!俺は俺を最高の存在に高めるための努力を惜しまない。そのためなら年寄り達に諂い(へつらい)古式の呪文を習う事も ジェネレーターを研究 開発し 使うことも厭わないのさ」


響の言葉に 俺も踊子さんも言葉を失う。響は アレティーアの響ではなく 「響」と言う存在だったようだ。全てを吸収し糧とする姿は賞賛に値するのかもしれないが 奴の思想は褒められた物ではない。


「お喋りは終わりだ」


操作パネルに指を滑らせると 俺は跪き 踊子さんは 耐えれなくなり 床に這い蹲る。

重力操作!?

俺たちは 床に引き付けられ 上から抑え付けられる。


「だから言っただろう?仕掛けがあると・・・・そこで、この町がなくなる瞬間をじっくり見るがいい。くっくっくっ」


俺達に興味がなくなったかのように 椅子を正面に戻し パネルを操作しモニターに目をやると 小さく溜息をつき また こちらに向き直った。


「魔力の溜まり方が計算より 若干遅れているようだ。・・・・・・・そうだ!時間つぶしに 余興といこうか・・・・くっくっくっ」


響は ボタンを押し マイクに向かって声をかける。


「おい、こっちに来い」


すぐに扉が開き入ってきた人物を見て 俺は凍りついた。

遥だ!

虚ろな目をした遥が 俺を見ることもなく 蹲る俺の横を通り過ぎ 響の傍らに寄り添うように立つ。


「この女、お前の幼馴染らしいな。この女は俺が貰う事にした。俺のような優れた男の物になれるのだ お前も喜べ。はははははは!!!!」


「お前は・・・・お前は 遥に何をした!!!!遥に指一本触れてみろ 生まれてきた事を後悔するほどの苦痛を味あわせてやる!!!!!!!!!!」


理性の糸の束が この瞬間に全て 引き千切れた・・・・・そのことに気付く事さえできないほどに 逆上し 語気を荒げる。


「と、お前の幼馴染みが言っているが どうだ?お前が 誰の物かハッキリ言ってやったらどうだ?」


その言葉に 遥は響をじっと見つめ呟く。


「私の身も心も全てが響様の物です」


「だ、そうだ!ハハハハハ!!!彼女自身が俺を選んだのだ。お前は余計な口を挟まないでもらいたいな」


噛み締めた口の中に血の味が広がる。

遥に 遥に 俺の遥に!


「貴様・・・・殺す!」


「這いつくばって 何ができる!くっくっくっ・・・・そうだ、女。では、俺への忠誠の証として この男の前で 俺に口付けをしろ」


「はい。喜んで・・・・」


遥は 響に近づくと 目を閉じゆっくりと 顔を近づける。しかし 後 数センチという所で その動きは止まった。


「おや?これは驚いた!泣いているのか?俺の催眠下にありながら 抗うというのか。フム これが 愛の力なのか・・・・だが、愛など無意味!力こそ全てなのだ!!!!」


俺は、俺は何をやっているんだ?この程度の束縛など 僅かに力を出せば簡単に抜け出すことができる。踊子さんには すべてを見せると言ったのに それでもなお 遥にも踊子さんにも 自分の力を見せることを恐れている。人外の力を見せ 恐がられ失うことを恐れている。

俺の身勝手な思いで 遥を泣かせてしまった。苦しめてしまった。


「何故 俺がこの女を欲するか分かるか?この女は魔法こそ使えないが 内包する魔力は結構なものだ。だから この女に俺の子を産ませ後継者を作るのだ!魔王との間に生まれた子では 俺の力を超えすぎて コントロールできなくなるかもしれないからな、この女の魔力くらいがちょうど良いのだ。

ふふふふふ・・・・・今からお前に俺の精子を注ぎ込んでやる。おい、女!服を脱げ」


「はい・・・・」


遥は 「はい」と 返事をしたものの 大粒の涙を流し 俯き 服を脱いでいき 下着姿となった。


「思った以上に良い体をしているな。これは 楽しみだ!愛する幼馴染みの目の前で抱かれ 孕まされる気分はどうだ、最高だろう!さあ、こっちに来い」


遥は響のそばに行き向き合うが 響は遥の肩を掴みか体を反転させ 俺と遥が向き合うようにした。遥は俯きなおも 泣き続けている。響は後ろから抱き付き 片手をブラの中に滑り込ませ 胸を鷲掴みにし 反対の手は 下半身に伸びていき ショーツに指がかかる・・・・。


もう、無理・・・・。


「響!!!」


力を開放し 短距離転移で 遥の目の前に移動する。突然 姿が消え 目の前に現れた俺を驚愕の表情で 見詰める響。

オリハルコンの剣を顕現させ 一気に魔力を流し込み 一閃。


ボトッ


部屋の中に なんとも不快な音がこだまする。


「お前 どうやって!?」


余程 重力による束縛に自信があったのだろう、俺が一瞬で移動したことに驚きそして、音がした方に視線を落とし 今度は 遥の秘所を弄ろうとしていた手を見るや 悲鳴にも似た叫び声を上げる。


「俺の、俺の手が、手が、手が、手が、手が、手が、手が、手が、手が、手が、手が、手が、手がない!!!ウギャーーーー!お前、俺に 俺に何をした!!!!」


響は、抱き付いていた遥を突飛ばし遥は よろよろと 倒れ込んだ。一方 響は 地面に落ちた 自分の手首から先を 拾おうと 絶叫しながらしゃがむ。

俺は剣で響の手を切り落としたのだ。


「痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 痛い 貴様!!!よくも俺様の手を!!!!!」


響が自分の手を拾うより早く 剣でその手を突き刺し目の前に突き付ける。


「燃えろ」


呟き 更に剣に魔力を通すと 響の手は一気に燃え上がり あっという間に 灰になった。響は ただ その様子を 呆然と見ていることしかできない。ハッと 気が付き片手で 必死に灰を集める。


「お、俺の手が・・・俺の手が・・・俺の手・・・・お、お前は 一体・・・・?」


恐怖の色を瞳に宿し見上げ 俺は侮蔑の視線で見下ろす。


「俺を見下すな!俺は 最上 最高 最強の魔術師だ!!お前など 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺す 殺してやる!!!!!」


響は 魔術師としてのプライドからなのか 単に恐怖の対象をどうにか排除したいとの思いからなのか 心を奮い立たせ 体に動けと鞭を打つ。どうにか立ち上がり よろよろと操作パネルまで戻ると また、俺に対し重力操作の魔法をかけ 動きを封じようとした。


無駄な事を・・・・


そして 俺に片手を向けると 周囲に光が広がり また かざした手に収束していく。

レーザーの魔法のようだ。


「死ね死ね死ね 死ねーーーーーーーーー!」


手のひらに集まった光の粒子は 耐え切れなくなり俺に向け一条の光として放たれる。

その時!

遥が 俺と響の間に割って入る。


「直輝は 殺させない!私が守ってみせる!!」


光が遥の体を焼き 貫こうとした刹那 俺は遥の前に転移し彼女を抱き締める。光は 背中に直撃し 終息していく。

響は またも容易く重力の拘束を解いた俺に対してなのか 自力で催眠を抜け出した遥に対してなのか 驚きの表情を見せるが レーザーが俺に命中した事により表情を緩め歓喜の声を上げる。


「やったぞ!殺してやったぞ!! そうだ 俺は最強の魔術師なのだ。ハハハハハハハ!」


「勝手の殺すな・・・・遥 大丈夫かい?催眠が解けたんだね・・・・・本当に良かった」


「な、直輝こそ平気なの!?光の筋が直撃してたよね??本当に 平気なの?」


「ああ、大丈夫だ!服には 穴が空いちゃったけどね」


「な、なぜ・・・・・」


俺と遥のやり取りを聞き 俺が平然としている姿を見て 響は震え崩れ落ちるように その場にしゃがみ込んだ。 

俺の持っている 防御結界も踊子さんの物と同じように無色透明なのでこの攻撃は防げない。そこで とっさに思いついたのは 攻撃を受け 受けながら 治療 回復魔法をかけることだった。一度 攻撃を受ける訳だから 痛いものは 痛い。響の奴め!!

まあ 今 考えれば 攻撃を受けないで防ぐ方法などいくらでもあったのに・・・・。


やっと、終わったか。

後は マリアと踊子さんを助ければ 全て終了・・・・・だが・・・・・この後 二人には全部話さなきゃいけないよな・・・・。


ピーピーピーピーピーピーピーピーピー


突然 部屋中に アラート音が響き渡った。


 

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