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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第2章 地球編
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076

パシィィィィーーーーー!


小気味よい音がしたと思えば 踊子さんの魔法は発動せず魔力は霧散する。それどころか 彼女は頭を押さえ踞った。が、すぐに立ち上がり 振り向き叫ぶ。

学校では お淑やかとは 少し違うが 凛とした姿は 格好良いと言う形容詞がよく似合い 今の様子は 想像もつかない。


「何者だ!」


振り向き 踊子さんが叫んだ瞬間


パシィィィィーーーーー!


再び 気持ちいい音が響き渡る。そして 再び頭を抑え叫ぶ。


「何をする!!」


が、その襲撃者を睨みつけた瞬間・・・・


「・・・・・兄上? 何をなさるのですか!?」


片手に丸めたノートを持ち 腕組みをした 踊子さんのお兄さん、つまり俺が通う学校の生徒会長 出雲さんが 怒りを露わにし仁王立ちしていた。踊子さんは 出雲さんが手にしている丸めたノートで頭を叩かれていたようだ。


「何をなさるのですかではない!お前こそ 何をしている!!!」


「私は・・・・その・・・・魔女に囚われた同級生を解放しようと・・・・」


「馬鹿者!俺が お前になんと言って送り出したのかもう 忘れたのか!」


「も、申し訳ございませんでした・・・・」


踊子さんは 目にも止まらぬ素早い動きで土下座した。

あの 格好いい 踊子さんが 土下座した。

学校中から 舞姫とまで呼ばれている 踊子さんが 土下座した。


ああ、踊子さんのイメージが・・・・。


出雲さんは 妹を見下ろし一瞥すると 俺達の前まで来て 頭を下げた。


「妹が失礼をした。どうか許していただきたい」


俺とマリアは見詰め合い 再度 困惑する。それもそうだろう 結局 響という男と同じパターンなのだから。


「君は 俺の事を知っているな?」


知っているの何も 生徒会長様だ。3年振りだというのに この人の存在感は忘れることなどできるわけがない。踊子さんのお兄さんだけあって美男子なのは間違いない。その上 頭脳明晰 運動神経抜群で 生徒会長としての組織の運営能力も半端ではない。当然 女子からの人気も絶大だし、男子からも男としての憧れや 能力に対しても 一目置かれている。


「はい、生徒会長の出雲さんですよね?」


「ああ、それで間違いないが俺にはもう一つの顔がある」


「もう一つ?」


「俺は、WWA日本支部の支部長をしている」


WWA?聞いたこともない名称だが?いや、確か ラブリーエンゼルがいたのは・・・・あれはWWWAか?


「WWAって 何ですか?聞いたこともないのですが?」


「まあ、知らなくて当然だろう。言ってみれば秘密結社のようなものだからな。WWAは 『world wizard association』の頭文字をとったものだ。日本語で言えば 世界魔法使い協会といったところか?兎に角 立ち話もなんだ、どこか落ち着けるところで 話の続きをしたいのだが 時間をいただけるかな?」


この世界に魔法があることは 揺ぎ無い事実のようだ。そして 魔法使い同士で 派閥争い的なことをやっているのも間違いないだろう。魔術結社 アレティーアとWWA二つの組織は俺達に接触してきたのは なんの目的があってのことか?この世界においての 魔法について 二つの組織について そして、魔王について 知るためには ここで 引くわけにはいかないだろう。

何より、どちらの組織とも関わりを持ちたくないからこそ 知る必要がある。

俺達は 平穏に暮らしたいだけなのだ。


「分かりました」


答えを聞いた出雲は一つ頷くと 踵を返し駐車場のある方へ歩き始め 踊子さんにも声をかける。


「踊子 いつまで、そうしている。お前もついてこい」


土下座したままだった踊子さんは 飛び上がるように立ち上がった。


「はい、兄上」


出雲さんの後ろを彼女は付いて歩くが 肩を落としとぼとぼと歩く様子は学校で見る姿からは想像できない。

なんだか 踊子さんを可哀想に思いながら 俺達も後に続いた。


駐車場に出ると 黒塗りの高級車が止まっている。リムジンと言うやつだろうか?うちの車の倍ほどの長さがあった。そして、強面の男性が扉を開け頭を下げている。俺は、いつになく緊張し 扉を開けてくれたオニイサンにペコペコと頭を下げながら車に乗り込んだ。

車内も当たり前だが すごく豪華な仕様になっている。革張りのソファーに 高そうなお酒の入った棚シャンデリアまで 付いている。

出雲と踊子の兄妹は まあ、お金持ちなのだ。兄妹の家は ひかり電機を中核とした 総合企業群 ひかりグループのトップの直系の家柄で 学校もこのひかりグループ内の会社が運営している。

タラクシャで こんな雰囲気には慣れたつもりだったが やはり庶民の俺は落ち着かない。マリアはさすがはお姫様だけあって 堂々としたものだと 感心するが 実は このすごさが分かっていないだけなのかもしれない。


車は30分程走り 静かに停車し 扉が開かれた。車を降りると目の前には 高層マンションがそびえ立つ。兄妹に続きマンションに入り うちの家より広そうなエントランスを抜け エレベーターホールに向かうが、そこも素通りしたので 首を捻る。一階に部屋が有るようにも思えない。 エレベーターホールの奥にある自動扉の脇にあるパネルに出雲さんが、手を当てると 扉が開いた。生態認証のようだ。扉の奥にはまた、エレベーターがある。乗り込むと ボタンは四つしかない。エレベーターが 目的の階に到着し開くと そこは既に部屋だった。直通エレベーターとは さすが、金持ちは違うと感心した。


長い廊下を抜けリビングに出ると、驚嘆する。その部屋は明らかにうちの家よりより広いからだ。

出雲さん 踊子さん 俺 マリアの順にリビングに入る。


出雲さんは 振り替えることもなく 後ろに居る踊子さんの鞘から刀を抜くと 流れるような円の動作で 体を反転させ 頭上から刀が降り下ろされる。一分の無駄も隙もない動きを 咄嗟に見切り 立ち止まり マリアの体を守るように 半歩下がったときには 顔の 数センチいや、数ミリのところを刀が通りすぎた。そして、すかさず踏み出し降り下ろされた刀を踏みつける。

睨み合うこと数秒 フッ と出雲さんの殺気が消える。呆然としていた 踊子さんだが 我に返り 声を荒げた。


「兄上、何をなさるのですか!?」


「直輝君と言ったかな。試すような真似をして すまなかった。足を退けてくれるかな?」


俺は 出雲さんを警戒し睨みつけながらも 殺気が消えたため 足を離した。


「いや、本当にすまなかった。だからそんな怖い顔で睨まないでくれ」


おどけた様に 笑みを浮かべながら言うが そう簡単な話ではない。あの太刀筋や動きは 半端な物ではないし 止めるつもりも無く振り抜かれていた。俺が避けていなければ 確実に俺の頭は スイカ割のスイカの運命を辿っていた。


「寸止めとかではなかったですよね?避けてなければ死んでましたよ」


表情は先程から変わらず 笑みを蓄えながらも眼光は鋭くなる。


「君は何者だい?普通の人間は そんなこと分かりもしないよ。それに あの高台の公園で 踊子ですら気付いてなかった 俺の手の者の存在・・・・いや 正確な位置や動きまで 把握してた。

まあ、それは後で聞かせてもらうとして まずは私の話を先にさせてもらおう。兎に角 そこに掛けてくれ。

踊子 お二方にお茶を」


「兄上は私を見張らせていたのですか!」


抗議をする踊子さんだが 出雲さんに睨まれると シュンとし 「分かりました」と言葉を残して キッチンへと向かった。 


フカフカのソファーに座り しばらくすると踊子さんが お茶をお盆に乗せ戻ってきた。俺達や出雲さんの前にお茶を置き 彼女は出雲さんの隣に座る。落ち着いたところで ようやく出雲さんは話を始めた。


「先にも言ったが 俺はWWA日本支部の支部長をしている。そして WWAとは 天啓の魔女こと メアリー様を盟主と仰ぎ 世界中の魔法使いの多くが所属している団体になる」


「天啓の魔女?」


「メアリー様は 天啓 つまり神のお告げ・・・・もう少し現実的な言い方をすれば 未来視になるのか?彼女のお告げは 絶対なのだよ。その力を使い今では 世界中の国や政府にも大きな影響力を持っている。そして WWAを作り 世界中に影響力を持ったその理由は 『魔王誕生』の お告げを17年前に受けたからだ。最新のお告げによると この国に 魔王が降り立つとされている。

ただ、魔王誕生のお告げがあったものの 魔王とは一体何なのかは 分かっていないのだよ。つまり 我等 魔法使いの王としての 魔王なのか 言葉通り 『魔王』なのか はたまた全く違う意味での魔王なのか・・・・。

・・・・・・我々は マリアさん あなたを魔王ではないかと疑っている。できれば あなたを保護したいと考えている」


俺とマリアは見詰め合い 頷き合う。

響にしろ 踊子さんや出雲さんにしろ 感じる魔力は 向こうの世界の一般人程度の物だ。それからすれば マリアの魔力は 絶大な物に思うかもしれないが 俺からすれば マリアの魔力ですら 無いに等しい程度なのだ。

故に彼等は勘違いをしている。マリアの魔力を感じマリアを魔王と思っているのだ。だが、状況が分からない以上 こちらから 情報提供する必要はないだろう。マリアには悪いが 勘違いしているなら勘違いさせているほうが 今は良いと判断した。


「ところで、魔術結社 アレティーアとはどいったものなのですか?」


「アレティーアは 我々と同じように 魔法使い まあ彼等は 魔術師と呼んでいるが その魔術師の団体だ。だが、我々とは思想が 全く反対を向いている。我らWWAは 人の世界に紛れ人と共に生活をし 魔法の行使についても厳しい制限がある。しかし アレティーアは 魔術師は人とは違い 人より優れた存在だと思っている。だから 魔術師が人の上に立ち 人を支配するべきだと。彼等は自身の目的のためなら躊躇いなく魔法を使う。まあ、今までは 準備段階であって 魔法の行使は控えていたようだが 魔王が現れたことにより 今後はその限りではないだろう」


出雲さんは 自分が言いたいことを言いきって 満足げに こちらを見ている。

とは、言え・・・・。


「で?」


「で、と言われてもな。今度は君達の事を聞かせてもらいたいのだが?」


困惑気味の出雲さんだが こちらも言えることと 言えないことがある。


「僕は 踊子さんのクラスメイトで、マリアは僕の・・・・僕の こ、婚約者です」


言ってしまった。すると 踊子さんは氷の彫像のように固まり、固まったままの踊子さんの手からカップが落ちて 床に転がる。フカフカの絨毯のおかげで 割れることはなかったのだが 踊子は 尚も固まり続けている。


「おい、踊子、しっかりしろ」


出雲さんに体を揺すられ 呆然としたまま固まり遠くを泳いでいた視線はようやく焦点を結んだ。


「直輝君!!!!婚約者って ど、ど、ど、ど、ど、どういうことなのだ!?」




WWWAとか 一体 何人に伝わるんだろう? (^^;;;

ちなみに 自分は ケイちゃん派ですw

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