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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第2章 地球編
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072

よく分からないが 俺とマリアのデート?に遥も同行することになった。家から駅まで数分、電車に乗れば南港まで30分程だ。

駅に着き 切符を買いホームに上がる。何故か遥の分まで俺が出すはめになったが まあいいだろう。なんと言っても今は金持ちだ。太っ腹だ!


「マリア 今から電車に乗るよ」


「楽しみです!」


マリアの瞳の輝きは一等星級だ。しかし それ以上に 驚いた様子なのは遥かだった。


「マリアさんは電車に乗ったことがないの!?」


「はい、私の住んでいた所はとても田舎だったので」


その後も 空港からここまでどうやって来たのかとか ブツブツ言っていたが 適当に誤魔化していた。 電車がホームに滑り込んでくると マリアのテンションは一気に上がり 遥は苦笑いを浮かべつつも 小さな子供を見ているかのような 微笑ましい視線でマリアを見つめ 口を閉じた。


電車に乗り込むと 車内は空いていて 俺を挟み二人は座った。周囲の視線が痛い。女性からは 二人の美女に見とれ その後 その二人を連れている俺を値踏みする。男性からは そのまま妬みの視線、カップルからは 男性が 二人に目移りし 女性が不機嫌になる。

たった 一駅進む間にそんなドラマが繰り広げられたが マリアは 周囲の視線を物ともせず 車窓からの景色を食い入るように見詰めている。

遥も意外に平気な顔で座っている。まあ、黙っていれば 美人なのだから 人の目を集めることには慣れているのかもしれない。


「今、失礼なこと考えていたでしょ?」


「そんなことないさ」


考えていることがお見通しとは幼馴染み 恐るべし。

そうこうしていると電車はいくつか目の駅を出発し しばらくすると 地下線に入った。


「ナオキさん!急に夜になりました!?魔法ですか?あれですか、ラナルータですか?」


マリアがどうしてその魔法を知っているのかは謎だが 遥と目を会わせお互い 苦笑いを浮かべた。


「マリア 今、地下を走っているんだ」


「地下とは 地下と言うことですよね?もう 驚くことに疲れるほど驚きました」


壁しか見えない 窓の外をそれでも必死にマリアは見ている。

遥は俺の耳元まで顔を近づけ尋ねてきた。


「ねぇ マリアさんと 仲が良さそうね」


「そうか?妬いてるのか?」


「バカッ!」


大きめな声で 周囲の視線を集め さすがに恥ずかしかったのか 少し頬を染め俯いた。


「ただね、あなた達を見ていると 昨日今日 出会ったようには見えないのよ。そうね 付き合って数年とか 結婚前のカップルとかに見えるわ・・・・・・(そんなの見せられたら妬けるわよ)」


最後の方は 口の中でモゴモゴ言っただけで聞き取れなかったが 俺とマリアは どう見ても出来上がったカップルらしい。それは嬉しい限りなのだが 設定としては困るし それ以上に遥への気持ちにどう折り合いをつければよいのか分からない。


「ねぇ 直輝は 私のこと・・・・」


遥が何かを言いかけたとき 車内アナウンスで目的地の駅名を伝える。

何かではない、遥の言葉は俺の耳に届いていた。

だが・・・・


「マリアさん 次、降りるよ」


「あっ はい」


俺は立ち上がり マリアを誘導するように扉の近くに移動する。

遥が立ち上がる俺を寂しそうな視線で追いかけていたことにも気付かない振りをして。


兎に角 時間がなさ過ぎる・・・・。

いい訳か。

結局 戻ってこれた事で浮かれていたに過ぎない。遥の事をどう思っていたのか 会えなかった三年間で痛いほど分かっていたのだから帰ってきてすぐに 考えるべきだったのだ。


だけど・・・・

ハードル高過ぎ!

異世界で三年過ごしてました!マリアは異世界のお姫様です!魔法使えます!異世界で婚約しちゃいました!なんなら 側室候補まで居ました!遥も側室になる?


言えねぇ~~~~~~

どーするんだ・・・・俺?

相談できるのはマリアだけだけど マリアはこっちの事に疎いと言うか 全く知らない訳だし

さぁ 困った・・・・。


思考の迷宮に迷い込んだなら まだいい、迷宮なら探せば出口があるはずだが 今回は・・・・


「ナオキさん?」


俺が 思考のアリ地獄に足を踏み入れそうになったとき マリアの声で 踏みとどまった。厳密に言えば2,3歩踏み込んで 慌てて脱出した感じだが。


「ナオキさん 大丈夫ですか?」


「ああ、ちょっと考え事してた、ごめん。さあ! 海を見に行こう」


「ハイッ」


マリアは気持ちの良い返事と共に 俺の腕にしがみ付いてきた。


「ちょ、ちょっと!」


遥は動揺し声をかけるとマリアは 強い意志の篭った視線を遥に向け数秒、今度は 俺に優しい笑みを浮かべながら 「行きましょう」と声をかけ歩き出す。


「・・・・・・・・もうっ!」


遥は短く声を上げ 小走りで俺達に追いつき マリアと反対側の腕に捕まる。俺は驚き 遥は俯き赤くなっている。そして マリアは満足げな表情だ。

マリアは遥を煽ったのか?

遥と腕を組んだ事くらいはある(写真を撮るときとか じゃれているときとか)。仲の良い友達程度のスキンシップをした事もある。が こんな恋人同士のように腕を組み歩いた事などない。いくら煽られたからと言って 遥の心境の変化に俺も動揺を隠せない。

しかし また、思考が内側に向くことはなかった。何故なら 周囲の視線が痛いからだ。両手に花のこの状態は周囲の視線だけで 俺のHPは グングン ドンドン 削られていったのだ。


ショッピングエリアを抜けると フェリー乗り場などもある ちょっとした公園のようになっている。

爽やかに吹く風には潮の香りが含まれている。まだ、五月だと言うのに よく晴れた今日の空は初夏を思わせるほどだ。

夏の太陽のように 瞳を輝かせたマリアは 自身の思惑も忘れ 俺の腕からすり抜け 走り出していた。


「ナオキさん!見てください!海です!!海ですよ!!!」


驚くのに疲れたんじゃ?なんて野暮な言葉は飲み込み感想を聞いてみた。


「どうだい?」


「凄いです!!!!広いです。先が見えません。この先は 滝のようになっているのですか?」


遥はマリアの言葉にキョトンとしている。俺は慌ててマリアの口を塞ぎながらフォローする。


「マリアさん!もう 冗談が上手いのだから・・・・」


「・・・・・・」


遥のジト目が辛いです。

マリアは手すりに掴まりじっと海やそこを行きかう船を眺めている。俺と遥は何を話すでもなく ベンチに座りそんなマリアを眺めていた。こうしている時間が決して居心地が悪い訳ではないが 俺自身 遥に対して後ろめたさがあるので 気まずいのだ。

耐え切れなくなった俺は二人に声をかけ立ち上がる。


「ちょっと、トイレに行ってくるよ。昼までもう少し時間もあるし 戻ってくるときに 飲み物でも買ってくるよ」


マリアを一人にするのは不安だが 今は遥も居るので平気だろうと考えながら 建物の中に入っていった。





遥は マリアの後姿を見ながら考えていた。

マリアさんって 本当に綺麗な人。近寄りがたいほどの気品があるのに そんなことを鼻にもかけずとても親しみやすい。直輝がマリアさんに惹かれるのも分かる・・・・。

ああ、直輝のこと取られちゃうのかな?って それじゃあ まるで私が直輝の事 好きみたいじゃ・・・・。私は 直輝のことを・・・・。


遥が ぼうっとしている間に マリアは 遥の横に座っていた。


「遥さん?」


「えっ!?マ、マリアさん、いつの間に?」


「ちょっと前に 移動したのですが、遥さん 考え事をしてらっしゃったようなので。お邪魔でしたか?」


「いえ、邪魔だなんてことは」


ビックリした!やっぱり マリアさんとても綺麗だ。間近で見れば女の私ですら照れてしまうほどに。

・・・・私じゃ マリアさんには 勝てないか。


「遥さん 不躾な事をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「え、ええ。答えれる事でしたら」


「ありがとうございます。遥さんは ナオキさんのことを どう お思いですか?」


「ど、ど、ど、ど、どうって言われても・・・・」


「私は ナオキさんのこと好きですよ。愛しています」


「!!!!」


えっ!?今なんて?

『愛している』

聞き間違いではない。確かにそう言った。でも何で?直輝と出会って数日でしょ?


「でも 二人は出会って数日じゃ?」


「そうですね。そう言うことになっていますね。もしかしたら前世でも私のパートナーだったかもしれませんね。ですが、ナオキさんの素晴らしさは数日で十分と分かりますし 赤ん坊の頃から一緒に居る遥さんなら よくお分かりだと思いますが?」


前世?もしかして マリアさんって とんでもなく 電波ちゃんだったとか?そうよね、一つくらい欠点がないと可愛いげがないし。だけど それだと 直輝の気持ちがマリアさんにあることの説明にはならない。

私には 直輝の気持ちがわかるもの。

あれ?

私、どうして直輝の気持ちが・・・・。


「もしかして、遥さんはナオキさんの事をどう思っているか考えたことがないのではないですか?まあ、あまりにも近くに居すぎるとかえって 考えないのかもしれませんね」


「もし、もし・・・・私が直輝を好きだって言ったらマリアさんは どうするの?」


正直 マリアさんに勝てる気はしないけど でも 選ぶのは直輝だ。

あれ?

私は 直輝に選ばれたい・・・・?


「ナオキさん程の人を 一人で独占するのは 傲慢と言う物ですよ」


「えっ?」


「ナオキさんの気持ちもありますが そこは 女側の気持ち次第と言う事ではないでしょうか?それで、遥さんは ナオキさんのことを どう思っているのでしょ?」


「私は・・・・」


「ねぇ、君達 可愛いねぇ 暇なら俺達と遊びに行こうよ♪」


軽い言葉に遥は現実に引き戻される。見上げると 声と同様 見た目も軽くチャラい 三人組が立っている。大学生だろうか、こんなカップルか家族連れしか来ないような所でナンパとは 場違いもいいとこだ。


「私達 連れを待っていますので」


遥はハッキリと拒絶の意思を示すが 彼等は引く様子はなかった。


「だったらさ、俺達も待っているから その子も一緒にさっ」


「連れは男ですから」


「こんな可愛い子を待たすような男なんか放っておいていいよ だからさ~」


埒が開かないと思った遥は この場から離れようとマリアの手を握り 立ち上がろうとしたとき。


「お待たせ!」


直輝がジュースを手に戻ってきた。




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