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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第2章 地球編
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「ちょっと、お兄ちゃん!!どういうことよ!?どうして 裸の女の人と 一緒に寝てたの!お母さんも 何とか言ってよ!!!!!」


マリアを連れ リビングに入るや否や こまちの 口撃が始まった。こまちよ、すまん・・・・。

俺は魔法を発動しつつ 何もなかったかのように 答える。


「何を言っているんだ?彼女は 昨日からうちにホームステイしているマリアさんじゃないか」


キョトンとするこまちだが、まだ 暗示と記憶の齟齬が埋まらないのか 口撃は 止まらなかった。


「あれ?そうよね?昨日から・・・・でも、だからって 一緒に寝るなんておかしいじゃない!」


「マリアさんは 日本に着くなり 置き引きにあって 荷物を全部取られて 不安になっていたんだよ。だから 一緒に居て欲しいって 頼まれたんだよ」


「でも、でも、じゃあ 何で 裸でだったのよ?」


「裸って、何を言っているんだ?」


「だって 私 見たもん!その・・・マリアさんの・・・あの・・・・オッパイ 見たもん!」


うん。俺も見た!だが、妹よ。俺はもっとすごい物を見たんだぞ!って それは 忘れるんだった。


「あれは、ほら なんだ えっと り、りんごだよ!そう お前が見たのは リンゴだっただろ?」


と、兎に角 妹よ! すまん・・・。


「リンゴ!?そんなわけ・・・・あれ?リンゴ?そうよね あんな大きなオッパイがあるわけ・・・そっか あれはリンゴだったのか。私 勘違いしてたみたい。マリアさん ごめんなさい。てもね マリアさん 聞いて!」


こまち、お前の潰れたミカンでは想像もできないだろうが この世と言うか向こうの世界?には リンゴどころか メロンだって存在するのを知らないのだな。

俺が意味不明な妄想をしていると こまちの問い掛けにマリアが答えていた。


「は、ハイ 何でしょうか?」


成り行きを見守っていたマリアは突然話を振られ 少し動揺を見せる。留学生だとか 空港で荷物を盗まれたなどの設定は 事前に 打ち合わせをしていたのだが 根が素直なのでこう言った演技は苦手なようだ。


「お兄ちゃんは ヘタレだけど 一応は男なんだから 気を付けないと 駄目よ!」


「そんな、ナオキさま・・・・ナオキさんは ヘタレなんかじゃないです」


敬称も「様」から「さん」に変更したが すぐにボロが出そうだ。


「好きな幼馴染みの女の子に 告白もできずにウジウジしてるの。しかも その子の気持ちだって 薄々 気付いているくせによ!本当に ヘタレでしょ?」


「それは、それは へ・タ・レ!ですわね」


マリアさん、その目、その目は怖すぎますよ。そんな目で見つめられたら いや 睨まれたら俺、石になっちゃいますよ。

そして、俺だけに聞こえるように


「後で お話があります!」


「はい・・・・」


俺もマリアにだけ聞こえるように返事をした。


「さあ、こまちちゃんもその辺にして そろそろご飯にしましょう」


暖かく(生ぬるく?)見守っていた母が 朝食の準備を終え声をかけてきた。

今日のメニューは (朝食はほぼ毎日同じメニューだが)トーストと ハムエッグ サラダだ。あまりの懐かしさに また 泣きそうになるが ここは 耐える。

マリアは どれも美味しそうに食べていた。特に トーストに塗るジャムに感動していたようだ。向こうの世界にも砂糖もあったし お菓子もあったが ハッキリ言えば このジャムより劣るものだった。


「こんなに甘くて 美味しい物は初めて食べました!」


特別高級なものでもなく普通にスーパーで売られているジャムに対して 過大ともいえる賛辞に母もこまちも 苦笑いを浮かべるしかなかった。

食後に コーヒーを堪能する。まあ インスタントだが・・・・。微妙な表情をしているが この味が分からないとは マリアもまだまだ、おこちゃまだな!とは言え このインスタントをコーヒーと思われても困るので 今度 ちゃんとドリップしたコーヒーを飲ませてやろう。


「マリアちゃん 突然だったので まだ、部屋の用意ができてなくて ごめんなさいね。もうしばらくは 直輝君の部屋で我慢してね」


食器を片付けながら言った母の言葉に マリアではなく こまちが異を唱えた。


「ちょっと、お母さん!それは いくらなんでも まずいでしょ!?」


「大丈夫よ。自分の息子に言うのもなんだけど ヘタレだから!」


母は笑顔を崩さずそう言い切った。せめて 「信用してる」くらい言ってくれよ。俺だって傷つくことくらいあるんだぜ。

そして おもむろにエプロンのポケットから 封筒を取り出しマリアへ手渡す。中を確認すると1万円札が10枚 10万円が入っていた。マリアは何か分かっていないので 俺が代わりに尋ねた。


「これは?」


「マリアさん それで 着替えのお洋服や 身の回りの物を買ってらっしゃい。何もないと困るでしょ?直輝君は マリアちゃんに付いて行って 案内してあげることね」


「こんなに たくさんもらえないよ」


俺が言うと 母は呆れ顔で答える。


「直輝君に あげたのではないわよ。マリアちゃんに あげたの。それにね 女の子は直輝君が考えている以上に 色々あるものなのよ」


当初から 親の好意に甘えるつもりではあったが あまりの高額さに 若干腰が引ける。だが、母の言うように 女の子なのだから 服だけでは すまないのだろう。

マリアに これがお金で しかも 自分達にとっては かなりの高額であることを 小声で説明すると マリアも 一旦は 遠慮したが 母に押し切られ 受け取ることとなった。


「お母様・・・・ありがとうございます」


「いや~~~ン マリアちゃん カワイイ~~~!お母様って 呼ばれちゃった!」


母は『お母様』と呼ばれたことが相当 ツボにはまったのか マリアをバグしまくる。


「もう マリアちゃん うちにお嫁においでなさい。お母様は大歓迎よ」


もう なんか 自分でお母様とか言ってるし・・・・お嫁って!遠くない将来 そうありたいのだけど。

嫁と姑が 仲良くやってくれるなら それに越したことはない。だが、小姑は そうはいかないようだ。


「駄目よ!お母さん。お兄ちゃんには ハルちゃんが居るんだから!」


母は こまちの言葉に 「あら、そうだったかしら 」と 全てを見透かしているような そんな笑顔を浮かべる。意味ありげな笑みに身震いを覚えながら 例え 最強の勇者でも 親には勝てないのだなと 思った。

これ以上の 口撃は マリアより先に 俺からボロが出そうなので 買い物の準備をすると マリアを連れて自室に退却した。




自室に戻り マリアをベッドに座らし 俺は 椅子に座り向かい合う。


「うちは この世界のと言うか この国の一般的な家庭なんだ。向こうの世界で言えば平民だね。一部のお金をたくさん持っている家は 貴族みたいな生活をしている所もあるけど うちはそうじゃない。だから 自分達のことは自分がする。これ 基本ね」


「はい 、承知しています」


「大丈夫?耐えれる?」


マリアはお姫様だ。今までは身の回りの世話は 侍女がしていた。立っているだけで 着替えさしてくれるような生活を送ってきたのだから 一般人の生活に馴染めるか心配に思えたのだ。


「我慢をすると言う感覚はありませんし ナオキさんと一緒に居れると思うだけで楽しいくらいです」


「そう言ってくれると嬉しいけど まだ これからだからね。さっきも言ったけど 自分の事は自分でが基本だから。 食事は母さんが作ってくれるけど 手伝ったりとか 食後の食器を運んだりとかは やった方がいいのかな? 家族の印象が良くなると 後々ね?」


頭の良いマリアのことだから これで理解してくれるだろう。

ショッピングモールの開店時間まではまだもう少しある。時間を潰すため テレビを見ることにする。マリアは どんな反応をするのだろう?ワクワクが止まらない!

俺の部屋のテレビは バイトした金で自分で買った。張り切って 32型の液晶テレビだが、物の溢れた狭い部屋にはもて余すサイズだった。

リモコンを握り

電源 ON!

突然 映像が写り音声が流れる。マリアは テレビの方を向き 驚愕の表情となり 駆け寄り テレビを観察し 一言。


「ナオキ様!薄い板の中に小人がいます!?」


「やったー!バンザーイ!!」


マリアさん、予想通りの反応をありがとう!俺はついその反応に 万歳で答えてしまった。マリアはあまりの驚きに敬称が『様』に戻っていることも気付いていないようだ。

今は朝のワイドショーをやっていてキャスターやコメンテーターがカウンターに座り 何やら喋っている。確かに 画面サイズを考えれば 小人と言えるだろう。マリアの発想に俺もツボにはまった。

これから 色々な物を見せてやったときの反応が楽しみでならない。

いつまでも遊んでいるわけにもいかないので テレビについて 簡単に説明してやる。理解が追い付いていないようだが 無理にでも納得してもらわないと この先 やっていけないだろう。

何より凄いと思ったのが マリア自身が その事を理解していることだ。無理に飲み込み消化しようとしている 健気さが とてもいとおしく思え つい バグしてしまった。

朝食の時 母がマリアをバグしていたのを思いだし やはり俺は母さんの子供なのだと思った・・・・。



マリアには しばらくテレビでこの世界の事を勉強しておいてもらい 買い物時に起こるであろう最大の懸案事項を解決しようと こまちの部屋に来た。

ノックをし声をかけ 返事も待たずに部屋に入る。


「ちょっといいか?」


「お兄ちゃん ノックするなら 返事してから入ってきてよ!そんなことだと 彼女ができてもすぐに振られるわよ」


「悪い悪い・・・・ところで、こまち お願いがあるんだが」


「全然 悪いって思ってないくせに。で、お願いって何よ?」


「こまち、お前のパンツをくれ!」


バキッ


いきなり グーで殴られた。俺が勇者じゃなかったら 怪我してるぞ!


「お兄ちゃんが こまちのことを大好きなシスコンだとは知っていたけど 変態だとは知らなかったよ。こまちは 悲しいよ」


「お前なぁー 誰が 妹のパンツに欲情するか!」


バキッ


また、殴られた・・・・。


「殴るな!兎に角、聞け。マリアさんは 替えのパンツもないんだ。さすがに ノーパンで 町に出るのは可哀想だろ?お前が 新品のパンツを持っていたら マリアさんに譲ってもらおうと思ったんだ。ブラは 諦めるしかないがな。お前のサイズでは マリアさんの胸は納まらない!」


バキッ


またまた、殴られた。一言 多かったらしい・・・・。事実なのに・・・・。

こまちは タンスをゴソゴソとあさり 袋に入ったままの新品のパンツを俺に投げつけた。だから、パンツを投げつけられて 喜ぶ趣味はないって。


「こまち ありがとう。助かったよ。こんなこと頼めるのはお前だけだからな。お土産 買ってくるから 楽しみにしとけ!」


「バカッ!」


こまちと目を合わせ数秒 耐え切れなくなり お互い噴出し 笑いあった。



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