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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
54/135

054

さて どうするか?

サヤの家に行くか 石を調達しに行くか。と言うか 石を探しに来たのだから 石が先か・・・・。思っているような物が有るかも分からないのだからな。サヤの顔は帰りにでも見て帰ろう。

門番に石材商の場所は聞いてあるので 勝手知ったる モニリの町 迷うことなく 目的地に着く。


「すみませーん」


立派な看板は出しているものの 店舗自体は小さく 事務所といった感じだ。小売りすることなど 余りないのだろうからこれで十分なのかもしれない。声をかけると 奥から 中年の 失礼ながら 恰幅のいいおばさんが出てきた。


「はーい どんなご用ですか?」


「ダリーンで採れる 緑色の石材を取り扱ってますか?」


「有るには 有るけど 床に敷き詰めたりするほどの量はないのよ。街道は通れるようになったみたいだけど 石材なんかは まだ しばらくは入ってこないと思うわ。ごめんなさいね」


「あっ いいんです。少しあれば」


一旦 おばさんは 店の奥へ引っ込み すぐに 下働きの少年2人に50センチ四方 厚さ10センチ程の石の板を持たせ戻ってきた。


「多少の手数料は頂きますが このまま 自宅まで運ばせましょうか?」


それじゃあ 王都まで!とも言えないので 断った上で 石の料金だけ払い 置かれた石材を軽々持ち上げると 3人は とても驚いていた。少し大きいが まあ 試作品だし 豪華な感じでいいか。そんなことを考えながら歩いていると 目の前にはサヤの家があった。

俺って どんだけ サヤのこと好きなんだ・・・・。

顔見てから 帰るつもりだったので 良いのだけど。ノックすると お母さんが出てきて 俺の顔を見るなり


「サヤーーーー!あなたの 夫が 帰ってきたわよ~~~」


夫って・・・・反論をすることもなく 照れながら待つこと 数秒、ドタドタと 凄い足音を響かせながら サヤが 文字通り 飛んできた。しかし 両手は石材を持ち塞がっていて サヤを受け止めることができない。仕方なく 石材を落としました。足の上に。痛かったです。

「あんた バカー?」などと 罵倒されながらも サヤに治療してもらい 今は痛みもない。だいたい 手が塞がっているのに 飛び込んで来る方が悪い!俺は悪くない・・・・はず?


「で、今日はどうしたの?あー 足を怪我したから 治療しに来たのね!」


「怪我をしたのは・・・・。えーと そうだ!愛する サヤに会いに来たに決まっているじゃないか!」


仕返しとばかりに 心のこもってない言葉を吐くと サヤの後ろに 怒りの炎のオーラが見えた気がして慌ててほ本当の用件を伝えた。


「それじゃあ そのリバーシって言う 遊び道具の材料集めに来たんだ」


「それだけじゃないんだけどね。サヤに・・・・」


だから サヤさん そんな怖い目で睨まないでください。


「だから!サヤとスズちゃんにも 城に来てもらって 一緒に 遊んでもらおうと思ったんだ。色々な人の意見を聞きたいんだよ」


「いいわよ って言いたいところだけど 私は仕事柄 いつ 患者さんが来るか分からないから。スズは 大丈夫だと思うけど 子供だから 城で 失礼があると・・・・」


残念そうに言う。だが 俺だって それくらいは 折り込み済みだ。懐から 1枚の呪符を出し 手渡すと 不思議そうに 眺めるサヤに説明をする。


「お母さんに 渡しておいて 患者さんが来たら 破ってもらうんだ。そうすると 呪符の魔力が 解放されて 俺が それを受けとる。後は 転移で送れば 時間的なロスも最小限にできるだろ。サヤも一緒ならスズちゃんの面倒も見れるだろうし。どうかな?」


「それだったら 行けそうね!」


嬉しそうに答えるサヤに 今まで 黙って見守っていたお母さんが口を開く。


「えー お母さんも お城に 行ってみたいなぁ」


「もう! かあさん!!」


「冗談よ 後はお母さんに任せて 行ってらっしゃい」


これを破ればいいのねと 呪符を受け取り確認する。その後 サヤとスズちゃんを連れ 城へと戻った。





城の門番に 俺の連れだと説明したが 自分の判断では 通せないと 上司に確認しに行ってもらっている。


「お兄ちゃん すごーーーい!本当に お城に住んでいるんだ!!」


「そうだぞー!凄いだろう」


「お兄ちゃんって 王子様なの?」


「違うよ。お城には住んでいるけど 王子様じゃないんだ。どう言ったらいいのかな・・・・えっと 王様と知り合いだから 住ませてもらってるだけなんだ」


「なーんだ。スズはお兄ちゃんと結婚して お姫様になれると思ったのに ざんねーん」


「スズ駄目よ!いつも言ってるでしょ お兄ちゃんと・・・・ナオキさんと結婚するのは お姉ちゃんなの!!」


「えっ?」

「えっ?」


俺とサヤは 視線を交わし お互い 照れて赤くなり俯いてしまう。タイミング良くか 悪くか 門番が戻ってきて 許可されたと伝えてきた。ただし 俺の部屋以外には 立ち入らないことが条件らしい。まあ 普通に考えて 町娘が ホイホイ城に入れる訳がない。これも 俺に対する配慮と言うやつだろう。これからは あまり無理を言わないようにしよう・・・・・。


2人を俺の部屋に案内すると すでに 4人の侍女と マリアが集まっていた。


「マリアお姉ちゃん 凄く綺麗なドレス!お姫様みたい!!」


スズの言葉に その場に居た全員が 苦笑いを浮かべる。俺はまだ 材料を集めただけで 加工していないので 少し待ってもらうことにしたが そもそも 約束の時間までは まだ1時間以上ある。みんな 気が早過ぎだ。

中庭に出て 2枚の石材を顕現させる。まずは 盤からだ。8×8の 64枡を 墨を使い印を付ける。ただ 墨で線を引いただけでは すぐに消えてしまうので 溝を掘るつもりなのだが どうやって彫るか?オリハルコンの彫刻刀でもあれば 楽なのだろうが・・・・。仕方ないので オリハルコンの剣で 溝を掘るが やはり真っ直ぐに 彫るのには 少々骨が折れた。

次は駒だが いや・・・・よく考えりゃ 駒って言い方は 将棋か?囲碁だと 石って言うよな・・・・確か?それじゃー リバーシは・・・・。形状的には 碁石に似ているが・・・・。わからん!どっちでもいいや。

で、駒だが やっぱり 丸だよな・・・・どうしよう、あの委員長だと コンパスなしに 正確な円を書けるのだが 俺には無理だ。とは言え 針と糸とペンがあれば 書けるが 丸に切り抜くのがまた 骨が折れそうだ。

結局 作業が終わった頃には 約束の時間を少し 過ぎていた。途中 剣を叩き折ってナイフくらいの大きさにしてやろうかと思ったが そんなことをしたら きっと シオンさんに 怒られると なんとか耐え忍んだ。誰か褒めて欲しいほどだ・・・・。




「お待たせ!」


部屋に入り テーブルの上に 盤と 袋に入れた駒を置くと みんな不思議そうに覗き込んでいる。


「これが リバーシと言う遊びに使う道具なのですか?」


「そうだよ」


マリアの質問に答えている間にも 「綺麗」だとか「大きい」 「重そう」 「どうやって使うのだろう?」など 口々に呟いていた。

落ち着いたところで 遊び方の説明に入る。


「ルールはとても簡単なんだ。まずこうやって 白と黒の駒を交互に置いて 先手から盤に置かれている駒に隣接していて 相手の色を挟み込める位置に1つずつ置いて挟んだ駒はひっくり返して自分の色にする。そしてそれを 交互に していく。全部の枡が埋まった時点で 駒の色の多いほうが勝ち」


言葉で説明しながら いくつかのパターンを 実際に見せた。みんな真剣に 俺の説明を聞いてくれている。顔を上げると 美女達が こちらを覗き込んでいる様子を見て ちょっとしたハーレムだなと思うと急に照れてしまった。


「と、とにかく 一度 やってみようか。えーと エリー どうだい?」


エリーは 俺の考えを聞いたときに 涙まで流してくれたし 説明も一番 熱心に聞いていた。


「わ、私ですか?」


やってみたいけど ちょっと怖い そんな感じの戸惑いを見せ 体を揺らすと 体の一部が 更に大きく揺れている。た、たまりません・・・・。そして 周囲の俺に向けられる視線も・・・・。


盤の置かれたテーブルを挟み 正面に座る エリー。初めての人間に負けるはずもなく 途中で 見ている人にも分かるように解説やアドバイスを入れながら 圧勝した。

その後 ターシャ アンナ マリアと戦い どちらにも圧勝。マリアは 余程 悔しかったのか もう一度と駄々を捏ねるほどだった。次にスズちゃんと 対戦。スズちゃんも ほぼルールは頭に入ったようで ちゃんと できていた。俺は わざと負けてあげるという 大人の余裕を見せると 本気でやってくれないと 面白くないよと 幼女に怒られた。次はサヤの番だ。サヤは なかなか頭が切れるが みんなは 知らない。角 最強伝説!サヤとは いい勝負になったが負けることはなかった。最後は シオンさんだ。シオンさんの目が怪しく光る。


「ナオキ様は 私達に黙っていることが ありますね」


「えっ!? そ、そんなことは ないよ」


ばれた!心の中で呟いていると 名探偵の如く シオンさんは 推理を披露する。


「ナオキ様は いつも 四隅をお取りになりますね。性質上 四隅は 一度取ると 反せませんし攻めの起点にもなります」


「うっ・・・」


みんなの 冷たい視線と 罵倒の言葉が 心に刺さる。そして 動揺を抱えたまま行った結果 見事な惨敗・・・・。三日天下ももたず 1時間もかからず俺の天下は終わりを迎えた。角を取るだけが必勝方って訳ではない。と言うか この手のゲームに必勝方など存在しないと言われている。実際 角を取ったからって 勝てるわけではないし、要は 相手に取らせないように打っていく。つまり 序盤は相手に取らせて すると 後半 相手は 反す駒が無くなり手詰まりになり こちらは 好きなところに打てるとか 角と同じように 一度反したら その色で確定するように 打っていくとか 必勝方と言うよりむしろ 基本戦略なのだろう。分かっているのに うまくいかない。だから 難しく 面白いのだ。


ルールも覚えたところで 俺は抜け 女子たちだけで 遊んでもらっている。これだけ 女子が集まり遊んでいると それはもう かしましい。

エリーも とても気に入ってくれたのか プレイに熱中するあまり


「ナオキ様 お茶のお代わりをお願いします」


言われて 苦笑いを浮かべながら 淹れてやろうとしたら さすがに エリーは シオンさんに怒られていた。ついでに 俺も怒られた・・・・。


マリアは シオンさんと対戦し 王女の力を使い 待ったをしようとするが シオンさんに一蹴され 半泣きになっていた。ゲームは 地位や立場を越え 五分と五分で勝負するからこそ 面白い。スズちゃんの言う通り 真剣勝負だからこそ お互いに楽しめるのかもしれない。幼女にして 既に真理に到達しているとは 末恐ろしい限りだ。


みんな ワイワイ ガヤガヤと楽しそうに遊んでくれている。その様子に満足し 次の準備に取り掛かった。



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