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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
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042

「お二人に 聞いていただきたい お話があります!」


マリアは話そうと決意したものの 話すことによって 2人に迷惑や 苦痛を与えてしまうかもしれないと言う 不安や戸惑い・・・でも 話すことによって いい解決策が出てくるかもしれないと言う 期待・・・・そんな、相反する感情がごちゃ混ぜとなり 不思議な表情をしていた。

聞いてもらいたいと言ったきり 押し黙ってしまったマリアにサヤはたまらず声をかけた。


「マリア様・・・・?」


「ごめんなさい・・・・えっと・・・・話す前にまず 確認させてください」


「はい」


真剣な表情のマリアに 2人は 何を聞かれるのかと 固唾を呑む。


「私が話そうとしていることは 王家の最大の秘密・・・勇者召還に関するものです。もし 話したことがばれたり 内容が外に漏れれば 知ったもの全てが 王家により抹殺されるでしょう。そして 漏らした私も 殺されるか、良くてどこかへ一生幽閉されるでしょう。・・・・・・それに ナオキ様にも秘密にしなければならないと言う 苦痛を伴います。それでも 聞いていただけますか?」


サヤとシオンは またも 見つめ合い 無言のまま 語らい 出した答えは


「重い荷物でも皆で持てば少しは軽くなるものです」


「サヤさん 本当に良いのですね?」


サヤは力強く頷く。


「サヤ様の仰る通りです。私ごときが どれだけマリア様の支えになれるかは分かりませんが それでも・・・」


「サヤさん それに シオンもありがとう・・・」


マリアは目に涙をためながらも とても嬉しそうだ。だが、その涙を振り払い 表情を引き締め ソファーに座りなおて2人をじっと見つめると 話し始めた。


「勇者召還のための魔方陣を発動するためには 大量の魔力が必要です。それこそ 大魔道師様が毎日 毎日交代で 何年も何十年も 魔力を供給しなくてはなりません」


2人は 思った。異世界から人間を召喚するのだから 相応に 膨大な魔力が必要なことは容易に想像ができるからだ。そして、ナオキならば 何十年もかけずに その魔力を供給することもできるだろうと。


「ナオキさんの魔力なら 1年もかけずに 必要な魔力を供給することができるのではないのですか?」


サヤは当然の疑問をぶつける。


「はい・・・1年どころか 30分もかけずに ナオキ様は 魔力の供給を終えていました」


「ならどうして?」


「はい・・・ここからが 王家の秘密になります。魔方陣の発動には 魔力のほかにもう1つ鍵が必要なのです。そして その鍵と言うのが・・・・・・」


マリアはここに来て また、躊躇いを見せる。そして サヤとシオンは マリアの言葉をじっと待った。


「その鍵と言うのが・・・・王家の人間の命になります・・・。ナオキ様を召喚する際には 私の母が・・・・」


母のことを 母の最期の言葉をを思い出したのであろう 今度は悲しみの涙を浮かべるマリアだった。タラクシャ王妃つまり マリアの母は 娘の未来と幸せのために自らの命と引き換えに勇者を召喚したのだ。

サヤとシオンも言葉を失い 呆然としてしまった。もしナオキの希望を叶えるには 王家の誰かが犠牲にならなければならないことを意味している。

そして シオンには 一つの気掛かりがあった。


「マリア様 どうか ご自身が犠牲になるようなことだけは お考えになりませんように」


「レノの時のことを考えれば 私が犠牲になれば解決するなどとは思ってはいません」


ナオキは止むを得ない状況ではあったが レノの命を絶ち かなり落ち込んでいた。サヤと話をしたことにより 多少は立ち直りはしたのだが 無理に明るく振舞い 時折見せる 苦悩の表情は 非常に痛々しかった。

もし ナオキのためにマリアが命を犠牲にすれば 一生 立ち直れないかもしれない。ここにいる3人はその事を理解していたのだ。


「今すぐ どうにかなることではありません。他に何かよい方法がないか、ナオキ様にお話しするべきか、一緒に考えていただければ 助かります」


マリアは そう言って話をまとめた。





俺は 休憩している間に寝てしまっていたようだ。目を覚まし 意識が覚醒するにつれ 驚愕する。森に居たはずなのに 目の前には お花畑が広がっていた。意識ははっきりしているのに まだ 夢の中に居るのではないかと思うほどだ。


「ナオ君 ナオ君 お久しぶりなの~」


「げっ!」


足下の花の蕾がどんどん膨らみ 巨大化すると パッと花を咲かせ 中からとんでもない美女が姿を表すのを見たとたん 俺は激しい頭痛に襲われた。


「久しぶりに会ったのに 随分なご挨拶なのですよ~」


見た目は 間違いなく 世界一の美女と言って語弊はない。すらりと長い手足 小さな顔 出るところは出て 引き締まるべきところは引き締まっている黄金比率。しかし外見とは裏腹に 頭の中は この場所と同じお花畑、少々・・・・いや かなり残念な娘なのだ。

そして 俺はこの残念美女を知っている。彼女こそ全ての精霊の母、精霊王 イリスだ。正確には 精霊女王なのか?でも男性型の精霊を見たことがないから・・・・?まあ 今はそれはどうでもいい。それよりもだ!


「で、何でセーラー服を着ているんだ?」


「だって ナオ君 この服 好きなんでしょ~」


イリスは 何故かセーラー服を着ていた。ニヤニヤしながら 短いスカートを摘まみ 見えるか 見えないかと言うところで ヒラヒラさせている。


「また、人の記憶を勝手に覗いたな?」


「だって、だって~ ナオ君を欲情させて 子種が欲しかったんだも~ん」


イリスとは 魔王討伐の旅の途中に出会った。勇者の盾をイリスが所持していたので 貰い受けるため 彼女の元を訪れたのだが 受け取った盾は ヒマワリの形をしていた。聞いてみると 「可愛くなかったから作り変えたの~」って・・・。締まらないだろ?性能は変わらないからって 勇者が お花の ヒマワリ形の 盾を構えていたら・・・。 当然 元の形に戻ささせた。その後も 退屈だからと しばらく一緒に旅をし その時にレノに引き合わされたのだ。旅の途中 「女の喜びを味わってみたいの~」と やたら 迫ってきたりもした。普通であればこれ程の美女に 迫られたら イチコロかもしれないが 中身を知っているだけに 全力でお断りをした。

世間ではギャップ萌えってのがあるらしいが このギャップには一切 萌えなかった。


「はぁー それで 何のようなんだよ?」


「本当にナオ君ってば つれないのね~」


イリスも 小さくため息をつきながら 表情から笑みを消し 真剣な視線を俺に送ってくる。


「レノのこと辛い思いをさせたみたいで ごめんなさいね~」


多分 気遣ってくれてるのだろうし 真剣な表情で 真面目なことを喋っているのにしゃべり方が バカっぽいのが 非常に残念だ。


「バカはひどいの~」


チッ また心を読みやがって・・・。


「それよりね~ レノちゃんの 魔結晶 渡して欲しいの~」


俺は レノの魔結晶を取り出し じっと、しばらく見つめ イリスの手渡した。レノもまた、このバカ・・・いや イリスが生み出したのだ。それならば やはりイリスが持っていたほうがよいのだろう。


「ん~~~♪ うん!大丈夫なのよ~」


「何が大丈夫なんだ?」


「この結晶の中には ちゃんとレノちゃんの心が残ってるから~ また レノちゃんを生んであげれるのよ~」


「本当か?」


「嘘なんか つかないのよ~ まあ 今すぐは 無理なんだけどね~ この状態なら100年以内には 復活できちゃうのよ~」


「100年って・・・」


ちょっとがっかりしたが 精霊なんだし仕方ないか。それでも 復活できるなら 俺も嬉しい・・・できれば もう一度 友達になりたかったけど・・・・。


「100年以内だから 来年でも 100年以内なのよ~?」


・・・・・バカだから仕方ないか・・・・。


本当にこのバカと・・・いや だから イリスと喋ると疲れるんだ。


「でも ちゃんと 責任者には責任を取ってもらいますけどね~」


イリスは 美しい顔を歪ませ 怪しい笑みを浮かべた。


「責任って?」


「わたしを怒らせたんだもん。そりゃ~ 精霊の加護なんて 受けれなくなっちゃうかもね~」


精霊の加護・・・・自然界からの恩恵や 逆に 自然の猛威からの保護が 受けれなくなると言うことだ。つまり簡単に言えば 大災害が頻発したり 飢饉や水不足 などが起こりやすくなる そして 最大の影響と言えば 魔法が使えなくなることだろう。精霊も全てのことから人間を守っているわけではない。時には破壊からの再生を促す。上から目線な言い方だが 飴と鞭を使い分け 人間自身の成長を期待しているのだ。

そして、魔法だ。全ての魔法ではないが 火や水 風 土と言った 自然の力を使ったり 増幅させるような魔法は精霊の力を借りるため 加護がなくなれば 当然 使えなくなる。この世界では 火を起こしたり 水を精製したりと 一般庶民の生活まで魔法が入り込み それがなくなると言うことは 生活自体が成り立たなくなる可能性すらある。


「でも そんなことをしたら・・・」


俺の言葉を遮り 


「わたしの娘にひどいことをして ただで済むと思わないで欲しいの~」


これもまた、親の愛情なのか・・・。引かないだろうな。何か手を打たなきゃ 最悪 国1つ 壊滅する可能性がある。気持ちは 分かるが・・・つまりは そんなことになる前に 人間同士で 何とかしろと言うことなんだろう。また、仕事を増やしやがって・・・。


「そろそろ 用件は 終わりか?それだったら 元の場所に戻してもらいたいんだけど」


「そ~ね~ わたしの用事は 終わったわよ~ レノちゃんの結晶を 受け取ったから~」


「私の?」


「あとね~ ナオ君に 会いたいって人が 居るから~ あれ~?人じゃないかぁ~ え~と~」


「あー!イライラするーーーーーー!!!」


と、叫び声と共に 一人の少女・・・いや 幼女が 姿を現した。わけが分からないが「イライラ」すると言うところには 激しく同意する。で、この幼女は 誰だ?


「えーと お譲ちゃんは 誰かな?」


「お譲ちゃん 言うなっ!」


言葉と共に蹴られた・・・。幼女に蹴られた・・・・。


その幼女は ペッタンコの胸を張り 両手を腰に当て 偉そうに言った。


「ワシは この世界では 女神アプロとして 通っておるの!お前の世界の概念で言うところの 神じゃ!敬え!!」


「はぁ?」


つい 素で 聞き返してしまった。女神 アプロ?神?

だって、幼女だし・・・。


だって、この幼女もまた セーラー服 着てるのだから・・・・。


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