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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
31/135

031

俺たちは サヤの家を後にし いつもの 食堂で昼食を取っていた。食後 雑談と今日の予定について 話をする。


「シオンさん、町長の家から出てきたとき すでに その服だったけど そのまま 寝てるの?」


素朴な疑問を投げ掛けてみるとシオンさんは 真顔で


「何を仰っているのですか、そんなことをするわけありません」


「だって、マリアと同時に出てきてその時にはもう その服だったよ?」


「当然です。侍女ですから」


「いや だって・・・?」


「侍女ですから」


澄まし顔のシオンさんを見てこれ以上 聞いても無駄なような気がした。と言うか どんな 早着替えなんだよ!


「ところで ナオキ様」


「何かな?マリア」


「どうして、夜にお一人で森に入られたのですか?」


来た!絶対 追求されると思ってましたよ マリアさん!だが・・・対策は・・・。と言うか 今まで 忘れてた・・・。


「えーと 夜の戦闘は2人には危ないかな、なんて 思って」


「ナオキ様!」


ああ・・・目が怖いですよ。


「ハ、ハイ」


「サヤさんとは 随分 心を通わせたようですが 私達には 何も 教えていただけないのですね」


うわっ・・・マリアさん 根に持ってるな・・・。だが、マリアの言う通りちゃんと 話をしたほうがいいのかもしれない。


「えっと、昨日の最後の戦闘 覚えている?」


「ええ 覚えています」


「俺は あの群れを見たとき すごく違和感を感じたんだ」


「違和感と申しますと?」


「多種混合の群れなんて 通常 ありえないからね。その様な集団は 魔王軍以外で見たことがないよ・・・」


「魔王軍・・・・」


魔王軍と言う言葉に 2人は固まってしまった。


「勘違いしないでね。魔王軍の再来とか そう言う感じではないから。えっと 力もあり 知能も高い 例えば 魔王軍の将軍のような魔族が率いているのなら 納得もできるんだけど 他の固体より 少し強いくらいで しかも知能も低い獣系の魔物が 多種の群れを率いているのが すごく 不自然に感じたんだよ」


「それで 調査のため 夜にお1人で森に入られたと?」


「うん。そんな感じかな?それに 2人に言ったら 付いてくるって言うだろ?」


「当然です。私達は 森の魔物を倒して 通行可能にするために ここまで来たのですから」


「だけど、2人の状態を考えれば・・・」


2人は最後の戦闘で 命の危機に晒された。普通であれば その後 しばらくは萎縮し本来の力を出せないだろう。そして、それが悪循環を生み 結局 迎えるのは・・・死。更に2人は 一日戦闘を行いかなりの疲労も見られた。


「足手まといだと?」


「・・・・・」


2人の状態を考えれば あの時点で 足手まといにしかならないが だからと言って そのことをはっきりと 言うこともできず 口ごもる。


「私達は・・・」


マリアにしては珍しく 感情的に 怒りすら滲ませ 声を荒げようとしたが シオンさんに遮られる。


「マリア様!」


シオンさんの声に ハッとし 我を取り戻したマリアを見て 更に言葉を続けた。


「マリア様 ナオキ様の仰る通りです。あの時の私達では足手まといにしかなりませんでした」


「それは シオンが・・・・ご、ごめんなさい」


マリアは自分が何を言おうとしたか 気付き言葉を飲み込んだ。


「シオン ごめんなさい」


「いえ、お気になさらないでください。実際 私が不甲斐なかったのですから」


「ですが それは私を庇ったからで」


「私は 侍女ですから」


「侍女ですから」


シオンさんはニコリとして言った言葉にマリアもまたこれは、シオンの伝家の宝刀と諦めたようだった。


「これからは私も無茶は申しません。ですから ナオキ様も 何も知らされず残される者の気持ちをお考えになって せめて 私やシオンには どこへ行くのか 何をなさるのか 教えてください」


マリアの素直さ。これが城の中で マリアの人気 評判の高さの所以なのだろう。だから、俺もマリアが好きなのだ。


「わかったよ。ゴメン」


「それで 何か分かりましたか?」


「アハハハ・・・・何も・・・・」


「独断先行して 何の成果も得られなかったと そう申されるのですね」


マリアさんがピクピクしている。


「ハ、ハイ・・・面目ない。ただね やっぱり 手掛かりは 多種の群れかなと思うんだ。だから、今度は多種の群れのリーダーを生け捕りにして 調べてみようと思ってる」


「生け捕りですか。難しそうですが ナオキ様なら 結界なり 麻痺や眠りの魔法で何とかなりますか」


「魔法を使うと 俺の魔力が残って ちゃんと調べられないかな?」


「かな?って では どうなさるのですか!」


「どうしたらいいと思う?」


ああ、マリアさん 怖い・・・。ピクピクが激しくなってきた。


「まあ マリア様 それくらいになさっては?」


シオンさんが助けてくれた!ありがとう。


「ナオキ様は 頼りになるのか ならないのか。まったく・・・・」


ブツブツ言うマリアを横目にシオンさんは


「ナオキ様のそう言うところが 可愛いと言うか 放っておけないのです」


シオンさん 最高です!


「シオンが そうやって甘やかすから!」


「さあ ナオキ様 怒りんぼうのマリア様は置いといて2人で 捕まえる方法を考えましょうね」


あれ?シオンさん その展開は・・・・。


「シオン!あなた 謀ったわね!」


「うかうかしていると取り残されると仰ったのは マリア様ですから」


「ムムムムム」


マリアは苦虫を噛み潰したような表情をする。シオンさんも怖い人だった。マリアといい シオンさんといい サヤといい 女って 怖い・・・。


「怖いって 誰のせいだとお思いですか!」


2人はハモった。また、声に出ていたらしい。サヤが居なくて良かった。居たら更に混乱しただろう。


ん?サヤ? サヤだ!


「いい方法を思い付いたよ!」


「どのような 方法ですか?」


マリアは尋ねてくるが まだできるか わからないので 確認してから ちゃんと話すと 約束する。そして3人で話し合い 今日の狩は休みにすることを決めた。俺には 生け捕り計画の準備 2人には 休息を取ってもらうためだ。その後 2人を村長の家に送り 俺は1人で ある家の前に立つ。


コンコン コンコン


ドアをノックすると 聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「はーい どなた?」


ドアが開くと 見覚えのある人物が姿を現した。


「えっ?」


その人物は 驚きの表情になる。


「やあ!約束だからね 会いに来たよ」


その人物は サヤだ。


「ナオキ様・・・」


「様は やめてよ。俺とサヤの仲じゃないか。今まで通りでね」


「ナオキさん・・って・・はやっ! さっき出て行って 1時間ほどじゃないの!


驚きの表情も束の間 今度は頬を染めて呟く。


「でも 嬉しい・・・会いに来てくださったのですね」


「うん。仕事の依頼だけど」


「・・・・・・・・・・・・・・」


サヤとマリアの表情がかぶる・・・目が笑ってないよ サヤさん・・・。


「女心を弄ぶのは感心できないわよ」


「ゴメン ゴメン」


「もうッ まあ 入って」


サヤに促され 先程まで居たリビングに通されるがスズちゃんの姿が見えない。


「スズちゃんはお母さんお部屋?」


「いいえ、ご飯を食べたらすぐに寝たわ。ほとんど 徹夜だったから。で、仕事って?」


「サヤは 薬の調合できる?魔法薬ではなく 普通の薬」


普通の薬は 化学合成の技術がないので 地球で言うところの 漢方に近いかもしれない。そして、魔法薬とは 回復や治療魔法の効果を持たせた薬で、効果はとても高いが 魔力が残ると調査に支障が出るかもしれないので 今回は使えない。 


「ある程度はできるわよ。それなりに 資料もあるし。どんな 薬が欲しいの?」


「痺れ薬とか 麻痺薬とか」


「あなた、まさかとは思うけどそれで マリア様やシオンさんを 手込めにしようとか?」


「おいおい、手込めって・・・」


俺はどんなキャラなんだよ!


「今 森の魔物退治に来てるんだよ。魔物の様子がおかしいから生け捕りにして 調べるんだ!」


「なんだ つまらない」


つまらないって・・・聞かなかったことにしよう。


「できる?」


「魔物相手に使うなら相当に強力なものじゃないと駄目よね?すぐには無理ね。明日の朝までには用意できると思うけど。後、魔物に使ったことなんか無いのだから 効果に関しても 約束はできないわよ」


「それでいいよ。十分 試してから使うようにするよ 」


「で?」


で? ってなんだ?意味がわからず 聞き直す。


「で?」


「謝礼よ!しゃ・れ・い! 女心を弄んだ罪と 薬のお礼は高くつくわよ!」


なるほど、原材料費もかかるしな。


「ああ、そっか。いくら払えばいい?」


「怒るわよ!」


「だって、材料費とかかかるんだろ?」


「そんなのいいわよ。だいたい 町のために危険な仕事をしてくれてるのにお金なんか取れないわよ」


「だったら どうすれば?」


「そうね・・・・だったら 今晩 ここで、ご飯と食べていきなさい!そして・・・その・・・今晩・・・こ、ここに・・・あの・・・と、泊まっていきなさい!」



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