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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
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マリアは もう少し魔力弾の練習をしたいと


申し出たが 魔力回復のための休憩で 魔力を消費


してては 本末転倒だと 言うと あっさり納得した。


ちなみに、魔力弾とは 魔力を打ち出す


例の技のことだ。この技が完成した日の夜


あまりの嬉しさに 深夜まで技の名前を考え


「シャイニング・・・・」みたいな名前を付け


その名前を叫びながらポーズを取ってみたり・・・。


翌朝 夜の醜態を思いだし赤面したことは言うまでもない。


深夜には魔の時間があるのは本当だったらしい。


よくよく考えれば 詠唱の必要も技の名前を叫ぶ


必要もないので 名前など何でもよかったので


無難に そのまま 魔力弾となった。


この名前を人に教えたのも始めて と言うくらいだ。




さて、その後 10回ほど戦闘をし


「近くに 大きな群れがあるので そこを潰したら 今日は終わろうか」


「はい。わかりました」


2人はまだまだ 魔力には余裕はありそうだが


それでも 戦闘は神経をすり減らし 体力を奪う。


それを自覚しているのだろう 簡単に同意を得られた。


森を進むと 大オオカミを主力として 大熊


ウサギ イノシシ 蛇などの 獣系の魔物が一つの群れとなり


出迎えてくれた。


俺は若干の違和感を感じつつも 2人に作戦を伝える。


「この中で 一番戦闘力が高いのは熊だね。俺が5頭の熊を請け負うから 2人はチームを組んで 向かって来る魔物だけ相手して。熊退治が終わったら合流するから それから 殲滅戦に移ろう」


2人の返事を聞き 俺は剣を抜き 大熊に向かう。


間に雑魚が割って入るが ものともせず 凪ぎ払い


大熊の前まで着くと オリハルコンの剣に


魔力を注ぎ込む。魔力の刃は 刀身を越え 巨大な熊の


背丈をも越えた。そして剣を降り下ろす。


熊の巨体は左右に分かれ 倒れていった。


次の熊に向かう途中 2人の様子を見ると


シオンさんが前衛 マリアが後衛のフォーメーションで


なかなかどうして 素晴らしい連携を見せていた。


ナオキが3頭目の熊退治に向かっていた頃


マリアたちが対峙していた魔物に変化が起こった。


今までは ただ闇雲に突っ込んで来ていた魔物たちは


マリアとシオンを囲み 襲って来なくなった。


また、時折 前に出ては 止めると言った 示威行動を


繰り返す。その度に マリアとシオンは対応


しなければならず 神経をすり減らしていった。


マリアはしびれを切らし


「シオン 出るわよ!」


「マリア様、なりません。魔物はこちらが動くのを待っているのです」


「そんなことは わかっています!でも このままでは 埒が開きません。相手の誘いに乗ったところで この程度の魔物なら 私たちで なんとかなります」


確かに 魔物単体と比べれば マリアやシオンの戦闘力は


圧倒的であるが 連携を取られればその限りではない。


ナオキが初戦で こちらが動くのを待っていると言ったのも


攻撃に移れば 狙った魔物に意識が集中し 他への警戒は


どうしても 薄くなる。


極端に言えば こちらが 魔物1頭を攻撃してる間に


周囲から 攻撃すれば魔物側の犠牲は1頭で済むのだ。


「このまま 待っていれば ナオキ様が合流なさいます」


シオンの当然の意見にマリアは 激しく言い返す。


「それでは、駄目なのです!私達は いつまでも ナオキ様に頼っていては 駄目なのです。この程度のことを 私達で何とかしなければ ナオキ様は 安心して 元の世界に お帰りになることができないでしょう・・・」


シオンは ハッとする。マリア様は 本当にナオキ様のことを


愛してらっしゃるんだ。それに比べ 私は・・・。


「シオンが 行かなくても 私は出るわ!」


シオンが思考を停止し 気づいたときには


マリアは すでに魔物に向かっていた。


と言っても マリアもただ無謀に 出たわけではない。


出る前に 詠唱を済ませ 外さない距離まで


目の前に居た 大オオカミとの 間合いをつめる。


「もらった!」


マリアが魔法を発動しようとした瞬間。


ガサッ


マリアの右手の茂みから もう1頭の


大オオカミが マリアに向かって 牙を剥き


飛び掛ってきた。


「くっ!」


マリアは 必死に 反対側へ飛びのき 飛び出してきた


魔物に 魔法を発動させようとしたが


「姫 いけません! 後ろ!」


シオンの叫びに 振り返ると


大熊が その丸太のような腕を振り上げ


後は 振り下ろすのみと言った 体制だった。


マリアは もはや 動くことすらできず


ただ 大熊を見つめることしかできなかった。


しかし その瞬間、マリアと 大熊の間に 割り込むものが居た。


マリアは割り込んできた者に 突き飛ばされる。


マリアの目には 防御体制をとった シオンの姿が映されていた。


いくら 腕を交差させ 防御体勢を取ってるとは言え


大熊の 大きな腕と 凶悪な腕力の前には 何の意味もなさない


ことは 明白だった。


『この腕が 振り下ろされれば 私の命は刈り取られる。ナオキ様の願いとマリア様の願いは 交じり合わないものかもしれない。だけど・・・だけど・・・どうか お2人が幸せになれますように・・・』


シオンは そっと目を瞑り 死を覚悟した。


「シオンーーーー!」


マリアの声が こだまする。


大熊の腕が シオンの体を捉えようとしたその時


シオンの胸から 強い光が放たれる。


ナオキが手渡し 胸の谷間に仕舞われていた


結界の呪符が発動したのだ。


結界の壁は瞬時に広がり 大熊の腕を跳ね返す。


勢いを殺すことのできない腕は それでも 強引に


跳ね返されることにより あらぬ方向へ 捻じ曲がり


更に広がる結界の壁により 大熊の体も弾き飛ばされた。


シオンは 事態の理解ができず ただその場にしゃがみ込んでしまった。


マリアはその間に 体勢を立て直し


追撃してきた 大オオカミ達に 魔法をぶつける。


ナオキはその様子を見て 違和感が 大きな疑問へと


変化していったのだが 今は シオンさんの 結界が切れるまでに


魔物をどうにかしなければならず 疑問を心の奥へ追いやり


一気に 魔物の殲滅に取り掛かった。


マリアが周囲の魔物を 掃討し終わる頃 シオンさんの結界も切れた。


「シオン まったく 無茶をする」


マリアは シオンに近づき 言う。


シオンは呆然とマリアを見上げながらも


「もし マリア様に 何かありますと ナオキ様が 悲しまれます。それに・・・私もマリア様が・・・その・・・大好きですから・・・マリア様に何かありますと・・・」


マリアは その言葉に 少し頬を染め照れるが 


すぐさま 真剣な表情となり


「シオン よく聞きなさい。もし あなたに 何かあっても ナオキ様は 悲しまれるのですよ。それに 私も・・・」


そして また 優しい表情となり


「とにかく ありがとう。助かったわ」


手を差し出す。


シオンは 王女の手を握っていいものか 悩むが


照れながら 早くしなさいと マリアに促され


躊躇いつつも マリアの手を取り 立ち上がった。



俺は 周囲の魔物を殲滅し 2人に近づき声をかける。


「2人とも 無理しちゃ駄目じゃないか。ヒヤヒヤしたよ」


だが 2人は 俺を見つめ・・・いや 睨み・・・?


「誰のせいだと 思ってらっしゃるのですか?」


シオンさんも


「そうですよ。まったく!」


何だかわからないが 2人に責められたので謝ることにした。


「ごめんなさい」


2人は 見つめ合い クスクスと 笑い出した。




「さあ 町に戻ろう。戻って お風呂に入って ご飯にしよう!」




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