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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
23/135

023

「マリアーーーッ シオーーーン!」


大声を上げながら 周囲を見回し 2人の姿を探し


木の影にその姿を見つけることができた。


俺は2人に駆け寄り


「どうしたんだい?この惨状は?」


見れば マリアは涙目で立ち尽くし


シオンさんに至っては 膝をつき ワナワナと


震えていたが 俺の声を聞き 顔をあげて 答えた。


「わ、私にもわかりません。何をどうすれば こうなるのか」


「いったい何が?」


「ただ、言えることは マリア様の給仕が壊滅的ということだけです」


「へっ? 給仕?」


俺は意味がわからず 聞きなおした。


「はい。ですが 私にもどうすればここまでのことになるのか 理解できません」


そこで ようやくマリアが口を開く。


「私だって 教えてもらったとおりに やったのですが・・・何故このようなことに・・・」


しかし それを聞いたシオンさんは 怒り心頭といった様子で


「教えたとおりにすれば このようなことにはなりません!」


「いえ、きっと シオンの教え方が・・・」


「なっ」


爆発寸前だったシオンさんは一転 ニヤリとする。


「私が教えても駄目ですと 何方が教えても・・・。ですから ナオキ様が元の世界に戻られた際には 私が妻のように身の回りのお世話をさせていただきますので どうぞ マリア様は ご安心ください」


その言葉を聞いたマリアは絶句するが 視線だけは


シオンさんを睨み付け シオンさんも負けじと


睨み返す。視線はぶつかり火花を散らしていた。


「まあまあ シオンさんもできない人に教えるなら 段階を踏んで少しずつ 教えていかないと。それに マリアも 一朝一夕でうまくなる訳じゃないし 教えてもらう立場なんだから もっと謙虚にならなきゃ」


「はい」と2人 は シュンとしながら声を合わせた。


「じゃあ 改めて シオンさんはお茶をお願い。俺は 果物を切るよ」


シオンさんは 周囲をサッと片付け お茶に取り掛かり


マリアはその様子をじっと見つめ 時折 シオンさんに


何かを聞いて勉強しているようだ。


俺は採ってきた リンゴに似た果物を切り出したが


フッとした思い付きで ウサギに切ってみた。


切った果物を皿に並べ シオンさんを見ると お茶の


準備も できているようだった。


「マリア 勉強になったかい?」


「はい。ですが 先程 私がやったのと どこが違うのか 見当もつきません」


シオンさんは やれやれと言った顔をし


俺は 苦笑いを浮かべることしかできなかった。


ようやく お茶の時間になって すぐに マリアが


「変わった 切り方ですね」


「ウサギに見えないかい?」


俺が答えると


「言われれば。とても可愛いです。何だか食べるのが 勿体無い気がしてきました」


「はははは」


シオンさんも


「ナオキ様は 器用ですね。始めて見る切り方です。どこで習われたのですか?」


「俺が小さな頃 病気なんかで 寝込んだら 母さんがよくこうやって 切ってくれたんだ。普段も ウサギに切って頼んでも 面倒だって、手間なんか変わらないのにね」


懐かしむように 自分で切った果物をを見つめる。


2人の視線に気付き 誤魔化すように 笑うが


シオンさんは


「申し訳ありません」


謝られてしまった。


「シオンさんは 何も謝らなければならないようなことは してないよ」


マリアも


「早くお帰りになりたいのですね」


少し寂しそうに尋ねてきた。


「そうだね。できれば 早く帰りたいけど そうもいかないしね。それに 俺は今 ここで生きているんだ。ここには まだ 困っている人も居るしね」


「わかりました。では まずこの森をなんとかしませんと」


マリアは ふざけたように言うが マリアなりの 気遣いなのだろう。


「そう言えば ナオキ様 戦いの中で 魔力をそのまま ぶつけるような 技を何度か使われていましたが あれは どう言った技なのですか?」


「あれは 見た通り マリアが言った通り 魔力を練って そのままぶつける技だよ。魔力をぶつけるだけだから 魔法が効かない敵にも よく効く敵にも使えるから使い勝手がいいんだよ。それに、集中するだけで 詠唱の必要がないしね」


「とても便利そうですね。よろしければ 教えてもらえませんか?」


「いいよ。この技は 集中力とイメージ力が 大切なんだ。そうだね まずは 指を一本立てて その指先に魔力を練るようにして集めるんだ」


「はい」と答えたマリアは 真剣な表情で 自分の指先を


じっと 見つめる。待つこと数分


「できました!」


マリアの指先を見ると ビー玉くらいの 小さな魔力の塊が出来上がっていた。


正直 驚きを隠せない。俺でも 玉を作るのに3日かかったのだ。


まあ 俺の場合 魔力が大きすぎて コントロールするのに 時間がかかった。


むしろ 魔力のコントロールの訓練をしていたら この技が できるようになったといった


感じなのだが それでも たったの数分で できるように


なるとは さすがは 天才と呼ばれているだけのことはある。


「それじゃあ 振りかぶって あの木に向かって 投げつけてみてごらん」


マリアは 言われた通り 目の前の木に向かって


魔力の玉を投げつけた。すると 玉は勢いよく


飛んで行き 深さ5センチほどの穴をあけ 魔力は


霧散していった。


「ナオキ様!できました!」


「マリア 凄いよ!こんなに すぐにできるようになるとは思わなかったよ。給仕とは えらい違いだね」


「それは言わないでください。もう ナオキ様は意地悪です」


「はははは。ごめん、ごめん。もっと 使えるようになったら 魔力は何処にでも集められるようになるし 投げる動作も必要無くなるからね。指を立てるのも 投げる動作も イメージを強化してるに過ぎないから」


「まだまだ 修行が必要だと言うことですね」


「そうだね。それにマリアはこの技を覚えたほうがいいのかな?例えば 拐われて 手足を縛られても 使える上に 魔法封じされていても 詠唱が必要ないから 使えるしね」


「護身術のように使えると言うことですね」


「うん。でも気を付けてよ。拐われて 見張りは倒したのに 縛られていて 動けなかったとか 意味ないから」


「それくらい わかってます!」


「えー どうだろう?マリアって 意外に おっちょこちょいな所があるからね」


「やっぱり 意地悪です。知りません」


そう言って そっぽを向いてしまった。


マリアのテンプレ的な動きは 安定感があっていい。


とにかく 可愛いぞ!


「ムムムッ」


マリアを愛でていると 何処からか 唸り声が


「ムムムムムムッ」


「ムムムムムムムムムッ」


見ると シオンさんが 眉間にシワを寄せ 難しい顔をし


自分の指先を凝視・・・睨み付けていた。


「ふー・・・。できません」


シオンさんは 涙目になっていた。


シオンさんのこんな表情は 超レアだ。とりあえず 拝んでおこう。


「ナオキ様・・・何をなさっているのですか・・・?」


手を合わせている俺を 涙目のまま 不思議そうに見る シオンさん。


「あははは 何でもないよ」


「私には 無理なようです・・・」


しょんぼり と音が聞こえてきそうな 表情だ。


「気にしなくていいよ。俺だって できるようになるのに3日 掛かったし 数分でできた マリアが特別なんだと思うよ。たぶん 普通の人なら 数ヶ月から数年掛かるんじゃないのかな?」


「本当ですか?」


必死にシオンさんを宥めているのに マリアが 余計なことを言い出す。


「あら シオンはできなかったのですか?仕方ありませんね。ナオキ様が 元の世界にお戻りになった際は 私が 常にお側にあって ナオキ様をお守りいたしますので シオンは 安心して 私に任せてくださいな」


「なっ・・・ナオキ様は マリア様に守られなくても 十分お強いです!」


また 睨み合い 火花を散らす 2人だった。


ホント 仲良くしてください・・・・。


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