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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
22/135

022

歩き出すと すぐに 魔物と鉢合わせとなった。


魔物のほうも 先ほどの戦闘に気づき こちらへ向かっていたのであろう。


10メートルほどの距離を置き にらみ合いになる。


大熊と呼ばれる魔物で 立ち上がった姿は 身長170ちょいの俺の


倍くらいはありそうだった。


地球で 立ち上がった熊を間近で見たことがないので


それが 本当に大きいと表現していいのかは わからないが


まあ こちらの世界の人間が名付けたのだから こちらの世界の


獣の熊よりかは 大きいのだろう。


手短に作戦を伝え 即 行動に移す。


マリアは 風の刃の魔法を 熊の顔に向け 連射する。


致命傷は与えられないが 嫌がった熊は 腕で顔をガードした。


すると当然 視界が塞がれ その隙を突いて シオンさんが


熊の後ろに回り 足の腱やら筋を切り裂く。


熊は 立っていられなくなり 前足をつき


その瞬間を狙い 俺は剣を振り下ろし 熊の首をはねる。


そして 黄色の魔結晶が残された。


「ナオキ様 見てください!黄色ですよ!」


マリアは 嬉しそうに 魔結晶を 俺の元へ持ってきた。


その後 10回ほど 戦闘をこなす。ウサギやイノシシの魔物 スライムやオーク


と言った 定番の魔物 それらを 危なげなく 倒していった。


2人を見ると やはり 疲れが出てきているようだ。


魔力を消費すると 精神的に疲れ 枯渇すると ゲームのように


魔法が使えなくなるだけでなく 身動きが取れなくなるほどの 疲労に襲われるのだ。


そして ゲームのように 魔力を回復する 薬なども存在せず


回復するには 大気中の魔素を体内に取り込み 魔力へと 変換する。


マリアが付けている イヤリングのように 魔素の吸収や変換の効率を


上げる魔道具はあるが その効果は微々たる物で 


戦場においては 気休め程度のものだ。


2人の魔力は まだまだ 枯渇するまでには 至らないが それでも精神的な疲れは


集中力を途切れさせ そんな中 戦闘をすれば


必ず ミスをする。戦闘時のミスは 命に関わるので 


俺は2人に 休憩を提案した


「近くには 魔物も居ないようだし そろそろ 休憩にしようか?」


「そうですね。さすがに少し疲れました」


この時ばかりは マリアの素直さに助けられる。


シオンさんだったら 無理にでも 続けようと言いそうだ。


俺は 倒木を剣で切り刻み 机と椅子を作ってみた。


倒木と言っても 先の戦闘で 俺が斬り倒しちゃったのだけど・・・ごめんなさい。


リュックを顕現させ 中からコンロ ヤカン 水と茶葉 食器を取りだし


お茶の準備を始めると その道具を見たシオンさんが


「ナオキ様 コンロの魔石は大丈夫ですか?」


「前の旅から入れっぱなしだけど たぶん 大丈夫だと思うよ。」


「駄目ですね。ちゃんと 旅に出る前にチェックしませんと。まあ ナオキ様でしたら すぐに 魔力を補充できるでしょうが」


シオンさんは やれやれと言った顔で コンロの


ふたを開け 中の素材を見るや 固まってしまった。


「これは もしかして?」


「うん オリハルコン」


「ナオキ様!こんな貴重な素材を コンロなどに!

何をお考えなのですか」


「だって そんな小さな欠片だと 他に使い道は

ないし」


「だからって・・・・」


シオンさんは 納得できないようで ブツブツ


言いながらも コンロの蓋を閉じた。


それもそうだ。オリハルコンは コンロなどに


使う素材ではない。間違いなく 魔力が尽きるより


先に他の部分が寿命で壊れるだろう。


ナオキが コンロに入れている大きさの物では


小さなナイフの刃すら作れないが


それでも 売れば 大きな貴族の屋敷を買った上


一生 豪遊して 暮らせる位にはなる。


タラクシャの王城で使われている 大きなものだと


小さな国が 丸々 買えると言われている。


元々は 自分が使っているオリハルコンの剣の


補修用に手に入れたのだが 使う機会もなく


それだったらと コンロに入れて 忘れていたのだ。


シオンさんが 呆れ顔で準備を始めようとすると


マリアが声をかけてきた。


「私にさせていただけませんか?」


「別にいいけど できる? やったことある?」


「経験はありませんが・・・そう! シオンに教えてもらいます。」


「そ、そっか。でも どうしたの 突然?」


「その・・・ナオキ様の故郷では 自分で 何でもしないといけないと 聞きましたので 私も お茶くらい 淹れれないと その・・・ナ、ナオキ様の妻として その・・・もう 何でもありません!」


なんか 最後の方は 聞き取れなかったけど


まあ、やる気が有るのに 止める必要もないか。


ただ、シオンさんの顔がヒクヒクしてるのが 気になります・・・。


この場に居ては 何か 危険なような気がしたので


戦術的撤退を試みました。


「それじゃあ お茶は 2人に任すよ。シオンさん しっかり 教えてあげてね。俺は 近くに 美味しい果実を見かけたので 採ってくるよ。

魔物の気配や魔力は 感じないけど ここを離れたりはしないでね」


じゃあ 行ってくるよと 言い残し この場を離れることに成功した。




マリアが シオンの特訓を受けているとき タラクシャ城内でも


同じように お茶の練習をしている者が居た。


「では アンナ お茶の練習をしましょう」


そう言ったのは 勇者付きの侍女 ターシャだ。


アンナも ナオキと同行することを希望したのだが シオンに侍女の


仕事を覚えることを 命じられ エリー ターシャと共に


居残ることとなったのだ。


「お茶なら淹れれますが?」


「あなたの淹れたお茶は まだまだです!」と ターシャに一蹴され


シュンとする アンナ。


「何事にも言える事ですが 上手くなろうと言う志が大切なのです。

そして その志を持った上で 後は 数 経験が 上達の鍵なのです」


ターシャは 「はい」と 返事をするアンナを見て


「では そちらのワゴンを押して 付いてきてください」


アンナは お茶のセットが乗せられたワゴン 


エリーは カップがたくさん乗せられた ワゴンを押し 


ターシャの後に続く。


城内を歩き 着いたのは 騎士団の練習所だった。


騎士団も 物資輸送の護衛などに駆り出されていたが


10数名の新人や経験の浅いものは アンナと同様 居残り


訓練を命じられていたのだ。


「では しばらく休憩にする!」


訓練所に響き渡ったのは 団長 マキシムの声だった。


訓練所のそばで 待機していた3人だが マキシムの声を聞き


ターシャが 中に入っていく。


「マキシム様 お願いがあり 参りました」


「あなたは?」


「私は 勇者様付きの侍女で ターシャと申します」


「勇者様付きの侍女が どのような 用件だ?」


「はい。新人の侍女が配属されまして お茶の淹れ方を練習しています。

もしよろしければ 騎士団の皆様にご協力いただけないかと思い

不躾ながら 参りました」


「なるほど。わかった では 協力しよう。いや ご馳走になろう」


マキシムの気さくな返事を聞き 待たせていた2人を呼ぶ。


そして マキシムの大きな声が 再度 訓練所に響いた。


「みな よく聞け。こちらの 美しいお嬢さんたちが お前達に お茶を

振舞ってくれるそうだ!ありがたく 頂くように」


訓練に疲れきり その場にしゃがみ込んでいた 若い騎士達だったが


マキシムの言葉と その場に来た美女3人を見るや 


大きな歓声が上がった。


「エリー お願いね。私は アンナを教えながら やるから」


さすがに この人数だと アンナ1人では 捌ききれないので


二手に分かれた。


「ほら、茶葉はもっと蒸らして」


「はい」


「もういいわよ。お湯の温度はこれくらいね」


「はい」


「お湯を注いだら 茶葉の開き具合 お茶の色をしっかり見て・・・」


「はい」


マキシムは 少し離れたところから 2人の様子を見ながら思う。


『あれが噂の姫侍女か・・・』


どこかの世界遺産のように 呼ばれていることは 本人も城の


ほとんどの者も 知らない。


アンナの素性については 秘密にされ ごく一部の者しか知らされていないが


マキシムは自身の立場と 大貴族の情報網によって


知るところとなっていた。


『面白い素性であるし 勇者付きの侍女と言うこともある。顔だけでも

繋いでおけば 後々 使えるかも知れんな』


ターシャが お湯の補充のため 離れたのが見えたので


アンナに近づく。


「あなたが、アンナ・・・」


マキシムの言葉を遮るように


「アンナです」


そして マキシムの目をじっと見つめ もう一度


「アンナです」


アンナの意を汲み マキシムは


「では アンナ 私にもお茶をいただけるかな?」


「はい。喜んで」


そして 真剣な表情で お茶と格闘する アンナを見る。


「私は思うのだ」


アンナは顔を少し上げた。


「?」


「決意とは 誰にでもできるが それを行動に移せるものは 存外 少ない。

私は その行動に移せるものは 尊敬に値すると思っているのだ。

あなたの決意が どのような物かは 知りえないが 

ここまで やっているのだ、頑張って欲しい」


「はいっ」


アンナは 満面の笑みを浮かべ 答えた。




「えっ?」


ナオキが果実を抱え 戻ると そこは 先ほどとは 


違う場所かと思えるほどの惨状が広がっていた。




姫侍女・・・世界遺産・・・姫路城・・・。すみません。分かりにくい駄洒落で・・・。

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