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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
21/135

021

2人には 気を抜かないように 言ったが


実はそれほどの危機感はなかった。


立ち止まって 集中すればこの森の広さならば


魔物の正確な数や位置を探知することはできる。


何かしながらでも 大体のことはわかるし


今はそれで十分だ。


歩きながら 周囲の魔力を探り 近くに魔物の群れを感じ取る。


数は30頭ほどだろううか?小手調べと その群れに向かうことにした。


正面には出ず 群れの横をやり過ごし さらに進むと


魔物たちは 静かに 付いてくる。


木々がない小さな広場に出ると その中央で立ち止まる。


「どういたしました?」


マリアが尋ねてくる。


「魔物だ。準備して」


短く答えると 2人は身構える。


マリアは 周囲に 注意を向け シオンさんはどこからか


取り出した ダガーを構える。


いったい どこに隠し持っていたのか・・・。


まあ 聞いてもシオンさんの事だから


「侍女ですから」で すまされるような気がする。


魔物たちは 木々の隙間から姿を見せ こちらを窺っている。


姿をあらわしたのは「大オオカミ」と呼ばれている


魔物だった。姿かたちは 犬や狼と言った感じだが


「大オオカミ」と言うくらいで とにかく 大きい。


動物園にいた動物に例えるなら 虎ほどの大きさがあり


1頭がそのサイズで それが30頭以上居るのだから


なかなか 壮観だ。


大オオカミが 虎サイズなんだから もし 大虎とかいたら


どんな大きさになるのだろう?


きっと 巨乳の委員長が産み落とした 虎くらいの大きさになるのか


などと 考えていると


「襲ってきませんね?」


マリアは注意深く周囲を観察しながら言った。


「俺達が動くのを待ってるのだよ。この魔物は普通 5頭くらいの群れで 多くても10頭は居ない。それが30頭以上の群れを束ねているのだから この群れのリーダーは 相当 力が有るし知能も高いのだろう」


「とは 言ってもこのまま睨みあっていても?」


「そうだね さて どうするか」


注意深く 魔物たちの動きを観察すると 他の固体より少し小さな


1頭に気が付く。そいつは 魔力も高く その眼光 殺気の鋭さが


明らかに違った。「奴がリーダーだな」


「2人とも あそこの少し小さい奴が見える?たぶん あいつが

この群れのリーダーだ」


「そうなのですか?」


「まず、間違いない」


「では あの魔物を倒せば?」


「そうだね。それじゃあ 作戦を伝えるよ。俺が リーダーの横に

短距離転移し 首を落として すぐに戻ってくる。

群れが大きい分 リーダーを失えば 混乱も大きい。

リーダーの縛りがなくなった魔物たちは 連携せずに

本能のまま 襲ってくるか 逃げ出すと思う。

2人は 向かってくる魔物を 各個撃破して。

俺は 逃げ出す奴と 纏まって向かってくる奴を

相手するから」


2人は 呆れた顔をし マリアは


「やはり ナオキ様は規格外ですね」


それもそうだ。転移魔法は 例え短距離であっても ごっそり魔力を


消費してしまう。緊急脱出的に使うことがあっても 戦いの中で


簡単に使うものではない。ナオキの無尽蔵ともいえる 魔力があって


こそできることなのだ。


「一応 褒め言葉として受け取っておくよ。行くよ。いいね?」


2人が頷いたのを確認し リーダーの横へ転移する。


剣を振り下ろしたと同時に また 元の場所へ転移した。


少し 余所見をしていれば 見落としてしまうほどの瞬間の出来事。


「ドサッ」


そんな音が 魔物の群れの中から聞こえる。


リーダーの頭は 体に別れを告げ 地面へと向けて滑り落ちた。


魔物たちが 音がしたほうへ 視線を送ると 頭のない リーダーの体が


崩れ落ちるとこだった。


「バタッ」


リーダーの体が 倒れ数秒 魔物たちは固まっていたが その中でも


数頭が 厳しい目線を向け 牙をむき 襲い掛かってくる。


「来たよッ」


俺の掛け声と共に すでに詠唱を終え 準備態勢だったマリアが


魔法を発動する。右手からは 風の魔法 左手からは 氷の魔法 


いわゆる 合体魔法と言うやつだ。極寒の強風は いとも簡単に 魔物たちを


氷の塊にする。


合体魔法とは 違う属性の魔法を 同時に発動し その効果は 足し算ではなく


掛算的に 向上する。しかし その分 多くの魔力と とても高い技術が


要求されるが タラクシャ王家の人間は 元々 魔力が高く その中でもマリアは


天才と呼ばれ 3賢人に次ぐ 魔力と技術を有していた。


その片鱗を今 垣間見た気がする。


マリアは問題なさそうなので 今度はシオンさんを見る。


シオンさんも すごかった。いや 華麗だと言うべきか?


まさに 舞うように 敵の攻撃をかわし ダガーで 切り刻んでいく。


見れば シオンさんの持っている ダガーは 魔道具のようだ。


柄の部分に 握った者の魔力を吸収するクリスタルがはめ込まれており


吸収した魔力を 刀身へ流しコーティングすることで 切れ味 強度を


格段に上昇させるのだ。


通常 刃は切れば切るほど 切れ味は落ちる。


人であれば甲冑 魔物であれば 固い外殻 そして 深く切り込めば 骨にも当たり


そうすれば どんな名刀であっても 数度 使うだけで 簡単に刃こぼれを起こす。


そもそも 戦いにおいて 刃とは 切るものではなく 突くものなのだ。


ダガーにしても 接近戦で 相手の甲冑の 間接部分の隙間などに突き入れ


攻撃することに特化し 進化してきた武器である。


しかし シオンさんの使っているダガーは そんな刃物の弱点を 魔力で補い 


小さく取り扱いやすく 攻撃をかわしながら切りつけると言う


自分の戦闘スタイルに 合ったものを選んでいるようだ。


こちらも 問題なさそうだ。2人に負けないように 俺も頑張らなきゃ。


俺の今握っている剣も魔道具だが シオンさんのものに比べるとその性能は


大きく違う。魔力吸収クリスタルの吸収量の大きいもので それが


4つ埋め込まれ 刀身もオリハルコンでできており 魔力の保有量は


桁違いだ。それだけ聞けば すごい剣のようにだが これは 使うものを選ぶ。


仮に 一般的な魔力しかない シオンさんが この剣を使い


魔力を吸収させれば 一瞬で 全ての魔力を吸い尽くされ 


戦いどころではなくなる。俺だからこそ 使いこなせる剣と言えるのだ。


俺は 一気に魔力を注ぎ込み 溢れかえった魔力は 刀身を超え


その一振りで 剣が届かない位置に居る魔物さえ 両断する。


こちらの戦いぶりを見て 恐れ逃げ出す魔物もいる。普通だったら


見逃しもするが 今回は 討伐が任務。ここで 逃がしたところで


違う群れに吸収され また、戦うことになるので 同じ事と


容赦なく 魔法を打ち込み倒して行く。


5分もしないうちに 30を超える魔物を 殲滅した。


「2人共 平気?」


近づきながら聞くと マリアは


「平気です。それより シオンもなかなか やるわね」


「いえ マリア様こそ 見事な戦いぶりに 見とれて


しまいそうに なりました」


その素直な賛辞に 頬を赤らめ


「そんなことはないわよ。まあ 少し張り切ってはいましたけど」


照れているマリアも可愛い・・・いやいや 今はそんな場合では・・・。


気を取り直し 仕事に戻る。


「魔結晶を集めてくるから 2人は 休んでて」


2人をその場に残し 魔結晶を集め始める。


魔結晶とは 魔物の命が尽きたときに


その魔物が持っていた 魔力が結晶化したもので


倒されると数分で体が崩壊し魔結晶だけが残される。


また、その魔物が持っていた魔力に応じて


結晶の色が変わり 魔力が 多くなるにつれ


青 黄 赤と変化する。 今回は リーダー以外は 全部 青で


リーダーは やや黄色に近い色をしていた。


ちなみに この3色以外にも 金や銀 透明や黒何てのも


存在するが それらは 精霊や聖獣 ドラコンや魔王軍の


将軍クラスを倒さなければ 目にかかることの


できない 超レアアイテムになる。


そして、魔結晶は 魔力の補充はできないものの


魔道具の燃料として使われたり 結晶自体を加工し


魔道具を作ることもあるので いい値段で引き取って


もらえるのだ。


集め終わり 2人に リーダーの魔結晶を見せる。


「見て。リーダーのは 黄色に近いよ。まあ 他のは 全部青いけど」


「それを瞬殺する ナオキ様もすごいです。でも魔王を倒した方なのですから

当然と言えば 当然なのでしょうか?」


「はははは」


マリアの素朴な疑問に 曖昧に笑って誤魔化し


「さて 次に 行こうか」


「そうですね。魔物はまだまだ 居るようですし」


シオンさんの冷静な言葉を聞き マリアも頷く。


俺は 魔物の魔力を探り 近くに1頭だが 先ほどのリーダーより


強い魔力を 感じ取る。


「近くに 1頭だけど 強い魔物が居るようだ。そこに向かうよ」


「はいっ」


2人の気持ちのいい返事を聞き 歩き出した。


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