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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
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町の食堂に入ると 丁度 昼時のためかなり混み合っていたが 空き席を見つけ座る。


手早く 料理を注文するとマリアは


「ナオキ様は 旅慣れていますね」


「そうだね。魔王討伐の旅でも 食事だけが楽しみだったし」


「意外です。ナオキ様は 食にこだわりがあるのですね」


「こだわりと言うほどのものじゃないけどね。同じ国の中でも 町や村ごとに

名物料理が違ったりすることもあるから」


「そうなのですか。出てくる料理が楽しみです」


この世界では 地球と違い 大量輸送の手段がない。地球では トラックや貨物列車


飛行機など輸送手段がいろいろあり 近くのスーパーで 大体のものが揃う。


また、専門店や輸入食品店などに行けば 世界中の食品を手にすることもできる。


しかし、この世界での輸送手段は 荷馬車だ。量も運べなければ 時間もかかるため


生ものも運べない。


ちなみに 転移魔法では 移動の距離 転移する人数や荷物の量に比例して


必要な魔力も増えていく。


俺は 3人で城から このモニリの町まで 軽く転移できるが 同じことができるのは


この国では 3賢人くらいだろう。しかも 彼らでは 転移後 魔力が枯渇し


回復には2~3日必要になるはずだ。


事実上 転移魔法での物資輸送は 不可能なのである。


それ故 地元で取れた食物は 地元で使うことになる。


つまりほぼ完全に 地産地消なのだ。


マリアにも言ったように 同じ国の中でも 作っている作物が


違えば 名物も違ってくる。


だから 娯楽のないこの世界での俺の楽しみは 食事になった。


そうしているうちに 料理が運ばれ それを見たマリアが言う。


「どれも 始めてみる料理です」


俺は以前にもこの町に来たことがあり 王都にはない料理を あえて選んだのだ。


「それじゃあ 食べようか」


食事を始めると 2人はとても 夢中に食べている。


「とても美味しいですわ」


シオンさんも


「初めての味です。とても美味しいですね」


そして彼女は 店員を呼びとめ 作り方を聞き出していた。


確かに この世界には娯楽が少ない。大人であれば 酒場、あと 男性だけの


楽しみになるが 女性とパフパフするお店・・・。


それと・・・・お風呂だ! お風呂を忘れていた。


大衆浴場が たくさんある。どんな小さな村でも1軒はあり 


王都にいたっては10軒もある。


造りは ほとんど日本のスーパー銭湯とかわらない。


しかし 後はどんなに頭をひねっても 娯楽は思いつかない。


それに 風呂は この世界の人の社交場であることには間違いないが


生活の一部でしかなく、娯楽とは言いがたい。


何か、この世界の人たちに娯楽を・・・子供も大人も 男も女も 貴族も平民も 


みんなが笑顔になれるようなことを 提供できないだろうか・・・。


娯楽・・・


娯楽・・・


娯楽・・・


「ナオキ様!」


「ナオキ様!!」


軽くマリアに 肩を揺すられ我に返る。


「あー ごめん 考え事してた」


「お食事中に お行儀が悪いですわよ」


「申し訳ない」


「何を考えてらっしゃったのですか?」


「娯楽をね」


「娯楽?」


「まあ、なんでもないよ。それより 食事も終わったことだしそろそろ 森に向かおうか」


マリアもシオンさんも 少し怪訝そうな表情だが 了承し 店を出た。


町を歩き 門のところで 先ほどの 門番に声をかけられる。


「先ほどは 失礼いたしました」


「いえいえ こちらこそ」


「貴族様とは知らず 本当に申し訳ありませんでした」


「本当に 気にしないでください。それに 職務に忠実なのは この町のためにもいいことだと思いますし」


「ありがとうございます。そう、言っていただけると 助かります。これから森に入られるのですか?」


「そうですね。偵察がてら」


「では お気をつけください」


「ありがとう。では 行ってきます」


ジンさんは 上手く門番達に 言ってくれたようだ。少し門から離れると 後ろから


話し声が聞こえてくる。


「貴族様だったとはな」


「だが 考えてみりゃ 侍女を連れているんだ。貴族か 平民だとしても王都の豪商かなにかだろうに」


「確かにそうだが あの時は 陛下の手紙とか聞いて 頭に血が昇ってな」


「そうだな。でも 変装してるのに 侍女をそのまま連れているなんて 間抜けな話だ」


「間違いない はははっ」


「おっと 声が大きい。聞こえるぞ」


って 丸聞こえなんですけど・・・。


間抜けですか・・・だって 仕方ないじゃないですか 


シオンさん 着替えてくれないのだから・・・。


で、シオンさんも 聞こえてますよね?絶対 聞こえてますよね??


俺の呟きには 漏らさず 突込みを入れてくるんですから 


今の会話くらい 聞こえてましたよね?


なに 素知らぬ顔してるんですか!


まったく・・・。


そう思いながら シオンさんに 視線を送ると


「聞こえてませんよ?」


いや・・・なんで 俺の心の声にまで突っ込み入れてるんですか。


って言うか 聞こえてるじゃないですか・・・。


そうこうしているうちに 森の入り口に着き 俺は 2人に向き直る。


「さて ここから 森だけど 準備はいい?」


「大丈夫です」


2人は答える。


「マリアは魔法を使うんだよね?火事になると消火が面倒なので 火の属性魔法は使わないでね」


「なっ・・・ナオキ様に常識を諭されました。驚きです!」


「はぁ」


まあ これくらい余裕があれば大丈夫だろう。


「シオンさんは どう?」


シオンさんは 手ぶらのまま 直立している。


「大丈夫です」


「えーと 武器とかは?」


「大丈夫です」


何が大丈夫なんだかわからないが とにかく 大丈夫なのだろう?


「今から 森に入るけど こちら側が風上だから 獣系の魔物には 匂いで俺達が森に入るのがばれてると思って。余裕があるのはいいけど 気は抜かないように。いいね?」


「はい」


2人からは いい返事が返ってきた。


「じゃあ 行こう」


俺達は こうして 森に入っていった。


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