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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
18/135

018

『はぁー・・・ 完全に押し付けられた』


俺は心の中で 呟く。


「押し付けられたなんて 失礼ですわよ」


誰だ?俺の心の声に突っ込むのは?


『まぁ 他じゃ 扱いにくいだろうけどさぁ』


「だから、失礼ですわよっ!」


だから、誰なんだ さっきから 心の声に突っ込むのは?


「わたくしです!」


「へ?」


間の抜けた声を上げると 目の前に アンナ姫が仁王立ちしていた。


「へ? じゃありません。まったく」


「もしかして 声に出てた?」


「もしかしなくても ばっちり それもう 明確に 声に出てました」


「は、は、は、・・・ごめんなさい」




アンナ姫と 面会した2日後の朝 シオンさんはアンナ姫を連れてきた。


「ナオキ様 新人が配属されました。以後 よろしくお願いします。アンナもご挨拶して」


「勇者様の侍女になれるなんて とても光栄です。精一杯がんばりますので よろしくお願いします」

「・・・アンナ姫」


そして 冒頭に呟きに続きます・・・。


シオンさんが怪訝そうな顔で尋ねてきました。


「御2人は お知り合いなのですか?」


「知り合いと言うか なんと言うか・・・まあ 後で絶対にばれるだろうから

先に 言っておくよ」


今度は 何か 不安そうな顔になりました。


「えーーーと アンナ姫は ワーレンの王女様です」


更に ビックリしたような顔になりました。うん シオンさん 最近 表情が


豊かになってきて って 言ってる場合じゃないか・・・。


「アンナが お姫様・・・・?」


当のアンナ姫は したり顔で


「いえ 正確には元 お姫様です。ワーレンは滅びましたし 今は 一介の侍女に過ぎません。ところで ここの方は 勇者様のことを お名前でお呼びしているのですね。私も お名前でお呼びしても よろしいでしょうか?」


「それは 構わないけど」


「ありがとうございます。では 私のことも アンナとお呼びください。

私は もう姫でもなんでもないのです。ただの侍女なのですから。シオンさんも

お願いしますね」


俺は 真面目な顔をし アンナそしてシオンさんに 向き合う。


「わかったよ アンナ。シオンさんも これはアンナの決意であり 意思なんだ。尊重してあげて」


シオンさんは 戸惑いながらも「はい」と 答えてくれた。




朝食を済ませ いつものように 召還の間へ 向かっていると 通路で


ヨーヒムさんと 文官の方が難しい顔をして 話しこんでいる。


「ヨーヒム様 どういたしましょう?」


「どうと言われてもな・・・今 軍も人手が足りんのだ。そちらに 人を裂く

余裕はないな」


「では 金はかかりますが 城下で募集を 出しますか?」


「軍を動かしても 金がかかるのは一緒だから それは構わん。ペレスの一件で

国庫は潤っているしな。ただ、民に 被害を出したくないのだ」


俺は 近づき挨拶をする。


「おはようございます。何かあったのでですか?」


「これは勇者殿、おはようございます。実は モニリの森で 魔物が大量発生

しているそうで 街道を通る行商人や 森のそばにある モニリの町にも

被害が出ているのですが 討伐に向かわせるほど 軍にも人手がなくて

困っているのです」


現在 国軍は 近隣諸国へ 工事の応援や 物資輸送 その護衛などに


多くの人手を割いて ほぼ 国内にまとまった戦力が ない状態だった。


おそらく 今 他国に攻め込まれれば ひとたまりもないが 


そこは 俺が他国に対する 抑止力になっているのだろう。

「だったら、俺が 行ってきましょうか?」


「勇者殿に そのようなことを」


ヨーヒムさんの言葉をさえぎる。


「俺だったら 1人で行けばすむ話しですし 時間もありますし 何より

いつまでも 豪華なただ飯を食ってるだけでは 心苦しいので 何か 国のために

働きたいのですよ」


冗談めかして言うと ヨーヒムさんは 珍しく表情を緩め 「お言葉に甘えてもよろしいですか」かと 尋ねてきたので 快諾した。心底 困っていたのだろう。


ヨーヒムさんとの 別れ際 ふっ と思い出したことがあり 呼び止める。


「あっ ヨーヒムさん」


彼は 振り返り 「何でございましょ?」


「そう言えば ペレス卿に捕まっていた レノと言う少女なのですが」


「なかなか 美しい少女でしたが 気になりますか?」


ヨーヒムさんは表情を変えず こういうことを言うので 本気なのか冗談なのか


わからなくて困る。


「いえ、知っている子に 特徴が似ていたので」


「そうですか。ただ 申し訳ございません。保護したときには とても衰弱しておりましたので 医者の下に預けていたのですが 居なくなりました。」


「居なくなった?」


「はい。連れ去られたのか・・・はたまた 意識を取り戻し 自分の意思で 逃げ出したのか・・・。一応 手配は掛けているのですが 国内外とも このような状況ですので見つけ出すのは難しいかと」


「そうですか・・・・ありがとうございます」


ヨーヒムさんと別れ 気持ちを切り替え これからのことを考える。


今回の俺の任務は モニリの森に大量発生した 魔物の討伐。まあ 魔王討伐に


比べれば 楽な仕事だ。


魔王が居なくなっても 全ての魔物が駆逐されたわけではない。


魔物が どうやって生まれてくるのかも 解明されておらず 今回のように 一箇所に 


大量発生することもあるのだ。


モニリの森は かなり広大で 3~4日・・・かかっても 一週間あれば 


何とかなるかと 計算する。広域殲滅魔法を使って 森ごと 消したら 


楽なんだろうけど そんなことをすれば 間違いなく 怒られる・・・。


部屋に戻り シオンさんに 数日の旅に出ることを伝え 準備にかかった。


数日分の着替え 食材や調理道具をかばんに詰め込み テントや寝袋は 持って行かずに


モニリの町を拠点として動くことに決める。基本的に 転移魔法が使えるのだから


城を拠点にしてもよいのだけど たまには 羽を伸ばしたかったのだ。


まあ 顕現魔法があるので 荷物にはならないので 寝具系も持っていってよいのだけど


と思いながらも 無駄は省くことにする。


ちなみに 顕現魔法とは物体を 魔素単位まで分解し 必要なときに 再構成させ


顕現させるものだ。武器の類も 今は 分解した状態にしてある。


荷物をつめた リュックに 魔法を掛けようとしたとき 扉がノックされた。


シオンさんが 応対に出る。


「ナオキ様 マリア様がお見えです」


「入ってもらって」


「はい」


マリアが 入ってきた。


「ナオキ様 おはようございます。あら?どこかへ お出かけですか?」


説明すると 予想通りの展開に


「では 私も・・・」


そう言い掛けたマリアの言葉をさえぎる。


「マリアは 連れて行けないよ」


「な、何故ですか?」


「何故って 当たり前だろ?魔物退治しに行くところに マリアを連れて行けるわけがないじゃないか」


そして シオンさんが 更に援護?してくれた。


「城下に降りるのとはわけが違います。今回は 私がお供しますので マリア様は どうか城内で 吉報をお待ちください。」


「そーそー って・・・ シオンさん 付いてくる気なの?」


「当たり前です!ナオキ様を 1人で外に出すと 危なっかしいです。下手をすれば 森ごと広域殲滅魔法で消し去りかねません」


「一瞬考えたけど いくらなんでも そんなことはしないよ」


うん 2人の ジト目が怖いです。


マリアは「わかりました」と言い 頬を膨らませて 部屋を出て行った。


そうやって 拗ねている姿も また 非常に愛くるしくて 可愛い。


さすが 俺のマリアだ!


改めて シオンさんに向き直る。


「で、本当についてくるの?」


「当たり前です!」


断言すると 少し顔を伏せ 何か呟いた。


「私だって ナオキ様と デートしたいです・・・」


「えっ?」


よく 聞き取れなかったので 聞きなおすと シオンさんは 怒ったように


「なんでもありません!とにかく 私が お供いたします」


「は、はい・・・・」


これは もう 諦めるしかないか。


その後 シオンさんの準備を待ち それぞれのリュックを 背負い 城の出口に向かう。


城内から 転移魔法を使うと また 結界を壊して怒られるからだ。


日々学習してます・・・。


「ところで シオンさん その服のままでいいの?」


「はい。侍女ですから」


シオンさんの論理はよくわからないが 彼女は 侍女の制服 つまり


エプロンドレス・・・わかり易く言えば メイド服のままなのだ。


その筋の人が見たら 堪らないだろう。


俺はと言えば・・・・堪りません・・・。


出口のところに居る人物を見て 大きな溜息が出る。まあ 予想通りなんだけど。


そこには すっかり 旅支度をしたマリアが立っていたのだ。


「お父様の許可は取ってきました。お父様も ナオキ様と一緒なら心配はないし

王家のものが 困った民を助けるのは 当然のことだと 快諾してくれました」


「・・・・・」


王様・・・あなたって・・・・。


「わかったよ。マリア シオンさん 荷物を貸して」


そして 顕現魔法で 3人分の荷物を分解し消した。ここまで、自分やシオンさんの


荷物を消さなかったのは この展開を 予想してたからなんだけど。


「あと これを 預かってきました」


手渡されたのは 蝋で封をされた手紙だった。


「これは?」


「モニリの町の町長へ宛てた 手紙だそうです。これを見せれば 最大限 便宜を図ってくれるだろうと お父様は仰っていました」


「なるほど。それじゃあ 俺は2人にこれを渡しておくよ」


2人に 2枚ずつ 呪符を手渡す。


「マリアは覚えているよね?これは 結界の呪符と魔力符。魔力符は 俺の魔力を染み込ませてあって 居場所がすぐにわかるように なってるんだ」


シオンさんに 説明していると マリアは前回のように 胸の谷間に 


呪符をしまおうとし それを見た シオンさんが 声を上げた。


「マ、マリア様 何をなさっているのですか?」


「肌身離さず持っているのが 一番安全ですから」


言いながら 服をはだけさせ 俺に 胸を見せ付けるように 呪符を押し込む。


そして シオンさんも負けじと 同じようにする。


俺は目のやり場に困り 俯くことしかできなかった。


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