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最近 異常に仕事が忙しくて しかも上手くいかなくて凹んでいます。ぶっちゃけ 小説を書いている余裕もあまりありませんが 途中で やめることもしたくありません。不定期にすると ズルズルしそうなので 3日に1話で 何とか頑張っていきたいです。今後とも よろしくお願いいたします。
地球に帰ってきた俺は すぐに 出雲さんに電話を入れ 望さんが異世界に残って研究を続けている事を伝えた。電話越しの声でも動揺は感じ取れたが その中には期待感も含まれているようにも思えた。
翌朝
踊子さんの お出迎えは無く 教室に着いても彼女は居なかった。
「踊子さんは 休みか?」
と 同級生に聞かれるが 俺が知るわけがなく 寧ろ教えて欲しいくらいだ。
ホームルームが始まり 先生から 踊子さんが休みだと聞かされる。何故か 踊子さんファンクラブの幹部である 桜から睨まれているが 踊子さんの休みは 俺の責任では・・・・無いとも言えない・・・・
取り敢えず 目はそらしておこう。
もうすぐ ジメジメした梅雨も明け その後は 期末考査だ・・・・。
憂鬱になる。
試験自体は問題ない。こう見えても成績はいいほうだ。
では、何が憂鬱かと言うと 異世界から来た 同級生達の事だ。
彼女達も 数学で言えば四則演算くらいはできるが それ以上となると・・・・。四則演算など小学生で習う事なのだかから 高校の数学には全く通用しない。語学や歴史などに至っては どんな結果が出るか想像したくもない。
ちなみに マリアだがGW明けにあった 中間考査は転入したてということで免除された。
実のところは 俺が出雲さんに頼み込んで 免除してもらったのだ。
しかし 「次はないぞ」と 釘は刺されている。
サヤは まだ医学部には入っていない。海外の学校にあわせて 9月から始まるクラスがあり そこに入る予定ににっている。
しかし サヤは無為に時を過ごすような真似はしない。WWAの医療スタッフに付いて色々と教えてもらっているらしい。
時にはサヤが 医療魔法を使い 驚かれ 教えて欲しいと言われたと 自慢気に話してくれた。
そして、踊子は・・・・・
「相変わらず ここは凄いな」
独り言を呟く 踊子の目の前には 気品高い 館が聳え建っている。当然 家とは言い難く お屋敷や 館と言ったかんじだ。
噴水や手入れの行き届いた庭 その後ろにある館は中世ヨーロッパで貴族が住むそれに思える。
しかし、そう思えるのは 館の敷地の中だけで 隔てる壁の外は 鬱蒼とした森林になっていて、それが余計に異様な雰囲気を醸し出している。
「本当に色々な意味で凄いな」
改めて感想を呟くと 屋敷と外界を隔てている 金属製の門が音もたてずに 独りでに開き 踊子は躊躇うこともなく 館の入口へと歩を進めた。
豪華で大きな木製の扉にたどり着くと 間をおかず開かれ そこには 初老の紳士が立っている。彼は折り目正しく 深々とお辞儀をした。
「踊子様 お待ちしておりました」
「イーエフさん、お久しぶりです。メアリー様は おかわりなく?」
「はい。手が焼けるほど お元気です」
頭を上げた イーエフは 先程とは変わり にこやかな笑顔だった。
通された 応接室も外見と同様 中世ヨーロッパを思わせ 豪華だが下品ではなく センスを感じさせる。
奥の ソファーには 色白で金髪 青い瞳をし 純白のドレスを着た少女が座っている。身動きも瞬きもせず 呼吸や鼓動までしていないように思えるのだから 知らない者ならば 等身大のドールが座っているようにも見えよう。
踊子は その少女の横まで行き 優雅にスカートの裾を摘み優雅に一礼をする。
「メアリー様、ご無沙汰しております」
踊子が声をかけると ドールを思わせる少女の時間は突然に動き出す。
メアリーと呼ばれた少女は 音も立てず 静かに立ち上がると 踊子と同じようにドレスの裾を摘み礼を返す。
「お久しぶりね。長旅ご苦労様でした。さあ 掛けてくださいな」
ソファーに座るとタイミングを見計らったかのように イーエフさんが やって来てお茶を淹れてくれた。
カップを口元に運ぶと 湯気と共に とても豊かな香りが鼻腔をくすぐる。
踊子は 世界的な複合企業群を纏める一族の生まれであり 実家は ここの屋敷よりもはるかに広い。当然 メイドや執事など多くの使用人も働いているが これ程のお茶を淹れれるものは居なかった。
「踊子さん それで 今日はどの様なご用件で?イーエフのお茶を飲みに来たわけでもないでしょ?まあ、私はそれでも嬉しいのですがね」
部屋に入ってきたときに見たメアリーは無機質で本当に人形かと思うほどであったが 今は年相応の少女らしく表情豊かで、踊子をからかいクスクスと笑っている。
「ごめんなさい。で、今日は?」
「メアリー様・・・・わ、私は強く・・・・強くなりたいのです!」
「どうしてかしら?あなたは十分 強いと思いますよ」
笑顔は崩さないものの 真剣な眼差しで踊子を見詰める。
「私は 守ると約束したひとすら守ることのできないほど弱いです・・・・だから もっと・・・・もっと強くならなければならないのです」
「・・・・・そう。とりあえず 全部話してごらんなさい」
踊子は 直輝の事 自分の気持ち そしてここ最近あったことを 包み隠さず メアリーに話して聞かせた。話し終わり 喉を潤そうとカップに手を伸ばし一口 飲むがお茶は既に ぬるくを通り越し冷たくなっていて どれだけ自分が一人で話していたかと思い 恥ずかしくなる。
「ごめんなさいね・・・・実は 直輝君のことに関しては出雲君から報告を受けているから ある程度知ってるのよ。でも・・・・そう・・・・踊子さん あなたが直輝君のことをね・・・・。あなたと 初めて会ったのは あなたが小さい頃 幼稚園児くらいだったかしら?そう あの うちでお漏らしをして泣いていたあの子が もう恋をする年になったのね。時間が経つのは速くて嫌になるわ・・・・私 どんどんお婆ちゃんになっていくのだもの」
「・・・・・メアリー様 そんな昔のことを 持ち出さないでください」
踊子は赤くなりながら抗議する。
踊子自身 不思議に思っていた。メアリーは 踊子が彼女と出会ってから 全く変わらないのだ。出会った時から少女で 10年以上たった今も少女のまま。彼女の見識や言葉の端々に見える物から百年や二百年生きているのだろうと想像はできる。しかし 彼女の出自に関して追求する事は禁忌とされている。
「ふふふふ・・・・・
ですが 踊子さん 強くなりたいのは分かりましたが ここに来たからと言って 一朝一夕で強くなるわけではありませんよ」
「ですが ここには・・・・メアリー様には・・・・その方法が・・・・」
聞いた途端 メアリーは勢い良く立ち上がり 机の上の茶器が 「ガチャ」と音を立てる。
「踊子さん!」
踊子は メアリーの勢いと形相に驚き じっと見詰めたまま固まってしまう。メアリー自身も すぐに冷静さを取り戻し 気恥ずかしそうにソファーに座りなおす。
「ごめんなさい・・・・でも 踊子さん 聞きなさい。それは ズルですよ・・・・それは 彼を 直輝君を裏切る事と同じです。嫌われても 彼を守れるならそれで良いというのは あなたの傲慢です。彼は きっとあなたを失う事のほうが辛いはずです。それに、その方法で 力を得たとしても それでも彼の力には遠く及ばないです。欲した力も選れず 自分を捨て 彼をも失う・・・・何も良いことなどありません」
「だったら、私はどうすればよいと言うのですか!」
言われたことなど 分かっていた。どんなに 頑張ったところで 人の身で直樹くんに並べるとは思っていない。だったら、人の身を捨てでも・・・・
それでもダメだと言うのなら 一体 どうすればよいと言うのた!
「あなたが思っているのは 彼への思いではなく あなた自身の思いでなくて?」
「私自身の思い?」
「いえ、あなたの思いも大切なことです。それがなくては 成立しませんから。ただ、彼は 彼と並ぶ力をあなたに 求めているか という話です。
つまり 彼は理由なんて どうでもいい、ただ、踊子さん あなたに そばに居てもらいたいと そう思っているのではないでしょうか?」
「それでは 私の存在の意義が」
「彼も 自分の力の膨大さは理解しているし 踊子さんが それを理解していると 分かっているでしょう。その上で 踊子さんの申し出を受けたのです。そして、届かないと分かりながらも 努力する 踊子さんの姿は 彼の目に どの様に写っているのでしょうね?決して 愚かだとは思ってはいないでしょうに」
「・・・・・・」
踊子は返す言葉が見つからなかった。ただ、戦いに破れ悔しくて・・・・。
直樹くんにみっともない所を見せたのが 恥ずかしくて・・・・。
自分の心がどこにあるのか 見失っていた。
「もうっ!若い二人の恋心を私に解説させないで!それとも 何?踊子さんは 私のところにのろけに来たのかしら?」
「えっ!? 決して そんな・・・・」
メアリーは 立ち上がり 踊子の横に座り直すと 優しく 抱き締める。
「冗談よ。
それにね、こんなモノが無くてもあなたは強くなれるわ。こんな、モノ・・・・。
あなたは、あなたの道を歩きなさい。あなたは、あなたらしい 強さを手に入れなさい」
「メアリー様・・・・」
「まあ、しばらく ここでゆっくりしていくといいわ。もし 強さを求めるなら イーエフに 稽古をつけてもらったらいいし」
「あ、ありがとうございます!」
その後 イーエフと共に部屋を出る踊子を見送り 扉がしまると そっと自分の腹部に手を当て呟く。
「本当に こんなモノ・・・・」
廊下を歩きながら メアリー様との会話を反芻する。
直樹君は 私の戦闘力を望んでいる訳ではないかもしれない。だけど だからと言って直樹君に頼っているだけでは駄目なはずだ。
きっと 私が上を向き上を目指そうとする姿にこそな直樹君は・・・・。
だったら!
「イーエフさん、稽古をつけてもらえませんか?」
「今は時間もあります。構いませんよ」
イーエフさんは 出迎えてくれたときのように 優しい笑顔で答えてくれた。
私と兄上が幼い頃 魔法を習うため この家に 半年ほどお世話になったことがある。メアリー様には魔法を そして、イーエフさんには 剣術を始めとした 武術全般を習った。
云わば彼は私達兄妹の師匠に当たるのだ。
中庭に出ると こうなることを見透かしていたかのように 模造刀が用意されていた。
「さあ、始めましょうか」
イーエフさんに模造刀を手渡され 5メートル程離れたところで 互いに一礼をする。
イーエフさんの気負うことない 自然だが 全く隙のない構え。何処に打ち込んだとしても 打ち返されるだろう イメージが 頭に浮かぶ。
1分が経ち 5分が経ち・・・・
二人とも ピクリとも動かない。
しかし、イーエフは涼しい顔をしているのに 踊子は動きすらしていないのに 汗だくだ。
「踊子様、こうしていても 私は倒せませんよ」
分かっているが 動けない。イーエフさんは 私の小細工にも乗ってこない。
まさに 手詰まり・・・・。
更に 数分が経ち イーエフさんは剣をおろした。
「踊子様、お強くなりましたね。合格です」
「えっと?」
訳が分からず 踊子も剣をおろし 聞きなおす。
「無闇に突っ込んでこないのが正解です。互いの力量を正確に見極められるのは 強くなった証拠。それに 手が出せないなら 相手を動かそうと わざと隙を見せる辺りも素晴らしかったです」
イーエフさんには 全てお見通しだったようだ。
「イーエフさんには 全く通用しませんでしたが・・・・」
「ハハハハ、踊子様にお褒めいただけるとは 私もまだまだ 現役でいけそうです。さあ、続けましょう 今度は打ってきてください」
その後 数時間にわたり 中庭から 剣の打ち合う音が響いていた。
ディディさんに イーエフさん・・・・ときたら 次は
桃太郎さんとか 金太郎さんとか 赤い稲妻さんとか 赤熊さんとかですかね?(笑




