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昨日 投稿予定でしたが 久々にプールに行ってはしゃいだら 晩御飯の後 疲れて寝てしまいました(^^;;;
その日の買い物も恙無く終える。
エアコン 冷蔵庫 電子レンジ トースター テレビ レコーダー アイロンにドライヤー等々かなりの買い物をし次の土曜日にまとめて配送してもらう。
店員さんに
「ご結婚ですか?」
と、聞かれても 今日のガールズ達は黙ったままだった。
俺も 「ええ、まあ」と 曖昧な返事をすると 店員さんは それはそれで 不思議そうにしていた。
本当は 買い物って気分ではなかったが やるべき事はきちんとしなければ 悩むことも 考える事も ままならず 中途半端になるだろう。
それでは 踊子さんに会わす顔がない。
昼過ぎには家に戻り 一人 ベッドに横になる。
頭をよぎるのは 踊子さんのことだ。
俺は 一体 踊子さんをどう思っているのだろう?
美しく 格好よく 責任感が強い。
でも その程度のことだ。俺の知っている踊子さんは 誰もが知っている程度のこと。
憧れの人に 好意を寄せられ 浮かれていただけだ。
俺は彼女の気持ちに ちゃんと向き合っていたのか?
答えが出ないまま 同じことが 頭の中をクルクルと回る。
気が付くと マリアが立っていた。
「ノックをしたのですが お返事がなく 失礼かとも思いましたが 勝手に入らせていただきました」
「ゴメン、気付かなかったよ。俺はマリアを閉ざす扉なんて 持ってないよ」
体を起こし ベッドに座るとマリアも隣に腰を下ろした。
「踊子さんのことですか?」
「・・・・ああ」
二人とも 電源の入っていない 真っ黒な画面のテレビを見詰めながら ポツリ ポツリと喋る。
「私は 好きな・・・・愛した異性はナオキさんだけですから大した 助言はできないのですが 遥さんの言う通り 時間は関係ないのでは ないのでしょうか?」
「えっと?」
「つまり、うまく言えないのですが 出会ったばかりの男女が その瞬間に互いを理解できると思う方が 傲慢だと思うのです。サヤさんとの出会いは 例外中の例外だと思います」
「それは、そうなんだろうけど」
「喧嘩をしたり すれ違ったり それでもお互いを思い 考え・・・・大切なのは お互いに知ろうとすること 気持ちを持ち続けることではないでしょうか?」
マリアの言葉は ありがちなものだったが ありがちだからこそ・・・・。
「俺は どうすればいいんだろう?」
「踊子さんが 姿を現さないのは それこそ あなたを思っているからなのでしょ?だったら ナオキさんも 踊子さんを思って何かをすれば良いのではないですか?ナオキさんの質問の答えにはなっていませんが 答えを出すのはナオキさんでなくてはならないでしょ」
最後にマリアは
「今は踊子さんにお譲りしますが 解決したらちゃんと私たちの事も見てくださいね」
この言葉と笑顔を残し 部屋を出ていった。
俺は何をやっているのだろう・・・・。
いつもの同じようなことで躓き 同じようなことを悩んでいる。
進歩のないこと 甚だしい。
そして そんな俺をいつも支えてくれている 女性たち・・・・誰かを選べないから 全員を選ぶと言う 身勝手な我儘を受け入れてくれている女性たち・・・・彼女たちに感謝し大切にしなければ
その中には 踊子さんも含まれている。
だから踊子さんのことも ちゃんと!
制服に着替え 家を飛び出した。向かった先は 学校だ。人間レベルの全速で走り 校門を抜けそのまま校舎へと入る。ちなみに クラブ活動の盛んな我が校は日曜でも クラブ活動ができるように 校門は開放されている。下駄箱で 上靴に履き替えるが 全速で走ってきても(人間レベルで・・・・)息も切らさず汗もかいていない。我ながら 人外だ。
生徒会長室のドアをノックするが 反応はない。
が、中からは微かに人の気配と魔力を感じる。居留守をされていると分かっていると結構へこむな・・・・。
まあ、仕方がないだろうが ここで引く訳には行かない。もう一度ノックをして待つと 静かに扉が開かれた。
「よく、ここに来れたものだな。中に俺が居るのは分かっていただろう。返事をしなかったのを察してもらいたいものだ」
どうやら歓迎されていないようだ・・・・。出雲さんは いきなりキツイ出迎えをしてくれた。
「あの 踊子さんに・・・・」
「断る!」
最後まで 言うことなく断られてしまった。そして 出雲さんは 扉を閉めようとするが このまま帰っては 来た意味がなくなる。
「待ってください!」
扉の隙間に体をねじ込み制止した。ガチで扉を閉めようとしていたようで
結構 痛い・・・・。
厳しい表情で俺を睨みつける事 数秒 出雲さんは 小さく溜息をつき 扉を開いてくれた。踊子さんのお兄さんなんだ 厳しくとも根は優しい人なのだろう。
「で、なんだ?」
「踊子さんに 会わせてください!」
「断ると言ったはずだが?何故 妹を泣かせた奴に逢引の段取りをしてやる必要がある」
「出雲さんって 結構 シスコンなんですね」
しまった・・・・。更に睨まれている・・・・。
「すみません。俺も 妹が居るので 出雲さんの気持ちは 分かるつもりです。でも 俺・・・・踊子さんへの気持ちは・・・・本気なんです!」
「どの口が言うか!たくさんの女を囲っておいて」
「それは・・・・」
「それだから 踊子は泣いていたのだろう!」
「違います!出雲さんだって 分かっているはずだ!」
「・・・・・・」
そう、踊子さんが泣いた訳 それは自身の力不足を痛感したからであって 決して俺の女関係を嘆いての事ではない・・・・はず・・・・。俺の背中を守りたいと言って 大切な刀を折り 敵にあっけなく膝を付いた。それが 自分自身で許せなかったのだろう。
しかし、俺と並び立つ・・・・それは事実上 不可能・・・・。
それでも 言ってくれた 踊子さんの気持ちが嬉しかった。背中を守ってくれると言うっくれる人が居るだけで心強かった。
「踊子さんは 俺の背中を守ってくれるって 言ったんです」
「・・・・踊子がそんな事を・・・・」
少し考え込む出雲さん。妹の泣いた訳がようやく悟ったのだろう。
「白鶴は 俺達の祖父からもらった物なのだ。刀としてもかなりの業物でな 踊子は もらった時 それは喜んだよ。だが 祖父から 刀・・・・つまり人の命を奪うための道具の意味を説かれたとき 涙を浮かべながらも その目は 強く何かを決意していたようにも見えた。その時 何を決意したのか 分からなかったが おそらく そう言う事なのだろうな。誰かを守るための刃になろうと・・・・」
「・・・・踊子さんには 酷な言い方だけど 力で俺と並び立つのは 不可能・・・・。それくらい 俺は人間離れしてますから」
「では、踊子の気持ちは無意味だとでも言うのか?」
「違います!多分 踊子さんもその事は 分かっていると思うんです。それでも そう言ってくれた気持ちが嬉しくて だから俺も踊子さんの気持ちに報いたい!踊子さんが俺の背中を守ってくれるなら 俺も踊子さんの背中を守りたいって!」
「だったら どうして踊子を守らなかった?」
「それは・・・・どこまで踊子さんの気持ちを尊重すれば良いのか 分からなかった・・・・下手に手を出せば 返って踊子さんの気持ちを踏みにじってしまうんじゃないかと・・・・」
「愚かだな」
出雲さんは 呆れたように一言呟いた。
「えっ?」
「お前はお前の思うように動けばよいだろう。その背中を守るのが 踊子の望む事なのだから。それにな 自身の実力を知ることは大切なことだ。こと、戦いでは 命に関わるのだから 尚のことだろう」
「・・・・・」
「どうすれば 良いのか分からないのか?本当に愚かだな。お前はお前の好きにすれば良いのだ。それに付いていくかどうかは踊子の問題だ。
それにな 白鶴は折れたが 俺の自慢の妹が こんな簡単に折れたりはしないさ。それだけお前への思いが強いと言うことだろうよ。
・・・・・兄としては悔しい限りだがな」
出雲さんは 遠くを見るようにそう言った。
俺は 俺のしたいように・・・・
俺のしたいとこ
今は 踊子さんのために 何かしたい。
いいことなのか それが本当に踊子さんのためになるのかは 分からない。だけど 素直に今は そうしたいと 強く思った。
机に置かれた 踊子さんの刀。
大切にしていた刀。
折れた 白鶴を握りしめる。
「出雲さん、これ ちょっと貸してもらえませんか?」
「どうするのだ?」
「直してみようかと」
「無理だな。鍛冶に見せてみたが 無理だと言われたよ」
「世界は広いんです。それこそ この世界だけが世界じゃないんですよ」
「ディディさん ご無沙汰してます」
「おー!勇者様 久しぶりだな!どうだ 変わりないか?」
「ええ、ボチボチ やってます」
ここは 異世界の 西の大陸にある マルタイと言う名の町。そこの町外れにある 鍛冶屋だ。
俺は 白鶴を預かり すぐさま 異世界に・・・・と思ったけど 黙って行ったら 後で怒られそうなので 一旦家に帰り マリア シオンさん サヤに断りを入れてから 異世界に来たのだ。
事情を話すと 意外にも 留守番を承諾してくれた。絶対 付いて来るって 言い出すと思ったのだが・・・・。
俺が ディディと呼んだ 体格の良いイケメン・・・・ではないが 人の良さそうな 所謂 気は優しくて力持ちタイプのこの男は この世界でも屈指の名工として知られている。
何を隠そう 俺の愛用のオリハルコンの剣もディディが打ったのだ。
「で、今日は どんな用事なんだ?」
「ディディさん これを見てもらえますか?」
折れた刀を ディディに手渡す。彼は マジマジと刀を 観察する。
「変わった剣だな」
「俺の故郷に伝わる 『カタナ』と呼ばれる剣です」
「しかし・・・・これは 観賞用ではなく 武器なんだろ?」
難しい顔をしたディディさんの顔は 結構 怖い。その怖い顔をしたまま 更に刀を 確かめるように 睨み付けている。
「ええ、そうです」
「この細い剣では こんな風に 折れて当然だろう?この カタナと言ったか この剣を武器として扱うなら相当の腕が必要なはずだ」
「この刀を使っていた人は 凄腕でした。それでも 折れてしまった・・・・。
ディディさん これ 直せませんか?」
「うむ・・・・このカタナ・・・・刃物としてはかなりの腕を持った職人が作ったのは分かる。それに 興味もある。だが 元通りにとはいかないな。一度 溶かして打ち直す必要がある。それはつまり 別の物になると言う事だ。それで 良ければ・・・・・。
後な、このカタナは純粋な刃物だ。勇者様が持っているような 魔力剣ではない。同じ相手と戦うなら また 折れるぞ?」
俺は 金属の固まりを顕現させ ディディさんに手渡す。それを受け取ったディディさんは 驚きを隠せないでいた。
「これは、オリハルコン!?」
「はい。剣の補修用にと思って 取ってあった分です」
「いや・・・・だが・・・・」
考え込み ブツブツと呟くが 最後には申し訳なさそうに
「残念だが 無理だな。このカタナに使われている金属の事もよく分からない。オリハルコンを混ぜてどんな反応をするか 見当も付かない。そしてなにより このカタナは 勇者様が使うんじゃないんだろ?」
「はい?」
「オリハルコンは 優秀だ。優秀過ぎるんだ。ほんの欠片でさえ そこに効果を発揮するまで魔力を注ぎ込めるのは 勇者様を除いたら この世界でも数人だろうよ。仮に オリハルコンを混ぜて 強度が上がったとしても 刃物は何処まで行っても刃物なんだ。刃こぼれもすれば 折れもする。魔力を通さなければ何の意味もない」
そうか・・・・地球の魔法使いの魔力は この世界の一般人程度 それでは 全然 足りない・・・・。
ジェネレーターを使って 補助してるくらいだもんな・・・・・。
!!!!!!
そうか 足りないなら 補助すれば!!
ちょっと 待っててと叫ぶと同時に 俺は地球へと帰還した。




