100
100話突入しました。
たくさんの方に読んでいただき ここまでこれたと思います。
皆様 本当にありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
「・・・キさん、・・・ナオキさん・・・ナオキさん!」
「ん?ここは・・・?あー そっか 俺 寝ちゃってた?」
ディスプレイされたソファーに座り ウトウトしてしまっていたようだ。
あれ?じゃあ さっきのも夢なのか・・・・?
・・・・まさかの夢落ちとは。
まあ あんな エロいこと 言うはずがないしな。
「ナオキさん 先程 相談して ベッドはやめて 布団にしようかと決まったのですが」
ゆ、夢じゃない!?
マリアの言葉に シドロモドロで答える。
「あ、ああ いいんじゃないか」
忘れよう・・・・現実か夢かはわからないが 兎に角 忘れよう・・・・。
「サヤ、シオンさん いいのあった?」
サヤもシオンさんも とても楽しそうだ。シオンさんに 至っては 今まで 城から出て 町で買い物をしたことなど ほとんどないと言っていた。この前の買い物の時もそうだったけど 目をキラキラさせて とても楽しそうだ。
とは言え 女子が5人も集まると それは もう姦しい。みんなで あーでもない こーでもないと なかなか 決まらない。
「住むのは サヤとシオンさんと マリアなんだから 三人の意見を尊重してね」
マリアは慌てて詰め寄ってきた。
「私は ナオキさんの家に お世話になるつもりですよ!えっと そう、ホームステイと言う設定ですから!」
分かったからと 肯定すると 今度は サヤとシオンさんも だったら自分達もと言い出す。
開けっ放しの 箪笥の引き出しを閉めると 別の引き出しが開く そこを閉めるとまた、違う引き出しが・・・・。家具屋さんだけに なんとなく そんなドリフのコントを思い出してしまった。
それでは ここに来た意味がないと なんとかサヤとシオンさんを言いくるめて 買い物を続ける。
買い物は進み 50万ほどの会計で 10万の買い物券と残りを現金で支払った。
担当してくれた店員さんが 不思議そうに
「ご結婚ですか?」
と聞かれ 女子5人が 一斉に
「はい!」
と答えると 店員さんは ひきつりながらも顔が ?マークになっていた。
ちなみに 俺が転寝していたソファーも買っている。生地のさわり心地と 座り心地はガールズ達にも好評だったのだ。
「ナオキ様が寝てしまうのも 分かります」
と、シオンさんは ソファーの生地をずっと撫でていた。
50万の買い物となると 学生の身分では とても高額だが ここで、売っている物を見る限り それでも安いものを選んでいる。
まだ 他にも家電製品等も必要と思うと 軽く100万は使うだろう。
出雲さんの言葉ではないが 生活すると言うことを舐めていた。しかも まだスタートラインにすら立っていない 食費や生活費 本当に出雲さんの言葉が身に染みる。
よく 考えれば学費なんかは どうなっているのだろう?一度 出雲さんと ちゃんと話をしたほうがいいな。
アニメやラノベなら なんの問題も無いことだけど 現実では お金の話は付いて回る。
大人の世界って 本当に大変なんだな・・・・。
後 前金に手をつけちゃったから ちゃんと魔物退治もしなくては・・・・
「ハァー」
配送の手続きで 少々待たされている間に今後のことを思い 盛大なため息をつくと ガールズ達は不思議そうに見詰めていた。
「これから もっと頑張らなくちゃ と思って」
「ナオキさんは 十分 頑張っていますよ」
マリアの慰めになるのかな?その言葉に みんなも 大きく頷いている。俺には みんなに対して 責任がある。特に 異世界組に関しては こっちの世界に連れて来た 責任は大きいだろう。
やれるだけは やりましたが 無理でした
では 済まされないのだから。
--兎に角 頑張ろう
そう 心の奥底で 硬く決意するのだった。
昼食後 ここでの用事は終わり 時間に余裕もあるので キタにあるゴンベサンの赤ちゃんの童謡の替え歌が耳に残る 家電量販店に行こうと思う。
しまった・・・・もう少し お金を持って来ればよかった。
出雲さんから貰った報酬は 家でタンス預金になっている。銀行に入れると 何かあったときに 税法上いろいろと面倒な事になるらしい。
大人の世界は 難しい・・・・。
まあ 実際に買うのは明日でもできるし 下見だけでもするか。
みんなに 提案しようとするより先にマリアが叫んだ。
「忘れてました!サヤさん シオン 聞いてください!!ここから海を見ることができるのですよ!!!!」
「!!!」
あの沈着冷静なシオンさんですら 驚愕の表情となる。
「本当ですか!?」
二人は声を合わせて聞きなおしてきた。そう言えばそうだった。異世界の人間は 人生の間に海を見ることはほとんどない。海を見ることのできる人間は 海の近くに住む者か 行商人くらいだろうか。
二人を促しテラスへと出ると 潮の香りが鼻腔を擽る。
人間の意識とは不思議なもので 前回は海を見る目的のためにここへ来たので 駅から出ただけで 潮の香りに気付いていたが 今日は今の今まで それに気付いていなかった。
ここから見える海は 湾内なのであまり綺麗ではない。エメラルドグリーンではなく 濁った緑だ。それでも 二人は手すりから乗り出す勢いで 食い入るように海を見詰めている。
気が付けば 一度 海を見た経験をしているマリアも同じようにしていた。
踊子さんは キョトンとしているが事情を説明すると納得したようだが 俺達 地球出身の三人は 苦笑いを浮かべつつ 30分以上 異世界組の三人の背中を見詰める事となった。
放っておいたら 夜まで同じ体勢でいそうだったので 頃合を見て三人に出発を告げる。名残惜しそうにしているが 夏になったら 海水浴に連れて行く約束をすると 納得してくれた。
三人は 海水浴を楽しみにしているようだが 俺は三人の水着姿が楽しみだ!!
「まだ 時間はあるし キタで家電も見ていこう」
よく考えたら 照明器具すら付いていない現状 夜になれば真っ暗になってしまう。俺がいれば 魔法で灯りを得る事はできるだろうが そうもいかない。
えっと もう少しよく考えよう・・・・。
荷物を入れる前に 掃除をしておいたほうがいいよな?
それから 暗くなったら困る。
工事が必要なものは 荷物を入れる前のほうが やりやすいだろうし 埃やゴミが出ても掃除しやすいか。
ってことは
掃除機
照明器具
エアコン
エアコンは もしかしたら手持ちが足りないかもな・・・・そもそも どれも自分で買ったことなどないので 相場だとかが全く分からん!
そう言えば あの家電量販店には コンシェルジュが居たんだっけ? 相談してみようか・・・・。
また ため息が出そうになるのをグッと堪え 寿命の短縮を回避した。
そして、家電量販店に来てみた。
異世界組は 目をキラキラさせている。ロボット掃除機を見て
「勝手に動いています!どんな魔法ですか!?」
と、定番?の会話をしつつ 掃除機を物色。
家具もそうだったけど 値段の幅がすごい。下は数千円から上は10万に届きそうなほど まあ、掃除機なら 吸引力の違いなのだろうか?
店員さんにお勧めを聞いてみると
「こちらなど いかがでしょう?サイクロン式で 吸引力が強く 低下しにくい上に 自走式で とても軽く扱え女性の方にも人気です」
店員さんが高校生相手に必死にセールストークをしているのに 遥は
「掃除機なんて何でも一緒よ。さっさと決めなさいよ」
と、店員さんにも聞こえるように言うと 気を悪くすることもなく 寧ろニヤリとして
「では、一度 試してください。違いを分かって頂けますから」
言われるままに お試しコーナーで お勧めの掃除機を遥が試してみると
「これ凄いよ!軽く動く 家のと全然 違うよ。直輝 これ買いなよ!!」
一瞬で手のひらをかえした。あまりの 変わり身に 俺たちばかりか店員さんまで苦笑いを浮かべる。
取り敢えず 4万ほどしたがお勧めの掃除機を買うことにした。
次は 照明器具売り場へ
照明器具など 今まで 見たこともなかった。ここも凄く種類があり驚かされる。今の主流はLEDのようだが こちらも 値段の幅が大きく1万円から7万円以上のものもある。畳数の違いで 値段が違うのはなんとなく分かるが 同じ畳数のもので 同じルーメン(明るさの単位?)の物の値段の違いが分からない。
「直輝 ここの店員さんは優秀だから 聞いてみなよ」
ここの店員さんは 遥の心をガッチリ掴んだのか遥がチョロイ客なのかは 微妙なところだ。
まあ 遥の言う通り全く違いが分からないので 店員さんに聞いてみると
反射板の形状が違い 光の広がりが違う
エコ機能の有無
使っているLEDの素子が違う
等々
色々と教えてもらった。
店員さんのお勧めは 点けている時間の長いリビングは 明るくいいものを使い 寝室など点けている時間の短いところは 蛍光灯タイプを使うと良いらしい。値段が安いし明るい 電気代はLEDよりは若干 高くなるが 点けている時間が短いので それほど差は出ないとのことだ。
必要数買うと 25万円・・・・。
安くあげれば10万円もかからないのだが ずっと住むならケチることも無いだろう。
次にエアコンコーナーだ。
分かっていたけど 高い!
LDKの広さに対応したものを 買うとそれだけで20万もする・・・・。
もちろん フィルター自動お掃除機能付だ。シオンさんに 任せればいいのだろうが 今は侍女ではなく 学生なのだから できるだけ手間がかからないほうが良いだろう。
どちらにしても エアコンを必要数買うには手持ちが足りないので 下見だけになった。
下見ついでに 冷蔵庫や洗濯機 テレビなど 必要そうな物もチェックしておいた。
家電だけで軽く100万円以上かかりそうだ。
二人しか住まないのに あんな立派な家を貰うんじゃなかった。今更 悔やんでも後の祭り。
兎に角 明日も来よう。
その日の深夜
俺は一人 高層ビルの屋上に 立ち町を見下ろしている。本腰を入れて魔物退治をするため ガールズ達には 遠慮してもらった。
意識を集中し 魔物の魔力を探ると すぐ近く と言うか 真後ろに 魔力を感じ振り返りながら声をかける。
「踊子さん 今日は遠慮して欲しいって 言ったと思うけど?」
「すまない。直輝君 私にも手伝わしてくれ。
・・・・私は君と特別な時間を共有しているわけでない。私の一方的な片想いだったのだからな。幸い私は他の者より戦闘に関しては 抜きに出ている。マリアさんの魔力は確かに凄いが お姫様だけに実践経験は皆無だろう。
だから、だから私に直輝君の背中を守らせてはくれないか!
君の中では解決済みのようだが もし仮に魔王になり世界征服をしたとしても 私は君の傍らで君を守り続けると誓おう!
兄上が反対しても 世界を敵にまわしたとしても 君の背中を守り続けると誓おう!
だから、だから・・・・・」
踊子さんの 目に涙をためながらの真摯な訴えは 俺の心に深く深く刺さった。
「ありがとう。踊子さんが背中を 守ってくれるなら安心して前を向いてられるよ」
踊子さんをグッと 抱き寄せ キスをした。
瞬く街の光は二人を祝福してくれているようだった。




