ヒマワリ
これは“月の面影”と対になっている独白的詩です
今後彼らの話を書くつもりなのでプロローグ(エンィング的ですが)と思って読んで頂けたら嬉しいです。
暑い暑い夏
この季節が来る度に思い出す。キミ。
ずっと側で笑ってくれていると思っていた
でも それは儚い夢だった
ヒマワリ
ヒマワリを見る度思い出す
くるくると変わるあいつの表情
その中でも一番好きだったのは笑顔
ヒマワリのようだ、と思ったのはいつだったか
お互いに別れなんて考えてもなく
でも、あいつはわかっていた
いつか別れが来ることを
そのときのために精一杯俺を想ってくれていた
自分でも思っていた以上に想われていた
俺はそれに気付けなくて
居なくなって思い返してやっと
気付いた
夏の暑い日
あいつがやけに甘えてくる
「暑いから離れろ」と言うと、いつもなら拗ねて怒るのに
それでも笑いながら縋って甘えてきた
その夜は何度も何度もカラダを繋げた
何度も何度も求めてくるから
抱いてる間、あいつは本当に幸せそうな顔で微笑んでいた
限界まで抱き合って意識を手放す寸前に何か言っていたが、返事を返す事も出来ず
俺はそのまま眠りについた
“ごめんね。貴方には凄く悪いと思うけど、最期まで側にいたいんだ。
大好きだよ、アリガト…”
窓から差し込む朝日のまぶしさに目を開けた
隣に眠るあいつ
しかしそれは目覚めることのない永遠の眠りだった
本当に幸せそうに微笑んで眠っていた
ただ…
頬にはその笑顔には似合わない涙が一筋
流れていた
後から聞いた話によればあいつは数年前からこうすることを決めていたらしい
18歳になったら―――――
少しでも楽に逝くことが出来るようにと渡した薬
そのときあいつは有難うと笑ったという
今年もたくさんのヒマワリが咲いている
笑うあいつによく似ている
―――思い出す、キミの笑顔
思い出すのはただ
笑顔ばかり
あの恋は最初で最後の恋だった―――