冷たい女だと言われ続けた公爵令嬢。王太子殿下と婚約解消しました。
「バラウディア様っ。貴方には人の心がないのかしら?何よりもジュピト王太子殿下がお気の毒ですわ」
いきなり、王立学園の廊下でそう言って来た令嬢。
金髪に大きな青い瞳のこの令嬢はジュピト王太子と最近、親しくしている令嬢だ。
ジュピト王太子殿下。
金の髪に青い瞳のそれはもう美しいジュピト王太子。
歳は18歳。
王立学園で、彼に憧れる令嬢は多かった。
バラウディア・アジェンスト公爵令嬢。
バラウディアの歳も18歳。
銀の髪に青い瞳の冷たい顔立ちのバラウディア。
ジュピト王太子殿下の婚約者であるバラウディアは、王国の薔薇とまで言われる高貴な美しさをこの歳ですでに醸し出していた。
バラウディアは今、ジュピト王太子殿下と親しくしている女だとすぐに解った。
あの女だ。あの女。わたくしの婚約者と親しくしている三人目の女だ。
名前だって知っている。
でも、わたくしはそれを認めたくない。この女の名前を知っているだなんて。
声をかけて来た令嬢に向かって、
「名を名乗りなさい。わたくしは貴方の名を知らないわ」
「わ、私の名前を知らないですって?私の名はルディーヌ・ヘルダン。ヘルダン伯爵家の娘よ」
「伯爵家の娘が何て無礼な口の利き方、失礼ではなくて?」
バラウディアの周りにいた取り巻き令嬢達も、
「そうよ。バラウディア様に失礼よ。貴方何様のつもり?」
「名門アジェンスト公爵家に失礼だわ」
ルディーヌはにこやかに笑って、
「私はジュピト様に愛されているの。ジュピト様にバラウディア様に何を言ってもいいって言われているのよ」
ジュピト王太子がルディーヌの背後から現れて、
「ルディーヌは私の大切な人だ。私が愛する人だ。お前と違って心がある。
だから、ルディーヌに冷たく当たるな」
バラウディアは思った。
何を言っているのかしら、相変わらず愚かなジュピト王太子殿下。
だからはっきり言ってやった。
「わたくしは貴方の婚約者であり、将来、王太子妃になる身ですわ。たかが伯爵家の娘が、いくら王太子殿下の寵愛を得ているとは言え、失礼ではなくて?わたくしを敬いなさい。わたくしは公爵令嬢よ」
ルディーヌがせせら笑うように、
「私はジュピト王太子殿下の寵愛を得ているのよ。そうね。私が貴方に代わって婚約者になる方がいいと思うの。だって、私は愛されているのですもの。愛されている私が結婚する方がいいのではなくて?」
周りの令嬢達がひそひそと話をする。
「頭がおかしくなったのかしら?バラウディア様に逆らうなんて」
「本当に。ヘルダン伯爵家を潰す事なんて、アジェンスト公爵家なら簡単だというのに」
「愚かよね」
ジュピト王太子は背後からルディーヌを抱き締めて、
「私はとても寂しいのだ。この通り、バラウディアは冷たくて。君はとても優しい。ヘルダン伯爵家も私が守ってあげる。ずっと私の傍にいてくれないか?」
「そ、それじゃあの女と婚約は破棄して、私と婚約を?」
「それは有り得ない。アジェンスト公爵令嬢と結婚する事は父上母上からの命令で決まっている。でも、私は君と離れたくないんだ」
「わ、解りましたわ。私を側妃にして下さるということですか?」
「そうだね。君が傍にいてくれたらどれだけ幸せか」
皆の目の前で、ジュピト王太子はルディーヌの頬に口づけた。
バラウディアはそれ見て、一言。
「皆の目の前で、淫らな行為は慎んで下さいませ」
ジュピト王太子は、
「いいではないか。私は愛するルディーヌにキスしたいからキスしたんだ」
ルディ―ヌは頬を赤らめて、
「嬉しいですわ。ジュピト様」
バラウディアは、背を向けて、
「午後の授業がありますから失礼致しますわ」
令嬢達と教室へ戻った。
ものすごく頭に来ていた。
皆の前でキスをするだなんて。
わたくしが婚約者よ。わたくしを馬鹿にしているわ。
令嬢達がバラウディアに、
「また、王太子殿下の悪い癖が始まりましたね」
「王立学園に入って三人目ですね」
「本当に、しかし、ルディーヌは元々、生意気とは思っていたけれども、あんなに礼儀知らずとは知らなかったわ」
「貴方、ルディーヌの事を良く知っているのね」
バラウディアが令嬢の一人に聞くと、その令嬢は、
「クラスが同じだったことがあってよく知っているのですわ。本当に礼儀知らずで、近づきたくもない人だったから」
バラウディアはため息をつく。
ここ三年で、ジュピト王太子殿下は王立学園で過去に二人の令嬢とそれぞれ付き合って来た。
そして別れてルディーヌと付き合い始めたのだ。
ただ、今までの令嬢は面と向かって、バラウディアに話しかけてくることは無かった。
そして、捨てられた令嬢達は王立学園を退学した。
恋に目がくらんで、ジュピト王太子と付き合って来たけれども、捨てられたので。
令嬢達からの親から謝罪も貰い、退学した令嬢二人は修道院へ行った。
バラウディアは思う。
側妃が欲しいのなら、文句は言わない。
彼女を側妃にしたいのなら、すればいい。
自分とジュピト王太子殿下は政略。
だから必要な事しか話さないようにしている。
愛しているかですって?
その愛しているという心が解らない。
幼い時からジュピト王太子殿下と結婚することが決められていたから。
自分の心なんてどこにもない。
ただただ、勉学に励んで、マナーを学び、将来の王妃に相応しい教養を身に着けて、ただただ、流されるまま、ジュピト王太子と結婚して、マドー王国の為に働くんだわ。
それでも、目の前で可哀そうだとか、愛がないとか言われると頭にくる。
ええ、愛がないのは当たり前。政略ですもの。
だから何?わたくしが悪いというの?
ジュピト王太子がキスをしようと迫って来ても、
「結婚するまで止めて頂きたいですわ。わたくしは貴方の妻としての仕事はまだ早いと思っております。今は学ぶ時。王太子妃教育、学園での教育、色々と学ばねばなりません。ですから、口づけは結婚するまで止めて頂きたいですわ」
「君は冷たい女だ。心がないんだな」
ジュピト王太子は吐き捨てるようにそう言うと背を向けたのだ。
悲しくもなんとも思わない。
結婚するまでキスは止めて欲しい。
当たり前の事だわ。
結婚したら、初夜は立会人が大勢いる中で、夫婦の契りもしっかりとやるつもりよ。
子作りができるかマドー王国は立会人がいる中で、行為をしなければならないのですもの。
だからジュピト王太子殿下に何を言われても悲しくなんてない。
ルディーヌという女に寵愛を向けていても辛くなんてない。
わたくしには心なんてないのだから。
それでも、そういう風に言われると頭に来る。
自分の意志を持つことなんて許されたことなんてない。
与えられた役目をわたくしはこなすだけ。
冷たい女だ?暖かい女になれというの?心を持てと言うの?
心を持ったら傷つくじゃない。
貴方はわたくしが心を持ったら、目の前であの女といちゃつくことを止めるというの?
やめないでしょう。
だからわたくしは心を持たない。
だって貴方とは政略ですもの。
兄だけが王都の屋敷に帰って来た。
両親は忙しくて領地に行ったきりで、王立学園に通う為に、王太子妃教育を王宮で受ける為にもバラウディアだけがアジェンスト公爵家の屋敷に滞在したのだ。
兄のエルドは、バラウディアと夕食を摂った時に、
「バラウディア。王太子殿下とは上手く行っているのか?」
「ええ、わたくしは婚約者ですもの。上手く行っておりますわ」
「調べたよ。あの男、我が公爵家を馬鹿にしているのだな。また、浮気か」
「ご存じでしたの?三人目ですわ。伯爵家の女と」
「前回の二人は謝罪があったからな。伯爵家と男爵家から。だが三人目となると」
「いいじゃありませんか。側妃にでもするつもりなのでしょう」
「お前はそれでいいのか?結婚前から浮気して、側妃候補までいるんだぞ」
「構いませんわ。わたくしはただあの方の婚約者として。将来の王妃としてふさわしくあればよいのですから」
「次期当主として、確かに王家とつながりが出来れば有難い。お前が王妃になれば、私はアジェンスト公爵家の当主として色々とやりやすくなるだろう。けれど、お前を犠牲にしてまで?間違っている」
「お兄様?」
驚いた。
兄とは血の繋がりがない。
兄は前妻の息子で、自分は後妻の連れ子だ。
母は隣国の公爵家に嫁いでいたが、未亡人になっていた所を、アジェンスト公爵に見初められた。
幼いバラウディアを連れて、マドー王国に嫁いで来たのだ。
今の父、アジェンスト公爵も前妻を病で亡くして、エルドを連れて再婚した。
だから兄とは血の繋がりがない。五つ上の兄とはそれ程、仲が良かった関係ではなく、どこかぎこちなかった。
そんな兄が変な事を言い出した。
「何を言っているのです?王家と結んだこの婚約を今更、白紙には戻せませんわ」
「お前ばかりに重荷を押し付けているのが辛かった。しかし、ここまで我が公爵家を馬鹿にした行いを許す訳にはいかない。我がアジェンスト公爵家として王家に抗議したいと思う。そして婚約解消を」
「婚約破棄ではないのですね」
「それは出来ないだろう?相手は王家だ。結婚前から側妃候補として女性と仲良くするジュピト王太子。そんなのと結婚する必要はない」
「でも、お父様が反対するでしょう」
「反対なんてさせるものか。父上と母上が三日後、こちらに用があって来る。その時に私から話す。いいね?」
兄にそう言われて、バラウディアは頷くしかなかった。
政略で結ばれた婚約が無くなるのは構わない。
わたくしには心が無いのだから、ちっとも悲しくもなんともないわ。
三日後、両親が王都の屋敷にやってきた。
エルドはアジェンスト公爵である父と夫人の母に向かって、
「これが、ジュピト王太子の今までの不貞の書類です。今回で三人目ですよ。今度の令嬢は側妃にするとか騒いでおります。まだ結婚前に側妃を取るだなんて話。我が公爵家を馬鹿にしています。婚約解消を。我がアジェンスト公爵家の名誉にかけて」
アジェンスト公爵は眉を寄せて、
「バラウディアが王家に嫁げば、先々、我がアジェンスト公爵家の名にさらに箔がつく。
私は反対だ。バラウディアがしっかりと側妃である女を従わせればいい。それが正妃の仕事だ。バラウディア。お前は我が公爵家の血を引いていない。それなのに私は愛する妻の為に、お前を養女とした。いいか?我が公爵家の為に役立て。それがお前の仕事だ」
母である公爵夫人も、
「そうよ。バラウディア。貴方はこのアジェンスト公爵家の為に役に立つの。それが貴方の仕事よ。ジュピト王太子殿下に嫁いでしっかりと我が公爵家が有利になるように働きなさい。いいわね」
エルドが両親の前に行って頭を下げた。
「私にバラウディアを下さいっ」
その場にいた全員が驚いた。
「「「えええええっ???」」」
バラウディアも驚いた。
「お兄様。それはどういうことでしょうか?」
「私はずっとバラルディアの事が好きだった。だが、父上がっ、幼い頃からあのジュピトなんて奴とバラウディアとの婚約を結びやがって、だから諦めていたんだ。我が公爵家の為にと。ジュピトが素晴らしい王太子だったら諦めるつもりだった。だが王都に来るたびに、お前の暗い顔を見ていると私は耐えられない。私だったらお前の事を幸せにしてやるのに。こんな暗い顔なんてさせない。私はバラウディア。お前の事を愛しているんだ」
バラウディアの返事を待たずに、エルドは父である公爵に、
「父上。私にバラウディアを下さい。母上。私に娘さんを下さい。私は必ずバラウディアを幸せにします。大事にします。ですから父上母上」
母に尋ねられた。
「貴方はいいの?バラウディア。ジュピト王太子殿下に嫁ぐのと、エルドと結婚するのとどちらが良いかしら」
父はため息をついて、
「だからエルドは婚約の話を断っていたんだな。バラウディア。お前はどうしたい?」
兄だった人に、いきなり結婚をと言われてバラウディアは驚いた。
どこか遠かった兄。それ程、交流が無かった兄。
それでも、あのジュピト王太子に嫁ぐよりは余程、マシだと思えた。
自分には心がない。
だけども、少しでもマシならば。
「わたくしはお兄様と結婚したいですわ」
エルドは嬉しそうに顔を輝かせて、
「有難う。バラウディア」
ぎゅっと抱き締められた。
ただただ、これからはもう、あのジュピト王太子と関わらないでよくなる。
それだけはほっとした。
父であるアジェンスト公爵が話をして、王家としてもジュピト王太子が結婚前から不貞をしていたということで婚約解消が成立した。
成立した翌日、ジュピト王太子から声をかけられた。
「なんだ?何故、お前と私の婚約が解消になったんだ?」
「父上が決めたことなので、わたくしは従ったまでですわ」
「お前は涙一つ見せないんだな。本当に冷たい女だ」
ルディーヌがやってきて、
「これで、私がジュピト王太子殿下の正妃になれますわ。本当にいい気味だわ」
ジュピト王太子はルディーヌを突き飛ばした。
「お前には飽きた。私はバラウディアの気を引きたかったんだ。美しいバラウディア。しかし、バラウディアはちっとも焼きもちを妬いてくれない。本当に冷たい女だ。バラウディア以外の女はいらない。だから婚約を再び結んでくれないか?王家から再び申し込んだら結んでくれるか?」
「わたくしは家の決定に従ったまでです。わたくしは血の繋がりのないお兄様。エルドと婚約を結びました。ですから再婚約なんてあり得ませんわ」
「はぁ?エルドと?私の婚約を解消した途端、エルドと?お前は悲しくないのか?ああ、悲しくないよな。私の事なんてなんとも思っていないのだから」
バラウディアは頭に来た。
だから言ってやった。
「わたくしは政略で結ばれた婚約に応える為に、一生懸命だったのです。冷たい女だと言われても、王立学園の勉強、王太子妃教育で一杯一杯で。ああ、でも王太子妃教育もなくなりますし。もう、貴方と関わらなくなるだけでも、肩の荷がおりますわ。どうかルディーヌを大切に。お幸せになって下さいませ」
「だから言っただろう?ルディーヌは単なる遊びだ。お前に焼きもちを妬かせるための」
ルディーヌがジュピト王太子にしがみついた。
「酷いわ。私を正妃にしてくれるんじゃないの?あれだけ愛し合ったじゃない?貴方との子がお腹の中にっ」
「うるさいっ。そんな嘘を言うなっ」
相手を床に蹴り飛ばした。
バラウディアは駆け寄って、
「女性に暴力はいけませんわ。大丈夫?」
「嘘よ。お腹に子供なんていないわ。バラウディア様。おやさしいのですね。私のような女を。本当に今まで申し訳ございませんでした」
立ち上がると頭を下げてルディーヌは出て行った。
バラウディアは、カーテシーをし、
「もう、声をかけないで下さいませ。もう貴方とは無関係ですわ。失礼致します」
ルディーヌ・ヘルダン伯爵令嬢も学園を退学した。
そして、伯爵家から謝罪を受け、アジェンスト公爵家はそれを許した。
ルディーヌも修道院へ行った。
王家から、婚約の申し込みが再びあったが、断った。
もう、エルドと婚約を結びましたのでと。
エルドと二人で食事をする。
自分は血の繋がりがないとはいえ、今まで兄として接していた男性と婚約したのだ。
エルドは立ち上がり、バラウディアの肩に手を置いて、
「強引に勧めてすまない。だが私はバラウディアが暗い顔をしているのを見ているのは辛かった。結婚したら私の妻として働いて欲しい」
「当然ですわ。それがわたくしに与えられた役目だとしたら、完璧に果たします」
「役目だけではなくて」
そう言うと、バラウディアを椅子から立たせて、抱き締めた。
「私は心の通じた夫婦になりたい。バラウディアに笑顔でいて欲しい。幸せを感じて欲しいんだ」
「幸せを」
「そう、幸せを‥‥‥」
エルドに囁かれた。
「心から泣いて笑っていいんだよ。せめて私が傍にいる時だけは。辛いことがあったら吐き出して欲しい。私はバラウディアの夫になるのだから」
そして、キスされた後に言われた。
「今まで公爵家の為に王家と言う重荷を背負わせてすまない。本当に申し訳なかったね」
涙があふれる。
心がないと言われ続けて辛かった。
わたくしだって心があるわ。
浮気をされて辛かった。
だってわたくしが婚約者じゃない?
いかに愛を感じてない相手とはいえ、政略とはいえ、わたくしだってジュピト王太子殿下と笑い合いたかった。
心を通じさせて幸せになりたかった。
でも、将来、王妃になるという、自分の役目の重さがそれを許さなかった。
わたくしは公爵令嬢。
皆の手本にならなくてはならないの。
王太子殿下の婚約者。完璧でなくてはならないわ。
次々と浮気をされて。わたくしの心はぼろぼろになって。
兄の、エルドの心が嬉しかった。
だから……
「わたくしは辛かったの。ずっとずっと辛かった。浮気をされて辛かった。でも、完璧な女性にならないと。将来、王妃になるのですもの。だから我慢して。心にも蓋をして。でも、わたくし、わたくしはわたくしはっ…‥‥お兄様っ。お兄様。わたくしは幸せになりたい。愛し愛される家庭を作りたいのっ」
エルドの胸の中で思い切り泣いた。
エルドはずっと背をさすって泣かせるだけ泣かしてくれた。
その後、王家とひと悶着あった。
変…辺境騎士団がジュピト王太子をさらおうとしたのだ。
屑の美男をさらって教育するという変わった騎士団である。
王立学園に行く途中、ガタイの良い連中に馬車が襲われた。
しかし、王家もしっかりと護衛をつけていたのと、偽者を乗せていたので、連れ去られなかったのだ。王家の情報網も、変…辺境騎士団が王太子を狙っていると掴んでいた。
だが、ジュピト王太子は真っ青になった。
自分は変…辺境騎士団に狙われていると情報は入っていたが、実際に行動してくるとは。
怖くなって王宮に籠って外に出なくなった。
国王は、仕方ないので第二王子を王太子にし、ジュピトを廃嫡し、離宮に閉じ込めた。
ジュピトは離宮で精神を病んでしまい、
「バラウディア。今日も庭に綺麗な花が咲いているね」
と、人形を相手に話しかけている日々だ。
その事を人から伝え聞いたバラウディア。
だが、なんとも思わない。
もうすぐ、エルドとの結婚式だ。
結婚式の日に、公爵夫人になるのだ。高位貴族の夫人としてしっかりと対応しよう。
でも、夫になるエルドに対しては満面の笑顔で。
わたくしの心は貴方にあるの。
わたくしは冷たい女なんかじゃない。
貴方を愛しているわ。
有難う。心を取り戻してくれて。
わたくしは貴方を一生愛し続けるわ。




