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第一話

基本的にゆるゆる話

 ミミックロウラーという魔物がいる。この世界では割とメジャーな虫のモンスターであり、強さを分類するならば下級、よくて中級。ある程度の戦闘力を持った者ならば問題なく対処できる相手だ。特徴としては、擬態能力があること。物や動物に擬態し奇襲してくることもあるので注意が必要だ。

 それだけを聞くと恐ろしいように聞こえるかもしれないが、擬態の精度はあまり高くなく、物体ならば知ってさえいれば即座に見破れる程度。動物に至っては知らなくても本物ではないと分かるレベルである。それがこの魔物の強さの分類を下級にしている所以だ。

 先ほど動物、とはいったが、では人に擬態した場合はどうなるのだろうか。そういう疑問を持つものもいるであろう。実際人に擬態しようとしたミミックロウラーもそれなりの数報告されている。が、お世辞にも人とは言えない代物であり、擬態しないほうがマシとまで評されるほど。勿論言語も碌に発せないので見破るとかそれ以前の問題だ。

 さて、そんな虫のモンスターの説明を何故したかといえば。


「ダイジョウ、ブ?」


 眼の前に人っぽい芋虫がいるからである。どう見てもミミックロウラーだ。これが普通の人であった場合、自分は幻覚にやられているか毒キノコを食ったかであろう。

 というか何で俺は魔物に、しかも芋虫に心配されなければいかんのか。


「大丈夫だ、ほっとけ」


 そんなことを思ったので、そのまま口にした。歳の割に大人びた、というか生意気だと言われて一人ぼっちでいたこともあり、この辺りの性格はもう多分直しようがない。相手が誰であろうと、それこそ人っぽく擬態したつもりの芋虫であろうとだ。

 が、俺の言葉を聞いた芋虫は、あろうことかそのまま俺の横に腰を下ろした。場所は自分の住んでいる村からは離れた森の一角。こうやって並んでいても誰も発見しないだろうが、だからといってこの光景が気持ちいいものではない。


「ホットケ、ナイ?」

「なんでだよ。芋虫には関係ないだろ」

「わたしモ、ヒトリ、ボッチ」

「一緒にすんな。……は?」


 ニュルン、と芋虫の顔がこちらを向く。ぶっちゃけ気持ち悪い。が、少しだけ気になったので思わず聞き返してしまった。

 曰く。自分はミミックロウラーの中でも擬態が下手で、物体や動物に成れない。辛うじて人っぽい何か、今の状態に成るのが精一杯らしく、ならばとなんとか人に近付けるように練習を積んでいるのだとか。勿論群れからは半ば追い出された状態なので一体だけで。


「割と喋れるのもその練習の成果か?」

「ウン」

「ふーん」


 ちょっとだけ嬉しそうな芋虫をちらりと見て、俺は森の奥を見た。これ以上中に入ると流石にモンスターと遭遇してしまう。だから戦う力のない奴はそこまでいかないし、なんなら今いるこの場所もモンスターが来ないわけじゃないので普通は立ち入らない。実際こうやって隣に人に擬態したつもりの芋虫がいるわけだし。


「♪~♪~」

「……なんか嬉しそうだな」

「ウン。ハジメテ、オシャベリ、デキタ」

「ああそうかい」

「ウン!」


 ぱぁぁぁ、と擬音でもつくような勢いで頷く芋虫。やっぱり気持ち悪い。そう考えたそのままを思わず口にすると、芋虫はショックを受けたように項垂れた。いやお前、それで大丈夫だと思ってたのか。


「オモッテタ」

「アホか。どこをどう見ても芋虫だろ」

「テトカ、アシトカ?」

「緑掛かってる。ゴブリンとかゾンビじゃねぇんだから」

「ウゥ~」


 ガックリ、と落ち込む芋虫。まあ人に近付けるように練習してて結果がそれじゃあまあ無理だろうしな。ばったりと出会った自警団辺りに殺されるのがオチだ。

 そこまで考えて、ああそうかこいつそのうち殺されるのか、ということに気が付いた。見た目芋虫でぶっちゃけ気持ち悪いしそもそもモンスターだしそうなるのは至極当たり前なのだが、それでもどこか言いようのないモヤモヤが生まれたのだ。出会ってまだほんの少ししか経っていないのにだ。

 それもまあ仕方ないだろう。こちとら村では生意気なクソガキで通ってて、同年代からは遠巻きにされるわ大人からは可愛げないと言われるわで居場所なんてもんがなかったのだから。だからこうして会話できる芋虫の方に情が移るのも。


「いやおかしいだろ」

「ドウシタノ?」


 こてん、と首を傾げる芋虫になんでもないと返し、しかしモヤモヤは晴れないので一体どうすればいいのかと子供っぽくない思考を巡らせた。

 そうして出てきたのは、案外子供っぽい、単純なもの。


「なあ」

「?」

「俺がお前の練習を手伝ってやる」

「ホ、ント!?」

「ああ、とりあえず人に見えるように、そう簡単に見破られて討伐されるようなことがないように、そうすれば」


 そうすれば、なんだろう。森から出ても一緒にいられる、か? いや芋虫と一緒にいてどうするんだよ。そんな自問自答をしながら、俺は眼の前の芋虫に向かって手を差し出した。


「ナニ?」

「握手だよ握手。今から俺とお前は協力関係だ」

「ア、トモダチ!?」

「芋虫のくせにそういう言葉どこで覚えてくるんだ? まあなんでもいいや」


 そう言って握ったこいつの手は、芋虫を摘んだ時のようなブニっとした感触がした。







 そうして俺と芋虫の修業の日々が始まった。元々村の連中から別段いい印象を持たれていなかった俺は、どこにいようと心配されることもない。一応両親にだけは事情を伝えてあるが、おおらかというかちゃらんぽらんというか、お友達が増えて嬉しいとか、じゃあその擬態が完璧になったら家に連れておいでだの正気を疑う発言が飛び出して、俺は本当にこの二人の息子なのだろうかと疑問に思ったりもした。


「お父サンとお母サン、大好キなんデスね」

「アホ」


 独学で意思疎通の出来る言葉を身に付けただけはあり、どうやらこいつの擬態能力は人に成ることに特化していたらしい。割とすぐに喋りはまともになった。が、見た目は未だに人っぽい芋虫だ。手足の感触は人に近くなったが、それ以外の進歩があまりない。


「少シはありますヨ、ほら」

「あー、はいはい」


 そう言って芋虫はくるりと回転する。その拍子にスカートがふわりと舞い上がった。

 そう、こいつ女だったのだ。いや、モンスターだしメスか? まあいい、どっちでもいいが、ともかく擬態の精度を高める過程で服装がブラウスとフレアスカートになった。そういうところをこだわる前にまず人っぽい芋虫から卒業するべきではないだろうか。

 そこを言うと、いいじゃないですかと返ってくる。本人、いや本虫が言うなら別にいいが、その場合俺がこいつに付き合う時間が長くなる。


「嫌だったデスか?」

「他にやることないから別に」

「えっへヘ~」

「何笑ってんだ気持ち悪い」


 酷い、と眼の前のこいつが抗議をするが、頬っぽい場所を赤らめる芋虫とか気持ち悪い以外のなにものでもない。そう反論すると、そうなんですか、と少し落ち込むように項垂れた。


「やっぱリ顔が問題なんデスね」

「やっぱりもなにもそこが一番の問題なのは分かりきってるだろ」


 今の状態で村に行ってみろ、一発で叩き切られて緑色の汁を撒き散らしながら死ぬぞ。想像してみて色々な意味で気持ち悪くなったので、咳払いをすると話題を変えるようにところで、と言葉を紡いだ。


「お前、それで擬態の修業が終わったら群れに戻るのか?」

「え?」

「なんで不思議そうな顔をするんだよ。元々そのための修業だろ?」

「そーなんデスか?」

「違うのかよ」


 ジロリ、と芋虫を睨むと、ううむと何かを考え込むようにうねうねしだした。そうした後、にゅるりとこちらに向き直る。


「エミルの家に、招待されたいデス」

「はぁ?」

「家に行ってモ、いいんデスよね?」

「……擬態が完璧になったら連れてこいって言われただけだ」


 一瞬意味が分からなかったが、どうやらこの芋虫――スロウは擬態の修業を完成させたら俺の家に来る気らしい。いや、やっぱり意味が分からない。というよりも、俺の質問の答になっていない。

 そう続けると、こいつはもう一度何かを考えるようにうねうねし、そして決めたとばかりに頷いた。


「戻りませン」

「……はい?」

「わたし、群れに戻りませン。エミルと一緒にいマス」

「…………」

「嫌デスか?」

「うん」


 だって芋虫だぞ。モンスターだぞ。現状人っぽい形の、ブラウスとスカートを着た芋虫だぞ。一緒にいたら間違いなくモンスターを連れ歩く異常者だって何かしら処罰される。


「大人シイモンスターは使役されることもあるンですよネ?」

「まあ、一応は」

「じゃあわたし、エミルに使役されマス」

「俺の将来勝手に決めるのやめろ」


 その場合、冒険者になって魔物使いのスキルを取得する必要がある。別に出来ないことはないが、だからといってやりたいかはまた別だ。


「ちゃんと役に立つヨウにわたしも頑張りマス」

「その前にまずは擬態頑張れよ」

「そっちも勿論やりマスよ」

「はいはい」


 思い付きだか何だか知らないが、とにかくこの芋虫はもう群れに戻らないらしい。まあ戻ったところでモンスターの集団なんだから何かしらで人を襲うなりしてそのうち討伐されるのだろうから、そういう意味では戻らなくて一安心ではある。

 そんなことを考えて、何が一安心なんだと自分で自分にツッコミを入れた。それはまるで俺がこいつを心配しているみたいで、そしてこいつが変なところで死なないことを喜んでいるようで。


「どうしたんデスか?」

「なんでもない。いいからさっさと修業を続けろ」


 まあ、なんだかんだ年単位で付き合っているのだから、情が多少湧くのも仕方ない。俺はそう結論付け、いつまでも変わらない芋虫顔をぼんやりと眺めていた。







 この芋虫と知り合ってそれなりの年月が経った。俺も今は十四、そろそろ冒険者の資格を取って魔物使いのスキルをきちんと取得することの出来る年になる。

 そう、結局何年も問答をしているうちに俺はその気になってしまった。スロウを自分の使役する魔物として登録する約束をしてしまったのだ。まあしてしまったからには仕方ない。こいつの修業の傍ら、俺も冒険者の資格と魔物使いのスキル取得の準備を着々と整え、後は十五になったタイミングでギルドに行けば即可能になるくらいにはなっている。

 だというのに。


「おい」

「何ですか?」

「何でお前は芋虫顔のまんまなんだよ!」

「い、芋虫顔って言わないでくださいよ。ほら、被り物っぽくはなってるじゃないですか」


 ほれほれ、と芋虫と人の首の境目を見せる。今まで人の形の芋虫だったのと比べれば大幅な進歩ではある。そこはまあ認めてやらんでもない。

 が、それから一年近く。こいつは芋虫の被り物をした女の子状態で足踏みしていた。百歩譲って、変わり者の女の子でギリギリ済むようにはなったが、だからなんだである。村を歩くのは勿論無理だし、夜にこっそりと俺の家に招待するのがギリギリだ。

 ちなみにこの状態のスロウを見て両親は、可愛い女の子と仲良くなってよかった、とか抜かしおった。多分目か脳が何かに汚染されている。父親に至っては、使役するからといってエッチな命令をしてはいけないからなとか言い出した。確実に脳が汚染されている。

 ともあれ。このままの状態のスロウを連れ歩くのは中々にリスキーだ。まず間違いなく目立つ。


「でも、エミル」

「なんだよ」

「わたしは使役される魔物なんだから、そもそも人の姿をしなくてもいいんじゃ?」

「それはそれでこれまでの修業が無駄になるから腹立つ」

「わがままですね~」

「どの口が言うんだよ」

「これですこれ。糸吐けますよ」

「うるせぇ芋虫」


 そう言ってスロウの芋虫ヘッドをつんつんと突く。芋虫特有のぶにっとした感触、ではなく、本当に被り物のようなざらついた感触が指に伝わり、思わず俺は動きを止めた。


「なんだこれ」

「だから、被り物っぽくなってるって言ったじゃないですか~」

「いや確かに言ったけど……ん? いや待て」


 じゃあお前それひょっとして本当に被り物なんじゃないだろうな。そんな疑問が頭をもたげたタイミングで、人の気配がした。それも複数。とはいえ、大人数ではない、精々二・三人だ。

 俺がそろそろ冒険者の資格を取れる年齢だということは、同年代もそうだということ。つまり、これまで危険だとされていた森にも立ち寄れるようになるわけで。死んでも自己責任で来てる俺と違って、他の同年代は当然その辺を律儀に守った。そして、ようやく鼻つまみ者であった俺に何かしらするタイミングを手に入れたということだ。まあここのところぶっちぎりの成績で冒険者の内定もらったから、やっかむのも当然と言えば当然か。


「スロウ」

「はい、迎撃準備は出来てますよ」

「アホ、お前は隠れてろ」

「どーしてですか!?」

「芋虫ヘッドの変人女がこんな場所にいたらおかしいだろ」

「どこにいてもおかしいですよ?」

「分かってんならその頭どうにか――」


 ジャリ、と音がした。どうやら遅かったらしく、そこには木製の武器で武装した顔は知っているが名前までは知らない同年代の連中が数人。ようエミル、と言われたが、俺は向こうの名前が分からないので返事がおうとしか出来なかった。


「どうせ名前も覚えてないんだろ。そうだよな、お前はそういうやつだよな」

「ああ、そうだ。俺はつまるところそういうやつだ。だったらどうした?」

「決まってんだろ」


 名前も思い出せない、あるいは最初から知らない同年代の男が木剣を振りかぶる。危ない、と後ろのスロウが悲鳴を上げたが、うるせぇバカと返しながら俺は一歩踏み出してその木剣の柄を受け止めた。


「なっ」

「先に攻撃したのはお前だぞ」


 ぐい、と掴んだ木剣を引っ張り、体勢が崩れた男に向かい肘打ちを叩き込んだ。目を見開いて咳き込んだそいつに、奪い取った木剣を返してやると振り下ろす。冒険者になろうとしているのだから、この程度では死なないだろう。

 そうして一人を沈めた俺は、残りの面子、後二人の顔を見る。あっさりと倒された仲間を見て、どうやら怖気づいたようだった。


「まだやるか? 俺としてはさっさと帰るのをおすすめするぞ」


 返した木剣をもう一度奪い取ると、俺はその切っ先を向けた。どうして魔物使いがそんな動き出来るんだよ、と叫んでいるが、それこそバカの発言である。魔物使いのスキルの取得には他のスキルの講義も受けて合格もらわなければいけないんだよ、そんなことも知らんのかこいつらは。というか、大抵の固有スキルはそれまでに必要な資格がある。それを知らないということは、つまりこいつらは基本の講義しか受けてないというわけで。


「講義をまともに受けてない奴は、そんなもんだろ」


 こちとら後ろの芋虫ヘッドの修業の手伝いと自分の講義とで散々動いたんだ。既に活動してる本職相手はともかく、まだ見習いにも片足突っ込んでいるか分からない程度の奴に負けてたまるか。

 もう一人を木剣で殴り飛ばすと、俺は最後の一人を睨む。さっさと伸びてる奴らを連れて帰れ。そう言おうとしたタイミングで、その一人が口角を上げたのを見て俺は怪訝な表情を浮かべた。


「エミル、後ろ!」


 スロウの声と同時に衝撃。どうやら片方が意識を取り戻していたらしく、こっそりと俺の背後に回っていたらしい。思い切り一撃を食らってしまって、そのまま転がり木にぶつかる。かは、と肺から息が飛び出て、そのまま思い切り咳き込んだ。

 形勢逆転だ、と無事な一人が木剣を構える。どうやら復活したもう一人は俺をぶっ飛ばすのに残った全力を使ったらしく、後は任せた、と倒れ込んでいる。何だか友情の力を見せつけられている気がして、少しだけムカついた。

 そんなタイミングで。どこからか飛んできた何かが残り一人の男の頭に命中する。結構痛そうな音がしたが、流石にそれで倒れるようなことはなく、何だ今のはと飛んできた方向へと視線を動かしていた。そして、え、と動きを止めるのを見た。

 が、俺はそいつが何を見ていたかとかの前に、飛んできたものの方に視線が行ってしまった。芋虫ヘッドである。スロウの頭である。コロン、と転がっているそこには人が被る用の穴が空いているので、どうやら本当に被り物だったらしい。あるいは、そういう擬態としてのパーツの一部かもしれない。


「エミル、大丈夫ですか!?」


 ともあれ。そう言ってこちらに駆けてくる、肩口より少し下まで伸ばしたきれいな金髪をハーフアップにし、蝶、というかあれは蛾だと思われる羽を模したリボンをつけた、パチリとした可愛らしい青い目の美少女が。


「ちょっと待っててください」


 そう言って屈み込んだ美少女、いや、現実逃避はよそう。どうやらいつのまにか擬態を完璧にこなせるようになっていたらしい芋虫、スロウがさっき木に激突した俺の背中に手を当てると、淡い光が発生した。


「って、回復魔法!?」

「頑張りました」


 頑張りましたじゃねぇよ。ミミックロウラーは下級のモンスター、勿論回復なんぞ出来るはずがない。にも拘らずそれをこなしたこいつはもう、間違いなく普通の芋虫じゃない。

 が、まあよくよく考えれば元々最初から普通の芋虫じゃなかった。何だ何の問題もないや。そう思い直した俺は、どうやらスロウを見て惚けてしまっていた最後の一人に向かって拳を叩き込む。卑怯とかそういう文句は受け付けない。

 そうして伸びた三人を引っ張って村に戻る。いそいそと糸を吐いて被り物を作ったスロウには一発チョップをお見舞いして外させた。


「でも、エミルのお父さんやお母さんが、この状態だとエミルに使役されないって」

「……なるほど」


 今回の騒動を村の冒険者ギルドに報告し、乱闘騒ぎということで俺も説教を受けたのだが、その道中も最中にもやたらとこちらを見る、正確にはスロウを見る視線が多かった。まあ村では見たことない美少女がいるんだからそうなるだろう。芋虫の擬態だが。

 ともあれ。今この状態のスロウを芋虫です、俺の使役モンスターにしますと言ってギルドに通るかといえば恐らく。


「やっぱり芋虫状態で登録に行きますか?」

「嫌だ。せっかくあれだけ二人で修業したんだ、こうなったら意地でも今のお前のまま一緒にいてやる」

「……ふ~ん、へ~。えっへへ~」

「何だお前、気持ち悪い」

「酷くないですか!?」


 前途多難。そんな文字が間違いなく似合うであろう俺の冒険者生活はこうして始まりを告げた。いや、始まりはしたが、これが果たして冒険者生活といっていいのかどうか。

 まあ少なくとも、問題の大半は俺の横で美少女に完璧に擬態するようになってしまった芋虫のせいで間違いない。



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