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転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?  作者: サクラ近衛将監
第三章 貴族として

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3―13 ブルームランドへ その二

 ブルームランドへ行くにあたって、僕が事前に仕込んでいた策がある。

 それは先に派遣した、代官補佐役のオーラッド・マクブランの配下に孤児院出身の諜報活動に潜在能力を持つ五人をつけて、ブルームランドおよび隣接の子爵領都男爵領の内情を探らせるためである。


 その中でも三人については、代官であるジョシュア・ケアンズの目を盗んで色々と悪さをしている下っ端管理の証拠を握るための調査をしてもらっている。

 一人は、公共工事を担当しているリーンハルト・メーベルトであり、二人目は、領民の保護や福祉(この国では、余り福祉事業若しくは福祉制度は多く無い。)を担当しているヨーゼフ・アイスナーであり、三人目は、税務を担当しているライムント・バーデンである。


 この下にさらに何人かのワルが居るのだが、妖精sの働きによって僕自身はその悪さを全て承知している。

 但し、実際に糾弾するとなれば、妖精sの存在はできるだけ隠しておいた方が良いので、それとなくヒントと策を授けて、オーラッド・マクブランに特命を与えている。


 その特命の際に知己の5名の孤児院出身者を引き合わせ、6人でバラバラにブルームランドへ入るよう指示を与えた。

 概ね一月ほどの間に彼らの内偵が済んで、ワルどもの悪事の間接的証拠が見つかり、その悪事が概ね判明したようである。


 直接証拠については、妖精sの働きで、既にその在りかが判明しているから、僕が乗り込んでから捜索差押(ガサ)をさせて、それらワルどもの罪を暴き、刑罰を科す予定である。

 因みに彼らの罪については、僕の領地になってからの悪事だけでなく、王家直轄領時代の悪事が引き続いているので、軽微な刑には納められないだろうね。


 良くて終身刑(鉱山奴隷等)、最悪の場合、家族を含めて死罪になるのが王国の制度なんだが、家族もしくは一族でそのワルさを知っていながら見過ごしていたものは連座にするのもやむを得まい。

 因みにそうした一族は、ライムント・バーデンであり、バーデン一族は親の代からこの悪事を働いていたんだ。


 従って、バーデン一族については、親夫婦、本人を死罪にするしかない。

 また、ライムントの妻及び幼い子供については、その悪事を知らなかったことから罪一党を減じて領外追放とするしかないだろうね。


 僕にとっては、とても後味の悪い裁きになるんだが、一罰百戒の意味を込めてやらざるを得ない。

 ブルームランドに行くのが多少憂鬱になって来たよ。


 更には、隣接する子爵領と男爵領にも若干の疑惑が有るのだけれど、そちらの方は別途解明することになるだろうね。

 とても一月や二月では解決できそうもない問題なんだ。


 そうしていよいよ、護衛の騎士やらメイドを引き連れて、ブルームランドへ出立だ。

 途中の町での宿は先遣隊の従者が居て手配済みである。


 当然のことながら、江戸時代で云う『本陣』、つまりは貴族専用の宿に宿泊することになる。

 幸いにして他の貴族とバッティングすることも無く全ての宿が予約出来たようである。


 出立日は生憎と小雨模様だったが、王都を出て二刻ほどすると雨も上がった。

 警護の騎士たちが、馬共々濡れネズミになっているんだが、これも仕事なのだからやむを得ないんだ。


 僕とクラウディア、それに従者(執事やメイド)達は、馬車に乗っているので濡れることは無い。

 但し、騎士達の場合、幌馬車的な荷馬車が車列の最後尾についているので、騎士達も状況により交代しながらの小休憩も可能なんだ。


 二泊三日の旅程で、三日後の夕刻に、ブルームランドの宿にたどり着いたよ。

 あぁ、途中の宿泊地一か所で、王家直轄領の代官所が有ったので、儀礼的な挨拶だけはしておいたよ。


 これ以後、代官が交代するまで、僕らがその地を通過する際に一々挨拶は不要となる。

 勿論、事前に先触れはしておかねばならないんだけれどね。


 因みにブルームランドの宿は、これまでの二か所の宿とほぼ同じ大きさで、僕たち一行が全員泊まれる収容力を持つ宿なんだ。

 但し、残念なことにこの世界では風呂が一般的ではない。


 大貴族なんかは自分の邸に大きな浴室を持っている場合もあるけれど、通常はお湯を沸かしてから身体を拭うか、若しくは、夏場の暖かい日に水のシャワーを浴びるぐらいだろうね。

 シャワーも、屋敷に水道などきれいな水が引かれている場合に限る。


 従って、途中の宿でも風呂は無かったな。

 いくらお湯で拭ってもらっても、流石に三日も風呂に入らないと何となく気持ちが悪くなってしまうので、僕はインベントリからバスタブを取り出し、お湯を張って風呂に入ったよ。


 クラウディアも嬉々として風呂に入っていたね。

 僕とクラウディアは正式な夫婦ではあるけれど、クラウディアが満年齢で15歳になるまでは夫婦の営みはしないと二人で話し合ったんだ。


 僕とクラウディアは共に13歳、僕の方が誕生日は60日ほど早いので、僕の方が年上だけれど、後二年余りは二人で添い寝だけの間柄だな。

 ダイノス侯爵家に風呂は無かったようなのだが、ブラッセルマン家の王都別邸に住み始めて、クラウディアはすっかりとお風呂に馴染んでしまっている。


 クラウディア付きのメイドたちもお風呂場でどのようにお世話をするかも板についてきたところだ。

 生憎と今回は、屋敷のような専用の浴室ではなく、広目の客室に置かれたバスタブでの入浴なの若干仕様は違うが、メイドたちは色々と工夫しながら世話を焼いている。


 僕の場合は、入浴中に執事が傍についているが、ほとんどを僕がするために、余り彼らのすることは無いな。

 まぁ、僕らに子供ができるまでは我慢してくれ。


 子供ができたなら、いずれ執事やメイドの世話が必要になる。

 夕刻に宿について、真っ先に代官であるジョシュア・ケアンズとその補佐であるオーラッド・マクブランが挨拶に来たな。


 実はジョシュア・ケアンズの場合、これまで僕とは面識が無かったんだ。

 王宮直轄領から公爵領に変わった後も、王宮を経由して、今までの二割増しの俸給を餌に引き続き代官を務めるよう依頼したからであって、文書のやり取りだけなんだ。


 僕は、妖精sの情報でジョシュア・ケアンズの顔も性格もその能力も良く知っているけれど、彼自身は子供の公爵には初めて会うことになったわけだ。

 13歳の子供、前世で言えば小学生か中学生なわけだから、その子供が自分の直属の領主になると聞いて流石に驚いたことだろうな。


 そうして王都の英雄と噂されているから、さぞかし立派な体躯を持っているかと思いきや、傍にいる13歳の公爵妃殿下とさほど変わらない体躯の持ち主にさぞびっくりしたに違いない。

 それでも直属の部下としての建前を崩さず、最後まで儀礼を尽くしたのは立派だよな。


 僕からは、明日は代官所に赴くことを伝えて、その日は帰ってもらった。

 因みに、オーラッド・マクブランも代官所に付属する宿舎に空き部屋が有るので、そこに三日前から住んでいる。


 それ以前はどうしていたかと言うと、旅人を装って本陣宿とは別の安宿に泊まっていたんだ。

 僕たちがブルームランドにやって来る日を確認して、三日前に代官所に僕の委任状を持って現れたわけだ。


 それまでの間はブルームランドの町で、僕の手配した諜報員とともに密かに情報収集を行っていたんだ。

 明日はその成果を見せてもらい、同時にワルどもを裁きに掛けることになる。


 ◇◇◇◇


 翌朝、最小限度の騎士や従者達を連れて僕らは代官所に向かった。

 代官所では、ジョシュア・ケアンズ以下の代官所で働く者達が僕らを出迎えてくれた。


 一応、代官所の幹部クラスの者が僕に紹介されたが、この中にも不当な賄賂をとっているちょいワルが居るんだ。

 まぁ、それも別途明らかにして行こう。


 そうして、ブルームランドの現状についてジョシュア・ケアンズから概況説明を受けた。

 その過程で、予算の使途についての説明が有ったので、その出費と実際に配分され若しくは使われている金額の違いを、補佐であるオーラッド・マクブランから概要を説明させて、誤りを正すために、代官所に所属する騎士を使って捜索差押を実施するよう代官オーラッド・マクブランに指示した。


 ワルどもが巧妙なためにジョシュア・ケアンズが、その悪行に気づかなかったことは承知している。

 従って、ジョシュア・ケアンズにもそれなりの落ち度はあるんだが、それは半年間の2割減給で済ませるつもりだ。


 直ちに行われた数か所の捜索差押により、直接的な証拠多数が発見され、リーンハルト・メーベルト、ヨーゼフ・アイスナー、ライムント・バーデン三人の悪行が明らかになり、さらにライムントの父親の悪事も暴かれたために、メーベルト一族、アイスナー一族、さらにはバーデン一族も取り敢えず捕縛されたのである。

 これにより余り使われていなかった代官所の牢獄が満杯になってしまった。


 捕縛者の数が多ければ、場合により、石の牢獄を急遽作ることも考えていたけれど、そこまでせずに済んだのは幸いである。

 翌日は代官所の中で裁判である。


 証拠を突きつけ、ワルどもの言い分も聞いた。

 その上で、僕が判決を言い渡す。


 公共工事を担当していたリーンハルト・メーベルトは、業者と結託して、嘘の工事費を捻出、その浮いた経費を着服していたのである。

 王家直轄領時代から続いていた経費横領については、かなりの額に上り、僕が科す刑罰に加えて、更なる刑罰が王家から科される可能性もある。


 同じく、ヨーゼフ・アイスナーは、王都において蔓延(はびこ)っていた孤児院への予算の横領であった。

 これもまた、王家直轄領時代から続いていたものであり、それがために、この十年ほどの間に孤児院で抱えていた孤児数名が飢えて死んでいるという重い事実がある。


 この二人に科すのは、財産没収の上で鉱山での重労働20年の刑であるが、王家の判断により、更なる刑が科されるとなれば、おそらくは死刑しかないだろうな。


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― 新着の感想 ―
通過儀礼というか、【悪代官】を処罰して、領主としての威厳を保つしかないですね。 【印籠】を示して平伏してくれれば、楽になるけど。 主人公(…水戸光圀公かよ(⌒-⌒; )) 似たようなもんやろ?
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