表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

prologue. 兎と■■

 

 煌びやかなものが、好きだ。


 ナパージュでつやつや輝く、有名店のフルーツタルト。

 軽やかに春風と踊る、ジョーゼット生地のワンピース。

 高さを出して盛り付けられた、真っ赤なトマトクリームのパスタ。

 明かりを消した部屋で灯す、花の香りのアロマキャンドル。

 シャンデリアの光の下、きらきら弾けるロゼ・シャンパーニュ。

 細番手の糸で織られた、上等な生地のスリーピーススーツ。


 絢爛な花弁を開いて豊かに香る、大輪の薔薇の花。




 全部、全部。

 全部好きだ。

 全部俺に似合う、全部俺のために選んだものたち。




 ……それなのに、どうして。


 口にして、手に取って、身に纏って歩くたび。

 何かが欠けているような、何かに負けたような――そんな気分になるんだろう。


 幾重にも重なるふくよかな花弁を掻き分けた、奥の奥。

 そこに居る『あの子』に問いかけても、答えは返ってこなくて。


 だから今日も着飾って、眩い光の道を歩く。

 愛される自分、幸せな自分――なりたい自分は、きっとそこにあるから。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ