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死後

「何かしたいことはあるか?」

 何かしたいこと、何かすること、今の僕に何が残っているのか、何が出来るのか、何をしたいのか、思考したとて解は出ない、そりゃそうだ、だってその解が出なかったからあの時あの場所に立ったのだから、それからいろいろあった、あらゆる常識が常識じゃなくなった、今だってその新に得た常識を疑っている、それほどの事が起きた、でも何かしたい事と言う難解は解けなかった。

 ただ強いて言うなら死にたくないのだろう、だからあの時自殺しようとした、死にたくないその恐怖感が僕を死に追いやった、一カ月も死にたくないという恐怖に耐えられる気がしなかったから、ただこれは何をしたいという難解の解にはなれない、死にたくないだけで決して生きたいなんて少しも思っていないから、やりたい事じゃなくやりたくない事だ。

「特にないかな」

「概ね分かった、じゃあ生きる目的探すか」

 そう言えばこの人は思考を読めるとか言っていたな、だとしたら生きる目的とは僕が導き出すことの出来なかった解の途中式だろう、そしてその途中式を求めればきっとたどり着ける、きっと照明出来る。

「この前運命は出会いで変わると言ったな、出会いってのは本当に力を持っている、人と出会い、ペットと出会い、化け物と出会い、それだけでその人の人生は大きく変わる、その人の考えにも及ぼす力は計り知れないだろう、私と同類の化け物に出会いに行こう」

 そう言われた途端、昨日真っ白の空間に行った時の様にその場に居ながらその場から移送した、そこは海の様な空の様な陸の様な、この世の全てを混ぜ合わせた様な空間、いや決して視界にはただただ真っ白な空間しかない、でもそう感じた。

「不思議な感覚だろうが直に慣れる」

「ここは?」

「私達の溜まり場かな、主に雑談している」

 当たり前の疑問を投げかけたりしている間に目の前に人が現れた。

 その人は恐らく女性だ、そして僕らとさほど変わらない美意識があるようで現代的な服装を着ていた、隣にいる近藤さんは露出狂の様なローブ一枚を羽織っただけだし、昨日会った女性に至っては服すら着ていなかった、まああの女性は実体があるのか無いのか分からないから着ていないじゃなくて着れないだけかもしれないが、まあ今までの人たちよりは僕と近い価値観を持っていそうだ。

「それは新米か?それとも客か?」

「客かな」

「まあ良いか」

 そう言った途端僕の方に歩いてきて、僕の背後に立ち、そして背中に胸を押し付けながら僕の股間と胸を触ってきた。

「ほらお姉さんと一緒に出そ」

 とりあえず気持ち悪いからどうにかしたいのだが。

「近藤さん、どうすれば?」

「好きなように」

 じゃあ好きなようにしてしまおう。

 どうせこの人も化け物だろう、ならば何をしても怪我をしたりすることは無いのだ。

 僕は後ろにいる変態を本気蹴った、思っている以上に力を入れてしまった様で後ろにいた変態は地面に倒れこんだ。

「まあこんなものか、意外と小さいのを選ぶんだなお前は」

 小さいって、僕の事か、なんかこんな変態に言われるのは癪だし思っている以上に傷つくな。

「私を貴方と一緒にしないでください、貴方は性欲で生きてるかもしれませんが、私は知識欲で生きてる」

「君の罪はそんなんじゃないだろう、君の罪は愛の筈だよ」

 愛の罪か、どっかの宗教では同性愛とかが罪になっていたが真相はどうなのだろうか。

「そういえば君は生前の記憶を見ていないのか、余計なことを言ったなすまん」

 生前の記憶、死んだってことなのか。

「いや私達は死んでいないよ、言ってしまえば瀕死、もしくは死に続けている、故に死んでいない、死と生の狭間に居る、これは比喩なんかじゃない、そのままの意味だ」

 生前の記憶を見る方法があるのなら、前世の記憶も見られるのだろうか。

「本題に戻ろう、なんの用だ?そいつか、それとも君か」

「こいつだし私だ、ただ話がしたかっただけだ、ただ出会いたかっただけだ」

「出会いね、まあ良いよ、話そうか、まずは自己紹介だ、君の名前は?」

 僕に対しての問だ、解かなくては。

「僕の名前は、僕は、僕は、僕は」

 それ以上言葉が出なかった、なぜか、何故なのか自分の名前が思い出せない、僕は誰だ?

 余命を宣告されたのは覚えている

 名前だけじゃない、僕と言う存在全てが分からなかった、どういう軌跡で生きたのか、それが全く分からない。

「やはりか、客じゃなくて新米じゃないか」

 客じゃなくて新米か、僕もこの人達と同じ化け物なのか、だとしたらあの女性が言っていたのは僕の生前なのか前世どちらだ。

「まあ新米なのはどうでも良い、あいつに出会えて幸運だったな、下手すれば永遠に自殺を続ける地獄を見る事になったな」

 地縛霊の様なものか、多分そこに自由意志は無くただただ自殺をし続けるだけ、本当に恐ろしいことだ。

「生きる目的を探したが、そもそも生きていない状態だった訳だ、どうする?」

 これからどうすれば良いのか、生きていない状態、そもそも生きていた時の記憶が無いから生きるとは何かが分からない、生きる目的ではないけど、何故僕は生きている時に自殺をしたのかを知るべきか。

「僕は僕の事が知りたい、生前何をしていたか」

「その知りたいってのは私のただ知るだけなのか、彼女の様に何かを体験を試練をこなして得る知識のことか、前者ならば全てを知れると思うだけで良い、私達は認知の存在この世界に存在しているかも怪しいだからこそ認識を変えれば世界の真理だって知れる、ただ君の問は前者の方程式を使うなら解なしだよ」

 解なし、答えは出せない、ならば認知を変えるしかないのか、全てを知れるとそれが当たり前だと思えばきっと分かるようになるのだろう、でも分かるだけならばきっと生前の僕と同じになる、同じで生きる意味を見出せないだろう、それじゃあ意味が無い。

「そうか?意味ならあると思うが、君が知れるのはなにも生前だけじゃない、前世も知れる、その前世はとても面白く不可思議で奇跡的なものだよ、まあ罪を犯した者の生前ってのは基本滑稽で面白いものだ、私とか分かり易いし折角だ話してやる、私は生前女性だった、でも今は女性ではない、男性でもない、無性とでも言っておこう、私には生殖器と肛門が無い、ちんこもまんこも無い、股間にあるのはただの皮膚だ、何故こうなったかだが、生前の私はどうしようもなく飼っていた家畜に愛情をもってしまった、それも家畜に向ける愛情ではなく、恋人におくるだろう愛情、それから何カ月も悩んだ、その末その家畜と行為に至った、気持ちよかったなあ、そして私はその快楽とその行為を相互の愛情表現と認識してしまい何度もやった、結果感染症で死亡、そしてその行為を出来ない様にと生殖器と肛門を失った、ほら面白いだろう、嘲笑えよ」

 動物を愛すのは素晴らしい事だろうに、行為のせいか大分気持ち悪いと思ってしまう。

 動物とやったのもなかなかだがそれだけでは飽き足らずに尻でもやっただろう事実にこの人とは距離を置こうと誓った。

「罪を犯した奴なんて大概まともじゃない、まともに見える君たちもきっとまともじゃない、全て満足すれば成仏すればいい、成仏して君らは生まれ変わるべきだ、きっと罪は消えない、きっと許されないだからこそ君らは生まれ変わるべきだ。私が話すべき事は話した、君らの紡ぐ物語は見させてもらうよ、じゃあね」

 そう言って目の前から消えていった。

「どうする?」

「僕は全知になるよ、僕は貴方とは違って、何もないところから生きる意味を見出せない」

「分かった、まあ楽しかったよ、君との生活は」

 別れの言葉、きっと全知になれば、僕が僕の過去を知ってしまえばさっき話していた人と同じ結論になる、だからこその別れの言葉だろう。

 出来ると思うことそれはきっと難しい、普通なら当たり前でない事を当たり前と思うのは難しい、でも僕の当たり前はとおの昔に崩壊していた、崩れ去った常識のあった場所に新たに全知という常識を植え付けるだけだった。

 そして僕は全知になった。

 前世の記憶それは女性と二人っきりの人生だった、ただ二人で生き続けるだけの人生、僕は彼女の事を愛していたし彼女も僕の事を愛してくれていた、そんなただの幸せな人生だった、でもその時は来た、病気で僕が死んだ、その時彼女も後を追おうとした、でもその時に彼女は禁断の術に手を伸ばした、黒魔術、それは成功した、してしまったという方が正しい、そして僕は生き返った、でも彼女は黒魔術の代償によって間もなく死んだ、そして彼女は僕らと同じ存在になった。

 その後僕の前世は何事も無く終わりを告げ、僕は生まれ変わり今に至る。

 そしてその女性は今僕の目の前にいる。

その内イケメン生徒会長との恋愛かなんかをだすかも

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