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15話

「お前が……お前が……」

翌日からリンタロウの様子に変化が訪れた。

私と顔を合わせると呪詛のように「お前が」と唱えてくる。

犬たちも飼い主の変化に気づき、「うぅぅぅ……!」と唸りをあげている。

彼が彼じゃない。何者かに取り憑かれたかのような感じだ。

いったい私がどうしたというのだろう……?

原因は昨日のモヤに包まれたからだろうというのは想像できる。

私を目の敵にするのは何故?

居心地が悪い。

とりあえず今日は休みだ。

外へ出よう。

犬たちも飼い主がこんな状態だし連れていこう。

2匹の首輪にリールをつけ、1匹は私が抱っこする。

「行ってきます」

一応声をかけて、外出する。

犬たちは自身の家を見据え続け、「ワンワン!」と吠えていたが、距離を取ると自然と落ち着きを取り戻した。

だいたい10分くらいだろうか、小さい彼らに振り回せながらも、公園のベンチで私は一休みしていた。

ぐぅー。

お腹の音だ。

時計は家を出る時に見てきたが、今現在の時間を確認できるものがないため、大まかだが、午前の10時前後頃だとしよう。

「食事、どうしよう?」

私はまだご飯を食べていない。

当然お腹が空く。

この世界のお金は持っていない。

お店は沢山あるが買い物ができない。

うーんと唸っているとザッザッと足音が聞こえ、声がした。

「あー!やっぱりカトちゃんだ!」

「どうしたの?こんなところで?」

顔をあげる。

そこには知り合ってまもないが、友人と呼べる2人の女の子の姿があった。

香織と沙織だ。

思わず涙がこぼれそうになるのを堪えて、答える。

「リンタロウの機嫌が悪くて逃げてきたの」

「吉野ちんが?」

「どんな風に機嫌悪いの?」

「お前がお前がってボソボソと私を見て言ってくるの」

「ええー……。吉野ちんとカトちゃんって従妹でしょ?なんで急に?」

「分からないわ」

この2人には私達のことに巻き込みたくない。

昨日のことは伏せておこう。

「うーん、週明け吉野ちんお説教だな」

「絶対許さない」

双子の彼女たちが同調する。

ぐぅー。

そこで再び私のお腹が空腹を訴える。

「カトちゃんご飯は?」

「まだ食べてないわ」

「だったら!」

キラーンと2人の両目が光る。

「昨日食べられなかったクレープを食べに行こう!」

「でも私、お金持ってきてない……」

「いいっていいって」

2人の圧に押されて公園を出る。

小脇を少し進む。

クリーム色のクルマという乗り物には「美味しいクレープ」と垂れ幕が下がっていた。

2人組の先客がいた。

1人は背が180cmくらいありそうな男の子。

もう1人は対象的に小柄な女の子だ。

「あいよ、ありがとさん」

店主と思わしき人が、2人にクレープをわたし、お金を受け取る。

「あああ、ありがとうございましゅ……!」

小さい女の子は緊張しているのか、どもりながらもお礼をした。

「あざーっす」

高身長の男子も続く。

2人は買ったものを片手に並んで歩いて去っていった。

去り際に2人と目が合いぺこりとお辞儀を私たちは交わした。

「おっちゃーん!いつもの!」

「あいよ!イチゴスペシャルとチョコバナナスペシャルだな!ん?見ない子だな」

香織が注文をすると私に気づいたおじさんがこちらを注視する。

「ええっと……」

こういう時どうすればいいんだろう……?

「この子はカトちゃん!私たちの友達なんだー!」

「ハーフだけど差別しないでね!」

「んな事するかよ!んで、カトちゃんはどうする?」

「私お金もってきてないので……」

「ダメ!カトちゃんはまだ何も食べてないから私たちが奢るの!」

「なんでもいいから食べないとね!」

2人の剣幕に負ける。

「それじゃあ、1番安いので……」

遠慮しがちに注文。

「あいよ!1番高い全部盛りスペシャルな!」

「いや、1番安いので……」

「嬢ちゃん、今日は俺の奢りだ。遠慮しないでくれ」

1番高いのときいて双子は財布を取りだしアワアワと慌てていたところにおじさんは優しく声をかけた。

「でも……」

「この2人は常連でね。2人の友達ならサービスさ。1回くらい高いのタダで提供しても困らないから遠慮するな!」

ガッハッハッと笑い声が響く。

「カトちゃん!これは私達が半年にいっぺん食べられるか否かの商品なの!」

「だから1口分けて!」

香織と沙織の顔が迫ってくる。

「全然いいよ」

「やった!その代わりに私たちのも1口分けてあげる!」

香織の笑顔が眩しかった。

私は今この子達に救われたのだ。

感謝しかない

「ありがとう」

思わず口にする。

「どういたしまして」

「こちらこそ」

2人はそれを受け入れてくれた。

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