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ヲタッキーズ145 帰ってきたセフレ

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第145話「帰ってきたセフレ」。さて、今回は主人公の元セフレが帰って来て大騒ぎの秋葉原で宗教秘儀に模した連続殺人が発生w


背後にマルチバースからの異次元難民を搾取スル蛇頭組織が浮上、アイドルグッズのコピー商品市場"リトル広東"を震撼させる"鴨緑江のナマズ女"とは?


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 五反田妻


短剣から滴る赤い血を小皿で受ける。

蝋燭に火をつけ、白い布で顔を覆う。


火のついた蝋燭を、死体に握らせる。

顔を覆う布の上に金貨を置いて包む。


秘儀を終え、去る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


首都高を行き交う車。そびえる摩天楼。アキバの黄昏時。

激しいセックスだ!ベッドから落ちテーブルを蹴飛ばす。


額縁が左右に揺れ、次々と落ちるw


「ス、スゴいな!」

「最高よっ!トップ10に入るわ!」

「いや、トップ20だ」


メレデは不満の声を上げる。


「どうして10じゃないの?」

「先ず、パリにカウアイ島。ヤンキースタジアム。ミコノス島にコニーアイランド…」

「ソレに気球もあったわ」

「後は…君が妊娠しかけた夜だ」


突然キスされるw


「いっぱい楽しんだね!」

「確かに!」

「だのに私達、別れたなんて…」


ん?妙な展開だ。早目に手を打つw


「全く驚きだ。でも、君が何処かのVtuberと浮気をして"元カレ解怨(かいおん)"とかヤリ出した挙句にアキバを出て逝ったんだ。仕方ないさ」

「わかったわ!じゃ私、帰って来るから」


イキナリ台風直撃←


「え。アキバに?」

「だって寂しいモノ。この街ならラッツ(僕の昔の名前)がいるし」

「ま、待て。君は女優だ(AVだけどw)仕事はどーする?」


"女優ゴコロ"をくすぐってみる。


「五反田はダメなの。風俗ばかりで、演技派女優の需要がナイわ。ココなら最近"東秋葉原ブロードウェイ"がキテるし…」

「なるほど。でも、ねぇ、いや。ちょっち待ってくれょ、メレデ。君、良く考えたのか?」

「いいえ笑。でも、私達が同じ街に住めるのょ?何だか昔みたい。ソレとも、私とじゃ…いや?」


メレデは顔をうずめる(何処に?)w


「リン・ミンメイみたい…うっ」←


第2章 不統一教会


死体が赤いフランネルの上に大の字になっている。


「被害者は半島系20代前半。複数の刺傷。腕と胴体には打撲症。"blood type BLUE"」

「殴られたのね。拷問かしら」

「何かの儀式カモ…あ、テリィたん」


現場にはメイド2人が先に来ている。ヲタッキーズの妖精担当のエアリとロケットガールのマリレ。我が社(ヲタッキーズ)のエース達。


僕は民間軍事会社(PMC)"ヲタッキーズ"のCEOだ。


「テリィたん、大丈夫?太陽は何色?」

「今朝、元セフレとセックスしてきた。"五反田妻"のメレデ。ミクス次長検事の前に付き合ってた…」

「メレデ・メレス?」


死体検分中の万世橋(アキバポリス)のラギィ警部が顔を上げる。


「YES。アキバに越してくるらしい。そうなったら地獄だよ。"推し(ミユリさん)"もいるし、毎日が"ケーキバイキング"になっちゃうょ」

「"ケーキバイキング"?」

「たまにヤルと御機嫌だけど、毎日ヤルと胸焼け」


ジョークだったがラギィは御機嫌斜め45度。


「テリィたん、人が殺されたのよ。少しは自重して」

「死体には聞こえナイょ」←

「テリィたんには自尊心が…ナイかw」

「ところで!口の中に何か入ってナイか?」


ラギィがビニ手の指を死体の口に突っ込む。


「小さな白い布包み?」

「開けてみて」

「突然、煙が出て私、お婆さんに…」


玉手箱かょ。白い布の中からは金貨が出て来る。


「何コレ?」

「ソレは、霊界にいる元カレ・元カノを苦痛から完全に解放スルための秘儀"元カノ解怨"に使用スル金貨だ。430代前まで遡ると1代20年として8600年前、縄文時代の元カレ・元カノまでが救われる。でも、旧石器時代以前の元カノ達はアウトだから、彼女達を救うには…」

「チベット密教の秘儀とかに詳しい人?」

「いや。オカルト雑誌"ラー"の受け売りだ。動物の血を使うのも秘儀の1部。袋は精霊の捧げ物だが、そのシンボルは見たコトがナイ」


尊敬の眼差しを求めて見回すが、全員ドン引きw


「…まさか信者?」

「待て!前のシリーズで使った時にリサーチしただけだ!」

「"地下鉄戦隊サブウェイ5"?」

「YES。"第51話 謎の不統一教会"だ。"不統一教会"のモデルとなったのは、半島系の教団だが、東秋葉原の次元移民にもかなり浸透してルンだ」


半分は口から出まかせだが、ラギィが場をチェンジw


「その袋は鑑識に回して。指紋が出たらデータベースと照合ょ。テリィたん、この秘儀にはどんな意味があるの」

「…そもそも意味なんてアルの?」

「意味はアルさ!僕達には理解不能だが、ソレがわかれば犯人に近づけるかもしれない」


警部&メイド2人は首をヒネるw


「そーかしら?」

「リサーチ時の資料は残ってる?」

「"潜り酒場(スピークイージー)"だな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


そのママ"潜り酒場(スピークイージー)"へ移動。


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンクに改装したら居心地良くて、常連(僕含む)が沈殿。回転率は急降下でメイド長(推しのミユリさん)はお冠だw


「彼等は秘儀を行い、捧げ物を捧げることで、精霊の世界と交流するンだ。"裸の胸でリズミカルに揺れるお守りに誓った。どんな犠牲もいとわない、この青い地球を守るためなら"」

「ソレ何?私達は"地下鉄戦隊"の台本読み合わせのために連れて来たの?」

「台本じゃない、ト書きだ。部分的には、このト書きは事実に基づいてるし…あれ。ラギィ、どこへ?」

「捜査で忙しいの」


帰りかけたラギィの袖を引いてカウンターに座らせるw


「これも捜査だょ…なんちゃって冗談さ。実は、資料は今、お取り寄せ中ナンだ」

「ミユリ。テリィたんは、セフレと貴女でコレから毎日"ケーキバイキング"だとか言ってたわ。しっかりして。貴方のTO(トップヲタク)、かなり微妙ょ」

「まぁ!テリィ様がソンなコト」


カウンターの中でメイド姿で微笑むミユリさんに戦線を拡大スル冤罪捜査官ラギィw


「待ってくれ!その件に関しては有力な証拠を提出スル用意がアル。僕のセフレを見くびるな。ある朝、モーニングセックスに連れ出されたコトがアル。それも平壌へだ。彼女は平然としてた。彼女は完全にイカレてるょ。自由奔放過ぎる。でも、悪気は無いンだ」←

「テリィ様。では、ナゼ寝るの?」

「ミユリさんには正直に逝うけど、実はイカれた人間とのセックスは最高ナンだ。中でもメレデとの相性はベラボーに良いンだょ…あ、待って!ミユリさんはノーマルだ!ね?ミユリさん!」


カウンターの中で口に手を当てクスクス笑うミユリさん。


「軽薄ね!軽蔑だわ」

「ソレもかなりね。ミユリ姉様、目を覚まして!」

「付き合い切れないわ。時間の無駄ょ!」


警部&メイド2名が義憤?を口にしお出かけしようとスルと両手に紙袋のネグリジェ?ミニスカのチマチョゴリが登場。


「ランチBセット5つです。お待たせしました!」

「誰?韓流ランチのコスプレデリバリー?」

「諸嬢、やっと到着した。彼女が資料だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「このシンボルはペンペね。精霊の世界への案内人のシンボルょ。魂を導いてくれる」

「彼女が今回の"資料"ナンだ」

「ヤメてょテリィたん。あの悪の女幹部が全員ビキニの妙な裸の儀式の下り、もう見てらんなかった。"子供番組なのに良く放送出来たわね」


彼女は、ミッシ・エイル。職業は…"祈祷師"だw

ミニのチマチョゴリから伸びた美脚が素晴らしい。


いや、マジでネグリジェかな?


「"地下鉄戦隊"はアジアでは良質のハードSFとの評価を受けてる。ビキニは"悪の女幹部"の定番で演出が勝手に…」

「血を受ける小皿の絵柄、北にはナイわ。間違いなく南よ」

「このお守りは?」


ミッシの"資料価値"を正しく評価したラギィが現場の証拠写真を次々と見せて見解を求める。ラギィは切替えが早い。


「お守りって、聖霊に願いゴトをスル時に使うモノなの。コレは"オグン"ね。なくしたモノを探してくれる精霊ね」

「犯人は探しモノをしてるってコト?」

「YES。そして、探しモノは被害者が所持してる何か」


ラギィは腕組み。


「ソレで、先ず拷問して聞き出そうとしたのかしら…ねぇ何を探してたかわからない?」

「ソレは無理」

「OK…ねぇどうしてそんなに詳しいの?」


メイド達も彼女に興味を持ち始める。


「信じてるから。1年間、半島に留学して料理にも惚れた」

「彼女の焼肉は最高だ。日式だけど」

「テリィたんの保証は余計…でも、貴女ってオカルトを信奉するタイプには見えナイんだけど」


ラギィの問いに答えるミッシ。美脚を組み直すw


「オカルトの定義は人それぞれ。だから、オカルトを見る人の目の中にこそ真実がアル。キリスト教も仏教も、他の宗教から見れば十分に奇妙だわ…ねぇ牛の足のスープは気に入った?」

「え。」

「牛の足?」


吐き出しそうになるメイド達。ざまーみろ笑


「テリィたん!ランチはビーフって言ったょね?!」

「足だって、牛肉の1部だ」

「そんな…」


器用に骨ごとしゃぶって食べて見せる←


「と、とにかく!今回の殺人は秘儀の1部かしら?」

「いいえ。不統一教会自体は、ある種の企業組織で、暴力より経済原則で動く団体なの。全世界に何百万人もの信者=社員がいるわ」

「でも、実際に人が死んでるの」


ミッシの答えが振るってるw


「そうね。でも、殺人と信仰は無関係で考えて欲しい。つまり、犯人は信仰の力を借りて必死で何かを探してるだけ。人を殺すほど何かを探してる」


一同、唖然とスル。ラギィのスマホが鳴る。


「失礼…はい、ラギィ。え。また死体が?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


廃ビルの1室。またまた女子が赤い布の上で大の字。裸足。


「東秋葉原のダウンタウンで働く新米の弁護士です」

「今度も複数の刺傷がある。付近の住民が発見。"blood type BLUE"」

「頭の上に血染めの小皿、右手に蝋燭。配置が前回と同じなので同じ秘儀が営まれた可能性アリ」


妙に手慣れた状況報告に顔をしかめるラギィ。


「それで私達に連絡して来たワケ?私達って"オカルト捜査班"として有名になってナイ?」

「警部。今回も被害者は激しく抵抗した模様。前腕に傷がアリます」

「で、口の中の袋には同じお守りが入ってたのね?鑑識は?」


ラギィが見回すと長身の責任者が引き取る。


「蝋燭は、一般的なモノで何処でも買えます。布も普通のフランネル。器は中国製」

「血は?」

「鶏の血ですね。前回は豚でしたが」


現場に転がるブランドバックを指差すラギィ。


「このバックで激しく抵抗したみたいね」

「犯人は、未だ探しモノを続行中と思われます」

「あら、なんでワカルの?」


責任者は透明の証拠品袋に入ったコインを示す。


「また口にお守りが入ってまして」

「地下鉄戦隊の51話にソックリだ。迷惑だな」

「ヲタッキーズ。彼女、最初の被害者と知り合いカモしれないわ。関連を調べて」


エアリ&マリルは異口同音。


「ROG!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ルイナは、史上最年少で秋葉原D.A.大統領の首席補佐官に就任した車椅子の超天才。相棒のスピアはスゴ腕ハッカー。


で、スピアがラボにルイナを訪ねると…


「大至急って何?ルイナ」

「スピア!残念だけど悪い知らせょ!」

「テリィたんが撃たれたの?!」


違うw


「ソレが…亡くなったのはテリィたんじゃないの。青森のおじいちゃんょ!」

「え。あ、そう…なの?」

「さぞかし驚いたでしょうね。ショック?直ぐ青森に帰ってあげて」


車椅子のルイナは心配顔だ。

彼女が見上げるのはメレデw


「あのねルイナ。私、午後から大事なハッキングがアルの」

「私がやっとくわ」

「ご理解いただけルンですね。本人も辛い時期なモノで感謝します。さ、行きましょうスピア。時間がナイわ」


メレデに抱かれるようにラボを出る。


「私、青森とは縁もゆかりも無いンだけど!」

「知ってるわ。ラボをサボる口実ょ」

「身内の不幸は伝家の宝刀ょ?こんなコトで抜かないで」


メレデはスピアにモタレかかる。2人はストリート育ちだ。


「付き合ってよ。お買い物に行きたいの」

「お買い物なら観光客のいない平日に行こ?」

「でも、今日はUNIQROのお盆セールなのよ。ソレにインバウンドは平日とか関係ナイし」


理屈にならない理屈を並べる。


「せっかくハッキングの準備をしてきたのに」

「戻ったら私が嘘つきだとバレるわ。ソレでも良いの?」

「脅迫?とにかく、秋葉原からは出ないでw」


無邪気にバンザイするメレデ。


「やったー!」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


東アキバ法律事務所。


「彼女が殺されるナンて!」

「貴女は、亡くなったダーシ・ダーラさんと親しかったそうですね」

「事務所の同期で…お互い地方出身だったので自然と親友になりました」


エアリは現場の画像を見せる。


「彼女を見たコトは?」


1人目の死体の画像だ。


「ダーシさんの知人カモしれないわ」

「違うと思います。彼女の身に何が起きたの?」

「捜査中です」


ダーシ・ダーラの同僚は溜め息をつく。


「まさか私もこんな風に…メイドさん、いったい誰がこんなコトを?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。


「ダーシの法律事務所の親友に話を聞いて来ました。被害者には見覚えがナイと言ってます。ダーシ自身は、過去に"リアルの裂け目"関連の移民関係の案件を扱ったコトがあるそうです」

「ありがとう、エアリ。先ず1人殺され、同じ日に弁護士が同じ秘儀で殺されたワケね」

「あ、こーゆー時の弁護士ジョークを知ってる…けどヤメとこう」


かなり努力して黙る僕←


「犯人の探し物は何かしら。腐女子がスーパーヒロインに覚醒スル"覚醒剤"をカラダを使って運んでるとか?」

「被害者は、いずれもインテリで前歴ナシですが…」

「ミユリ姉様、1人目の死体の身元がわかったわ。"リアルの避け目移民帰化局"のデータベースをハッキングしたら指紋がヒットした。スピアだったら、もっと早くわかったンだけど」


捜査本部のモニターにルイナ。続いてデータが表示される。


「ジーマ・ホーン。"リアルの裂け目"経由で18ヶ月前に秋葉原入り。学生ビザでアキバ工科大学(AIT)に在学。でも、ビザは1ヶ月前に失効」

「失効後もバックれて残ってたの?ヤルわね」

「学生時代のホームステイ先の家族は、半年で"リアルの裂け目"の向こう側に帰ったと思ってたらしい」


大統領補佐官のルイナが聞き込みまでしてくれてるw


「でも、ジーマは帰ってなかった?」

「YES。テリィたん、ソレでね…ホームステイ先の息子がジーマと親しくて、今も連絡を取り合ってた。だから、ジーマのスマホ番号をゲットして、あとは通信会社のマザーをファッキング…じゃなかった、ハッキングしたらジーマの現住所が割れた。神田山本町ょ。あとはソッチでやってくれる?コレから大統領府で閣僚会議なの」

「うーん死体が見つかった場所の近くだ」←


モニターから超天才の画像が消える。


「ダーシの法律事務所も近いな」

「彼女は移民案件も扱ってたわょね。誰か、法律事務所を調べてジーマが顧客リストに載ってナイか調べて!」

「僕とミユリさんは、神田山本町に逝ってみる」


ラギィに念を推されるw


「テリィたん。もう死人は出さないで」

「ROG」

「約束ょ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


山本町の現場は中古のアパートだw


「覚悟はしてたが4階建てアパートでEVナシとはw」

「しかも、住んでいるのは屋上のペントハウスです。今、流行りの"屋上ピープル(屋ピー)"です」

「"屋ピー"って、普通はホッタテ小屋ょね?渋谷で同棲してた頃、レストランの上の部屋だったけど、朝からチキン臭くて大変だった」


果たして、屋上には洗濯物に囲まれたホッタテ小屋がアル。


「新生活を夢見て"リアルの裂け目"を渡って来たのに、こんなホッタテ小屋暮らしか」

「ソレでも何だかとても楽しそうですょ?」

「同居人は多そうだね」


小屋の外まで漏れるTVの音声。ソレに応じて大勢?が笑う声、話す声。ところがノックするやピタリと騒音が止むw


「何でしょう…あれ?メイドさんだ」


半島系が顔を覗かせる。


「ジーマ・ホーンさんはコチラ?」


微笑むメイドの鼻先でピシャリとドアを閉めようとスルが、一瞬早くカラダを滑り込ませるムーンライトセレナーダー。


音波銃を抜く。


「ヲタッキーズ!動くな(don't move)!」

「警察?」

「移民局なの?!」


次々と手を上げると半島系の女子…全員が美人w


「移民局じゃないわ。落ち着いて。手も下ろしてOK」

「じゃあ…メイドさんは誰なの?」

「ヲタッキーズょ。ジーマ・ホーンの話を聞きたいの」


しかし、美人揃いだ。コレは"喜び組"か?


「そんな人は知らないわ」

「住んでたコトはわかってるの。彼女のスマホ料金がココに請求されていたから」

「ミユリさん。赤のフランネルだ」


蚕棚みたいなベッドの下から引っ張り出す。


「あらあら」


蝋燭もゴロゴロ転がり出る。

目を見合わせる"喜び組"。


「ココは誰のベッドかしら?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。アージ・アーシをラギィ警部自ら取調べ。


「貴女のベッドにあったのと同じ赤いフランネルが2件の殺人現場にあったの」

「何も知らないわ」

「2人が死んでるの。そもそも一緒に住んでいた移民仲間が殺されたのょ?一緒に"リアルの裂け目"を渡って来た仲間でしょ?」


ジーマ・ホーンの死体画像を見せると目を背ける。


「赤いフランネルも蝋燭も同じ。彼女の時もよ。なぜ殺したのアージ・アーシ」

「知らない女性だわ。私は知らない」

「それなら、どーして赤いフランネルと蝋燭を持ってたの?」


首を横に振るアージ。


「私のじゃナイ。預かってただけ」

「誰から預かってたの?ねぇ"リアルの裂け目"の向こう側へ強制送還するコトも出来るのょ?」


大抵は、このセリフでカタがつくが、今回は…


「奴にも出来るわ」

「誰?ジーマ・ホーンは友達ょね。彼女を殺した人間が、このアキバで野放しになってる。怖くナイの?次は貴女カモしれないわょ?」

「…名前はチルズ・オーニ」


観念して名前を吐く。


「オーニ?」

「"リアルの裂け目"を渡った次元難民なら、誰もが知ってるわ。"屋ピー"連中の家も仕事も、みんなオーニが仕切ってる」

「次元難民の蛇頭かょ。ジーマの仕事もオーニが?」


密入"秋"を斡旋するブローカーの元締らしい。


「ジーマは、新幹線ガード下の"リトル広東(キャントン)"の店でアルバイトしてた。お金を貯めて、学生ビザを再申請スルんだと言っていたわ」

「ソレをオーニが反対したの?」

「違う。昨日、ジーマが何かを盗んだとオーニが探しに来たの。だから、私、ジーマは泥棒ナンかスル子じゃないと言ったのょ。でも、私のパパが司祭だったから、精霊の呼び出し方を教えろ、とオーニにスゴまれて…」


"不統一教会"の秘儀を知る者は何処でも人気者だw


「で、オーニの探し物は何だったの?」

「知らないわ。聞いてない」

「どうして聞かないの?」


アージは、ラギィを直視して話す。


「怖かった。私まで殺される。今、私が話してるのは、ジーマのため。だって、ジーマのあの死に方はヒドい。オーニは絶対に間違ってるわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「チルズ・オーニと言う名前に"リトル広東"での営業許可は出てナイ。住所登録してるアパートの所有名義はロバト・バネトになってた。スマホ番号は不詳、住所は私書箱」←


ラギィの報告中にエアリ&マリレも帰って来る。


「お疲れ(サマー)。ダーシの法律事務所は誰もジーマのコトを知らなかったわ。顧客に怪しい偽名も不審者もゼロ」

「素敵!被害者2人の関係はワカラズじまいか…」

「嫌よっ!早く通しなさい!貴方の給料は私の税金から出てるのよ!」


閉塞感が漂う本部にウルトラ場違いな聞き覚えのアル声←


「ま、まさか!」

「アレが"ケーキバイキング"なの?」

「ラッツ、来ちゃったわ」


メレデ・メレス降臨!


胸の谷間強調の真っ赤なドレス、首には金のチェーンぐるぐる巻き、ナゼか金髪になってるスピアを従え堂々の登場だw


「やぁメレデ。驚いたな」

「でしょう?こんな風に来れるナンて、やっぱり秋葉原ってカジュアルで大好き」

「もう全く同感ですわ」


満面の笑みを浮かべ堂々迎え撃つミユリさんw

ムーンライトセレナーダーから変身解いてる←


「ぁらぁ!貴女が例のSFスーツのモデルね?スピアに全部聞いたわ。ツルペタってコトも…お目にかかりたいと思ってたのょ。昔は私がモデルだった。巨乳でカラダの線もピッタシの私が」

「そうですか」

「今でもょ時々。ね?ネズミ(ラッツ)ちゃん」

「ネズミちゃん?」


その場の僕以外の全員が一斉に吹き出すw


「あぁ!人前で突然素っ裸になる夢を見た時みたいに恥ずかしいな」

「この後夕食だからスピアをお願いね…あれってMBBのバッグ?」

「MBB?」


殺伐とした捜査本部に場違いな風?台風?が猛威をふるう。


ミリィ(M)ボビィ(B)ブラウン(B)。ミラノのファッションショーで、コレと同じモノを見たわ。彼女もコレを持ってた。先週の"ファッションスクープ"、見てないの?」

「見てません!ソレ、殺人現場に残されてた被害者の遺留品だから」

「マジ?嫌だわ!かわいそうに…最後までマガイモノを掴まされて」


ソッチかょwでも、マガイモノ?


「え。メレデ、コレは偽物(フェイク)なのか?」

「当たり前でしょ。このレザーとステッチを見てょ。鈍感なネズミちゃんは気がつかないかもしれないけど、私の審美眼はごまかせないわ」

「待てょ!新幹線ガード下の"リトル広東"は、コピー商品の天国だ。モチロン、ブランドバックも売ってる」


全員が色めき立つw


「ダウンタウンにあるダーシの事務所も近いわ」

「きっとダーシはジーマから"MBBバック"を買ったのね」

「やっと2人がつながったわ!」


ラギィ警部から次々指令が飛ぶ!


「アージと一緒にオーニの似顔絵を作って」

「了解」

「誰か!"リトル広東"に行ける?」


自分の一言で捜査本部が動き出したのでメレデは御機嫌だ。


「やっぱり私がいないとダメね。コレから引っ越して来たら楽しいコトばかりが起こるわょ!」


力なく笑う僕←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ソックリょ!まさにオーニだわ。本人を見て描いたの?」


似顔絵を見たアージが感嘆の声を上げる。


「警部!チルズ・オーニの似顔絵が完成しました。全捜査員に画像配信します」

「"リトル広東"にオーニの知り合いがいるハズょ。彼女の情報を集めて。全捜査員を投入ょ。ヲタッキーズも…あら?テリィたんは?

「帰ったわ。"ケーキバイキング"カモ」


不機嫌に答えるムーンライトセレナーダー←


「ミユリ…そのうち巨乳にも飽きるわょ。きっと」


慰めになってナイw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。当の僕はルイナのラボにいる。


「今日、スピアがメレデに誘拐されたの」

「知ってる。身代金がエラい高くついたょ」

「お陰で久しぶりにハッキングしちゃった。楽しー」


車椅子のゴスロリ美少女は屈託ナイ。


「で、テリィたん。わかってるの?メレデが秋葉原に引っ越してきたら安心して暮らせないわょ」

「ルイナが?」

「貴方も」


子供を叱るみたいな恐い顔のルイナ。萌え。


「でもさ。まさかアキバから締め出せないだろ?」

「東秋葉原のブロードウェイに出るなんて!盛りの過ぎたAV女優には無理ょ…えぇそうょ。調べたわ。五反田じゃ警察もノーマークの無名風俗嬢だって」

「でも、万世橋警察(アキバポリス)じゃ超有名人だ」


ルイナはもっと恐い顔したが、ますます萌え萌えだょw


「あの子には呆れる。ちょい役でAVに出た位のキャリアでキカタンでもナイのに、演技に全人生をかけているモノホンのミュージカル女優に勝てるとでも思ってるのかしら。天性の演技力が舞台では必要なの。舞台は選ぶモノじゃない。選ばれるモノなの。テリィたん、そもそもナンであんな子とセックスしたの?」

「多分、君に似てたから」


絶句する超天才←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田リバーと新幹線ガードが直交する界隈のアキバ岸側は、"リトル広東"と呼ばれるコピーグッズの世界的集積地だ。


「ヒドいモンね」

「なぜコピー業者が集まったの?」

「元はアイドルグッズのコピー商売メインだったらしいんだけど…全員逮捕しちゃえば良いのょ。見て!GGがCCになってる」

「コッチのシンセはヤマハがヤマダだわ。1字違いw」


半ば呆れ、半ば感心してるエアリ&マリレ。


「模様がちょっと違えば、もう模造品とは呼べない。コレは立派なオマージュってワケ」

「敬意の表れってコト?」

「やぁエアリ。君達も偽ブランドの買い物かい?」


ラギィとミユリさん連れで合流スル僕。


「テリィたん、令状は?」


ラギィが内ポケットに差した令状を見せる。


「さぁ行きましょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


狭いコリドーの奥のシャッターが閉まった店舗。

ラギィが錠前を鎖ごとボルトクリッパーで切断。


シャッターが開き始め、全員が一斉に音波銃を構える。


「ヒドいな。誰かに荒らされた後だw」

「見て。同じ"MBBバッグ"ょ」

「変ね。全部裏地が切られてるわ」


シャッターの中は雑貨店だったが、台風が通り抜けた後のように荒れ果ててる。あらゆる雑貨が床に散乱。収拾つかズw


「テリィたん!ヤバいモノ踏んじゃった!


フロアを指差すマリレ。円と方形を合わせた奇妙な図形だw


「何かのシンボル?被害者の口に入っていたお守りとは、また違うシンボルだわ」

「コレ、見たコトがアルな。確か"死の魔法陣"だ」

「なぜオーニは自分の店に死の魔法陣を?」


「違うょ。コレは店を荒らした誰かの仕業さ。この店のオーナーであるオーニへの宣戦布告だ。彼は、誰かに命を狙われている」


第3章 死の魔法陣


現場で即席の捜査会議。


「バックの裏地が切られているわ。これは全部輸入品ょね?」


ラギィ警部の言葉にうなずくヲタッキーズ。


「模造品は良く他の品の運搬に使われるわ」

「例えば?」

「ソレはオーニに聞きましょう。先ずオーニを捕まえないと」


ムーンライトセレナーダーがラギィを見る。


「未だ生きていれば逃げるハズょね」

「OK。神田リバー水上空港の出国審査に似顔絵を配布スル。高飛びを防がなきゃ。あと飛行艇の搭乗者リストもチェックするよう伝えるわ」

「あら?テリィ様は?」


その時、僕は雑貨店の向かいにある中古のVHSカメラとかを売ってる、爆買い専門の"レトロ電器店"の店頭にいる。


「テリィ様?」

「僕がTVに映ってる。笑うと爽やかな顔立ちになるな」

「ホレボレします」


既に彼女は理解している。


「今、僕が画面に写ってるってコトは、もし録画モードなら犯人の店の出入りも写ってるってコトだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


電器店主は、僕達を客と勘違いスルw


「ヲタクは、みんなTVに映りたがるモノさ。カメラの前に出ると、みんなパーフォーマーだ」

「なるほど」

「この前なんか店頭のカメラに向かって腐女子が服を…」


ココでミユリさんがバッジを見せる。


「ココ数日間に撮った映像を見せて」

「"彼女は低血糖だからすぐカッとなるんだ"」

「黙って。ネズミちゃん」


得意なラテン語で脅してみたら、ミユリさんに睨まれる。


「でも、悪いけど画像は見せられないンだ」

「あら。捜査令状が欲しい?」

「そうじゃない。売ったんだ」


あっけらかんと語る店主。


「店頭に飾ってあるカメラを?」

「ソレを買いたいと言う男が現れてね。俺も言ったんだ。新品もアルって。でも、どーしても店頭品が良いと断られた。大柄の半島系女子でアクセントがあったな」


出来立ての似顔絵を見せる。


「この人?」

「ん?ソレは向かいの店主だ」

「知り合い?」


全くペースを崩さない店主。


「挨拶ぐらいはするさ。昨日の客にはなんていうか、妙に威圧感があった。体格のせいじゃない。多分、何処かで人を殺したコトがあるようなスゴみがあった。因みに支払いは現金だった。値切りもせずに定価で買って行ったょ」

「似顔絵作りに協力できますか?」

「モチロンさ。ただ、メイドさん、画像の方が良いだろう?」


この店主はなかなかキレ者だ。


「だって画像ごとカメラを売ったんでしょ?」

「メイドさん、ココはレトロ家電店だょ。ビデオカメラならVHSもβもそこら中に仕掛けてるさ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

万世橋(アキバポリス)の捜査本部。モニターに屈強な女のUP。


「いかにも死の魔法陣を描きそうなタイプだ」

「なぜビデオカメラを買ったの?」

「自分探しかしら」


ラギィのスマホが鳴る。


「ラギィ。あ、マジ?モチロンょ。連行して」


スマホを切る。


「神田リバー水上空港でオーニを拘束したわ」

「やったー」

「行き先は?」Castle

「"リアルの裂け目"が開く可能性が指摘されてる南極。飛行艇の搭乗リストの名前はロバト・バネト」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「私は実家に帰るだけょ」

「なぜ片道切符(ワンウェイ)なの?」

「祖父が死んだの。葬式がアルから予定が立たない」


祖父が死んだはウソつきの常套句。


「祖父のお葬式。ジーマには出るコトが出来ない」

「この2件の殺人について説明して」

「因みにアージは、全て法廷で証言スルと逝っている。信仰を殺人の道具にされ、彼女は腹を立てているんだ」


2人の被害者の死体画像を見せる。


「私は殺してない」

「とても信じがたいわ」

「バックに何を隠してたの?貴女は何を密輸してるの?」

「弁護士を呼んで」


続いてラギィが脅す。


「弁護士を呼べば1時間で釈放出来るけど、秋葉原からは出れなくなるわ。ソレで良いの?良く考えて。貴女、大勢の移民や違法難民を恐怖で脅かして来たわね。みんな貴方を恐れている。その貴方が恐れてる、この女は誰?」


レトロ家電店でゲットした画像を見せる。オーニは溜め息。


「知らない女だわ」

「でも、彼女は知ってるみたい。何しろ貴女に死の魔法陣を描いたンだから。貴女の命を狙ってる。貴女の店で働いてた店員のジーマは死んだ。同じ店でバックを買ったダーシも死んだ。なぜ?」

「…保護がなければしゃべらない」


半落ちだ。さらに畳み掛けるラギィ。


「先に喋って。今のママじゃ何から保護すれば良いのかわからない」

「…奴の名はムクタ・ベイラ。とても恐ろしく、凶暴なスーパーヒロインょ。少女兵時代は、別名"鴨緑江の電気ウナギ"と呼ばれてた…彼女は、薬でも女でも金になるモノは何でも運ぶ。2人を殺したのも奴ょ」

「2人を殺す理由は?」


悪夢を振り払うかのように首を横に振るオーニ。


「話せば私を保護してくれるの?」


第4章 光の銃撃戦


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「オーニは闇業者だった。"リアルの裂け目"を渡って来る違法難民のために関係書類やビザを偽造しては、難民を違法労働につかせ搾取してた」

「マルチバースから"リアルの裂け目"経由で押しかける違法難民が秋葉原に滞在スルための書類やビザを偽造か…蛇頭商売には欠かせない存在だね」

「恐らく大蛇頭と目されるムクタ・ベイラの次元密輸関係の書類も作成したと思われるわ」


僕がもう一捻り。


「きっとソレを"MBBバック"に隠してたンだ」

「雑貨屋は、店中ガラクタばかりで何を隠すにしてもモッテコイですから。ところが…ははぁそーゆーコトねw」

「何だょミユリさん?」


うっかりムーンライトセレナーダーを変身前の名前で呼んでしまう。まだまだTO(トップヲタク)の修行が足りナイ僕w


「世界中でフォロワー3億人の"ファッションスクープ"に"MBBバック"の写真が載って、突然"MBBバック"が大ブームになり、コピー商品まで含めて大人気?」

「そして、恐らくベイラに殺されたジーマは、中に偽造書類が仕込まれてるとは知らずに、奥に1つ残っていた"MBBバック"を売ってしまった!」

「待てょ。書類なら作り直せば済む話だょね?」


冷静に疑問を挟む僕。1歩間違えれば冤罪だw


「うーんベイラには、時間がなかったのでは」

「実は、次元総領事館の話では、ベイラの兄は"リアルの裂け目"の向こう側にアル"アース19752"のナイシェリラで逮捕が近いとの噂です。逮捕される前に"リアルの裂け目"を渡らせ逃したかったのカモ」

「警部!"ムクタ・ベイラ"の隠れ家が判明!神田花籠町!」


刑事が駆け込んで来る。全員が一斉に立ち上がる!


「もう殺しはゴメンょ。コレ以上死体を出すな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田花籠町の裏路地。装甲バンの後部ドアが開き、完全武装のSWATが降り立つ。ヲタッキーズが続々"舞い降りる"。


「ちょっと待って。テリィたん、コレ何の袋?」

「おっと。ソレは僕のだ。危険な任務だから、万一の事態に備えようと思ってね。特注で作ってもらったんだ。見て」

「まぁ!」


サイコ対応のヘッドギアだが白文字で大きく"SF作家"←


「SF作家?」

「カッコ良いだろ」

「カッコ良くアリません。テリィ様は、対スーパーヒロイン戦用のヘルメットは要らないわ。私が守るモノ」


呆れるラギィ。ムキになるムーンライトセレナーダー。


「でも、ミユリさん、じゃなかった、ムーンライトセレナーダー。綾波ゴッコはウレしいけど、もしサイコパスに思考を読まれて電撃で狙撃されたら?ベイラも電撃系スーパーヒロインだろ?黒焦げだ」

「でも、テリィ様がスーパーヒロインと闘うワケには逝かナイわ。私が相手します」


ソレを聞いて、僕の特注ヘッドギアを覆面パトカーの後部座席にポーンと放り投げるラギィ警部。僕を指差しダメ推しw


「テリィたんは、撃ち合いの現場には来ないで。ココで待機ょ」

「またかょ。でも…」

「絶対にココを動かないで」


そう告げラギィは防弾チョッキの前を締めつつ、ツカツカとSWATの前に歩いて逝き、全員にベイラの顔写真を見せる。


「コレが容疑者よ。OK?では行きましょう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田リバーに近い廃ビルの闇の中を進むヲタッキーズと完全武装のSWAT。先頭はムーンライトセレナーダーとラギィ。


その後から物陰に隠れながら進む僕。その時…


「スピア!スピア!スピア!」


有名な"スター戦争ズ"の"1ダース・ベイダー"の登場着メロをバックに、僕のスマホが金切り声を上げる←

前方を進んでた全員の音波銃、短機関銃、バズーカ、擲弾筒、"雷キネシス"のポーズなどが一斉に振り返るw


"911 Call Home ASAP"


超天才ルイナの相棒スピアが大ピンチ?


「ちょっち電話してくる。ゴメン」


すると、音波銃、短機関銃、バズーカ、擲弾筒、"雷キネシス"のポーズなどが一斉に"外に出ろ!"と左右に揺れる。


「スピア、どーした?」

「ねぇラッツ。聞いてょスゴいの!」

「メレデ?!」


廃ビルの外に出て真夏の太陽にクラクラしながらスマホをとれば、大ピンチのヲタ友どころか、絶好調の元セフレかょw


「ラッツ!最高の物件なの。広くて、明るくて…しかも、たった1億6000万円なの!」

「億ション?あのさ、緊急事態ってメールが…スピアは?」

「知らないわ。でも、そうでもしなきゃラッツ、かけ直して来ないでしょ?」


こーゆートコロは、彼女には勝てナイ。争うだけムダだ。


「今"潜り酒場(スピークイージー)"か?」

「近くまで来たからトイレに行こうと思って開けてもらったの。で、不動産屋さんと話したけど、保証人が必要なの。頼めるわね?」

「僕達はとっくに別れたんだ。無理だょ」


さすがの僕も呆れるw


「ラッツのヲタ友のためょ!スピアが来た時、狭いベッドで寝かせたいの?」

「何でスピアが億ションで寝るンだょ。とにかく今、異次元の麻薬王を逮捕スル作戦の真っ最中なんだ。かけ直しても良いかな?」

「わかったわ…ねぇラッツ。ありがとう」


出たょメレデの得意技←


「何が?」

「私、自分がワガママな嫌な女だってわかってる。ラッツには迷惑ばかりかけてる。でも、もう大丈夫だから」

「あれ?おい、待て!」


何と目の前を電動キックボードで走り去るのは…ベイラ?


「おーい、待て!待ってくれぇ」

「ちょっとラッツ、聞いてるの?」

「コレはマズったな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「テリィたんっ(様っ)!」


数分後、僕はアキバ最強のスーパーヒロイン集団と完全武装の万世橋(アキバポリス)SWAT1コ小隊に完全包囲されホールドアップだw


「ナンバーも見てなかったの?」

「キックボードの色は?」

「大きな奴だ」←


自分でもダメだなと思うが、頭が混乱してるw


「黒、いや、紺かな。ごめん。はっきりとは見ていない。わからないンだ。うーん目撃者ってスゴく大変だな。ちょっち邪魔も入ったしね。普段は観察が趣味なのに」

「どーせセフレとスマホしてたからでしょ」

「元セフレだょ」


全員が呆れるw


「おい!全部僕のせいか?」

「そのシャツの色は黒?紺?まぶしくて見えない?」

「まだスマホ中?」


ラギィは"SF作家"と描かれたヘッドギアを僕に被せる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


全てが青色で統一された部屋だ。壁には怪しげな文様。


「間違いなくベイラのアジトね」

「確かに」

「ラギィ警部。例の赤いフランネルです」


早速、駆けつけた鑑識が赤い布の束を見つける。

制服組が血?の入ったフラスコをクルクル回す。


「ベイラはミロライアンヨガに夢中みたいね」

「蛇頭も健康を気にするんだな」

「おい、みんな見てくれ!例のレトロ電器店のビデオカメラを見つけたぞ!」


ベッドの下で僕が発見。もしやコレは大収穫では?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


早速カメラを本部に持ち帰り、全員で再生画像を見る。


「あ、ジーマってホントに雑貨店員だったのね」

「待って。少し巻き戻して」

「ダーシだわ。確かに"MBBバック"を買ってる」


今度は流行りの倍速画像。


「あらら?他にもジーマから"MBBバック"を買った子がいるわ。甲子園帰りのJKチアガール?」


肩にヨガマットを背負ったチアガールが"MBB"を購入。

神奈川県勢の応援を終え、神田リバーに降りたばかりか?


「だから、ベイラは向かいにある"レトロOFF秋葉原店"のビデオカメラを買ったのね。偽造パスポート入りの"MBBバック"の購入者を探すために」

「でも、この秋葉原でこの画像だけじゃ見つけられないわ」

「しかし、ベイラはダーシを見つけた…JKチアガール画像の手をクローズアップして」


やや?彼女はコーヒー片手に偽ブランド品を物色中だ。


「"スターボックス珈琲(スタボ) "のカップだわ」

「だから?」

「スタボの店の近くのヨガスタジオを当たりましょう」


僕はスマホを取り出す。


「姉様、ソレって結構な数ょ?」

「この前、スマホの料金プランを変えておいてよかった」

「エアリ&マリレは"MBBバック"の他の購入者を当たってみて」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のギャレーで僕とミユリさん。


「検索結果に拠れば"リトル広東"界隈にあるスタボは全部で4店舗ある」

「ヨガスタジオは如何です?」

「カメラの時刻は確か3時22分だったょね」


ミユリさんとは波長が合う。

波長さえ合えば推理も進む。


「つまり探すべきは3時頃にレッスンが終わる教室だ」

「レッスン前だった可能性はありませんか?」

「カフェインを摂取スルと呼吸が乱れて、あんなセックス、じゃなかった、ポーズはとれないさ。でも、3時に終わればコーヒーを買って"リトル広東"なら、飲み終えるには未だ早くて…ビンゴ!このヨガスタジオだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"リトル広東"にあるヨガスタジオ。


「ヲタッキーズです。彼女をご存知?」

「あら、今度はメイドさん?しかも、またまたダイナのコトなのね」

「と逝いますと?」


スタジオの受付はオフのヨガ講師で真っ赤なレオタード。


「さっきも万世橋警察が探してたから」

「ココに来たンですか?」

「えぇ。つい数分前ょ」


僕とミユリさんは顔を見合わせる。


「ベイラだわ。大至急ダイナさんの住所を教えてください!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ダイナ・エドワ!ヲタッキーズょ!ドアを開けて!」

「蹴り破ろうか?海外ドラマみたいに」

「ダメですょネズミちゃん…ヲタッキーズ!」


ようやく中から声がスル。


「聞こえてるわ。大声を出さないで!」

「ヲタッキーズのムーンライトセレナーダーょ。誰か訪ねて来なかった?中に入れて!」

「何か?」


チアガールが薄く開けたドアをコジ開け突入w


「2日前"MBBバック"を買ったわね?」

「何なの?コピー商品の一斉手入れ?」

「バックはどこ?」

「アソコょ」


キッチンを指差す。


「何するの!ちょっと…何でそんなコトをスルの?」


裏地を破ると…パスポートw


「どういうコト?私、逮捕されるの?」

「No。でも、次はモノホンを買え」

「ラギィ?応援をお願い」


スマホするムーンライトセレナーダー。ふと僕が振り向くと目の前にチマチョゴリを着た韓流ヒロインが電撃ポーズw


「危ない!」


無防備に見えたムーンライトセレナーダーをキッチンシンクの影に突き飛ばす。次の瞬間、赤い電撃が目の前を通過w

さらに、ベイラは赤い光弾を次々と撃つ。ムーンライトセレナーダーも"雷キネシス"を撃ち返し、光弾が飛び交う!


「パスポートを渡して!」

「ソッチこそ、今すぐ変身を解きなさい!」

「パスポートを寄越して!」


もはやベイラは絶叫←


「ベイラ!もうすぐ武装警官隊が大勢推し掛けて来るわ!貴女はもう逃げらるない!終わりょ!諦めて武器を捨てなさいっ!」

「パスポートを渡せば私は出て行くわっ!」

「ミユリさん、絶対奴に従うな。ブツを渡しても奴は出て逝かズに僕達を殺す。SFに限らズ小説ではお約束だ」


掌だけ出して"雷キネシス"を打ち返すミユリさん。


「テリィ様は動かないで。でも、手が出せないわ」

「ソレは、向こうも同じさ」

「見えないわ。ベイラは何処ですか?」


ちょっと顔を覗かせると、直ぐ光弾が飛んで来るw


「あと2発ぐらいしか撃てません。絶対に命中させなきゃ…テリィ様、こんな時までスマホですか?」

「ガムをくれ」

「ガム?」


PL(プライベートライアン)なんだけど!物陰からスマホを突き出したら、またまた光弾が飛んで来るw


「私はホンキょ!」


必死?に撮影した画像を見せる。柱の陰にベイラ。


「ここからでは狙えません」

「アンタら2人ともブッ殺す!」

「コッチが撃てば、きっとアッチも出て来る。僕がオトリになるからミユリさんが撃て」


すると、ミユリさんは目を丸くして驚愕の表情w


「どうやってベイラの気を引くのですか?」

「コレさ」

「シャンパン?」


ワインセラーから(シャンパンの)瓶を抜く。


「ダメです。テリィ様が撃たれてしまう」

「だから、先に仕留めてくれ。僕は"推し"の腕を信じる。コレでもミユリさんのTO(トップヲタク)だからな」

「そんな!」


ミユリさんの瞳に向かって話しかける。


「アイドルがヲタクを選ぶんじゃナイ。ヲタクがアイドルを選ぶんだ」

「もう待てないわょ!」

「今だ!」


次の瞬間、起きた出来事を時系列で整理←


柱に向けシャンパンの栓を抜く僕。僕を狙い柱から乗り出すベイラ。彼女を狙って"雷キネシス"を撃つミユリさん…


じゃなかった、ムーンライトセレナーダーw


結果は…ベイラのみ"真っ黒焦げ"。


「こりゃ乾杯だ!」


シャンパン(ノンアルでしたw)をラッパ飲みスル僕。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


駆けつけた神田消防(アキバファイア)の救急車にストレッチャーが運び込まれる。変身を解いたミユリさんが後に続く。

僕はと逝えば(実はノンアルコールだったw)シャンパンを気に入って、ワイングラスに注ぎ飲んでるw


「ベイダの命は助かります。テリィ様は大丈夫ですか?」

「初めての銃撃戦を経験して興奮してる」

「コレが最初で最後にして!」


腕組みして壁にもたれる僕をラギィが指差す。


「でも、僕だって役に立ったろ?もしかして命の恩人?」


メイド服のミユリさんの方を向く。


「御主人様がメイドの命を救ったんだ。コレがどーゆーコトかワカルか?コレは、御主人様はメイドに"貸し"が出来たと逝うコトだ」

「まぁ大変。こーゆー時、メイドはどう振る舞えば良いのでしょうか?」

「御主人様に従うんだ。そして、御主人様が求めるモノ全てを与えるのだ。拒むコトは出来ない。僕が今、何を求めてるかわかってるだろ?」


シャンパン片手にメイド長に近づく。


「え、テリィ様。今、ココでですか?も一度変身した方が良いですか?好きでしょ?セパレートのメイド服(を脱がせるのw)」

「違う!でも、ミユリさんは、よーくわかってるハズさ。僕が溜まらなくやって欲しいコト。心から求めてるコトをさ」

「ROG。おウチに帰りましょ!早く!」


ソレじゃ無いんだょ。僕は耳元で囁く。


「絶対に、僕を、呼ぶな…ネズミちゃんと」

「えっ?」

「アレは砂漠の英雄達の称号だから」


微笑みつつも、ソッと唇を噛むミユリさん。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


黄昏のアキバ。駅前の摩天楼群が夕焼けに染まる。

僕は、ソレを横目に"潜り酒場(スピークイージー)"でSFを執筆中w


「テリィたん」

「スピア?何だょ」

「例えばの話。大好きだけど一緒にいられないヲタ友っている?」


カウンターの隣のスツールに座るスピア。


「メレデのコトか?」

「大好きなの!ホントにょ」

「そりゃそーだ。"チョベリバ"以来の親友だモンな」


"チョベリバ"は東秋葉原にあるスクールキャバの老舗だ。

ソコで、スピアとメレデはキャバ嬢をやってたコトがアル←


そして、僕は常連(委員長)w


「でもね。私、おかしくなりそう」

「ソレがヲタ友ってモンさ」

「もし、メレデが秋葉原に引っ越して来たら…」


最後まで逝えない。全てを遮る能天気な声w


「ラッツ!スピア!」

「げ。メレデだw」

「ねぇ誰かいないの?」


メレデ・メレス、"潜り酒場(スピークイージー)"に御帰宅w


「ねぇスゴいコトが起きたのょ!さっきエージェントから連絡があって、インディーズ映画だけど大きな役をもらえたの!」

「そりゃスゴいな!」

「メレデ、良かったじゃない!」


賛辞が嵐のように吹き荒れる←


「でしょ?でもね、残念なコトに私の秋葉原への引っ越しは延期になりそうだわ」

「悲しくて胸が張り裂けそうだわ」

「気にしないで!だって大きなチャンスなんでしょ?」


ミユリさんの塩反応を慌てて打ち消すスピアw


「そうなの、大チャンスなのょ。AVに出られるのは巨乳が垂れるまでだから。あ、ツルペタには関係ナイか」

「い、い、い、いつ池袋に戻るの?」

「明日の夜。出発前に朗報を知らせに来ただけ。もっと色んなコトを一緒にしたかったわ」


ハグするメレデとスピア。


「また帰って来るわ」

「お買い物に連れてってくれてありがと」←

「また行きましょう。いつでも言って」


カウンターの中のミユリさんにも挨拶。


「さよなら、ツルペタ」


ミユリさんとカウンター越しのハグ。そして、僕だ。


「じゃあね、ラッツ」

「君と別れるのはいつも辛いょメレデ」

「当然でしょ?履き慣れた靴は足にピッタリだモノ。次回はトップ10入りょ」


キスをする。


「そうだね」


ドアを開けて送り出す。ドアをピッタリ閉めて溜め息←


「テリィ様」

「な、何でしょう?ツルペタ連呼が気に障った?」

「ソレは事実だし…でも、コレは何ですか?何をなさったの?」


やれやれ。バレバレか。


「何もしてナイさ。僕の投資顧問(ファンドマネージャー)から儲かる情報が入ったんだ。あるインディーズ映画への投資話についてね。シングルマザー系のAVだけど」

「さすが私のTO(トップヲタク)

「彼女にはピッタリの役だと思うンだ…スピア、どう?まさか寂しい?」

「トンデモナイわ。私は元カレ(テリィたん)の面倒みるだけで充分。とても昔のキャバ仲間まで面倒見切れナイし」


ミユリさん公認でスピア(元カノ会会長)をハグ。トランジスタグラマーの彼女の髪の上に顎をのっけたら、ラベンダー(シャンプー)の香りがスル。


「ねぇ。あの、テリィたん。そのインディーズ系のAVの話だけど…私の役はなかった?…あ。そう、ナイのね?私、ミユリ姉様より胸は大きいと思うのだけど」



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"蛇頭"をテーマに、主人公の元セフレ、祈祷師、コピー商品市場"リトル広東"の雑貨店販売員、東秋葉原の新米弁護士、マルチバースから秋葉原に不法滞在する異次元難民、難民を搾取する蛇頭、蛇頭を仕切る大蛇頭、甲子園帰りのJKチアガール、連続殺人鬼を追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。


さらに、主人公と元セフレとの関係などもサイドストーリー的に描いてみた他、エッチなジョークなども新基軸的に散りばめてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、円安でインバウンドが溢れかえる秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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