98
フラグには勝てなかったよ・・・
「神は言っている。此処で死ぬ運命ではないとー。」
「・・・・・・・・・」
よく分からないが、俺はまた敗北したらしい。
一体何があったというのだ。思い出せ…俺は…
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魔王城 玉座の間
「ああ、ここまで来たぞ! そしてお前で最後だ! 魔王!」
そう意気込む勇者を前に俺はなるほど、1人納得していた。
(体も精神も問題無い。だが、ナニカが減った。 それは分かる。このナニカが残機なのか?)
暫し思考を巡らせていると、何も言わない俺に疑問を抱いたのか、勇者が疑問の声を上げる。
「どうした!? 何か言ったらどうなんだ!」
そうだ。俺が納得しても、やつは分からない。
優越感にも似た何かを味わいながら、答えを返す。
「いや、何。 もう一度お前と戦えると思うと、心が踊るのだよ。」
「何を訳の分からない事を!」
やつは知らない。だが、俺は知っている。 この後、最高の戦いになると。
「言葉は不要だ。 さっさと始めよう。」
そう言って手に持つ剣に力を込める。
対峙する勇者達も一斉に戦闘態勢に入る。やはり勇者は自身の持つ最強の技の構えだ。
「いいぞ! やはりお前はその技で始めるのだな! 我等の戦いの幕開けに相応しい! ならば此方も再び全力の一撃をぶつけるまで!」
勇者の剣が白く光り輝き、俺の剣が暗い輝きを放つ。 さぁ!至福の時間の始まりだ!!
「シャイニング・レイ!!」
「ラスト・アポカリプス!!」
2つの技が再度ぶつかり合い、そして・・・
─────────────────────
「いや、あのさぁ。 1度目と全く同じ展開なんだけど。」
そう言ってくる闇神に俺は返事が出来なかった。
(何故だ? またしても途中から記憶が無い。 流石にそれはおかしくないか?)
最初はダメージが大きくて、記憶に影響が出たのだと思った。しかし、俺の記憶はまたしても最初の激突の所までだ。 これでは・・・まるで・・・・
「おーい、聞いてる? また聞いてないパターン?」
「あ、すみません。 ちょっともう一回行って来てもいいですか?」
「別にいいけど・・・ どうした? 何か口調変わってない?」
闇神はきょとんとした顔で変な物を見るように返事をした。
・・・・・とりあえず復活だ。
もしこの予想が当たっていれば、とても、とてもまずい事になる。どうかこの予想が間違っていますように願いながら俺は再び復活していった。
残機98→97
「あ、しまった。 速攻すぎて次のセリフ言いそびれた!」
魔王城 玉座の間
「ああ、ここまで来たぞ! そしてお前で最後だ! 魔王!」
そう意気込む勇者に俺は───
「会話は要らん。 さっさと始めよう。」
───そう告げて技の構えに入る。
勇者もその様子を見て、訝しみながらも自身の最大技の構えを取る。
(絶対に見逃してはならない・・・・)
そう集中しながら3度技が、剣が交差し──
(馬鹿な・・・)
───何の抵抗もなく俺の剣が切り裂かれ、そのまま光が俺の体を吹き飛ばしていくのを目撃してしまった。
「あー、理解したかい?」
そう聞いてくる闇神に俺は震えながら尋ねる。
「まさか、今までの戦い。全て一撃で・・・?」
闇神は気まずげに───
「ホントに気付いてなかったんだね・・・。」
───俺が認めたくなかった事実を言った。
俺はのたうち回った。
悔しいでしょうねぇ