Episode 3 男装女子の蘭夜さん
入学式から1ヶ月程過ぎて、
GWは、何もしないまま、あっという間に過ぎていった。
私の大学内のお友達は、未だ葵ちゃん1人。そしておそらくは、葵ちゃんも似たようなものなのだと思う。
葵ちゃんは、GWが終わるとすっかり5月病のようになっていた。
何かに燃え尽きたかのようにうなだれて肩を落とす葵ちゃんと、私は、今日も休憩時間を一緒に過ごしている。
◇
「響ぃ、ダルいよお~、午後の講義さぼろうよ~」
葵ちゃんが私の肩にもたれ掛かるような体勢でダメな感じのセリフを言ってくる。
「ダメだよ、葵ちゃん。ちゃんと一緒に講義受けるよ!」
私は、ダメな感じの葵ちゃんをお母さんのようになだめながら歩いていた。
少し歩いていると、なにやら人集りが出来ているのを見つけた。
女の子ばかりみたいだけど……
「響ぃ、なにかな? あれ」
「うーん、なんだろう? 見てみる?」
私達は、人集りの中心を確かめる為に中へと潜り込んでいった。
「「キャー、蘭夜くーん!」」
蘭夜? なんかコスプレイヤーみたいな名前だなあ。
そんな事を考えながら中心近くまでたどり着くと……
そこには、チャラいホスト系の人がいた。
ヅカ……?
とても細い身体のライン
黒い細身のパンツ
物凄くかかとの高い……多分ブーツ
第二ボタンくらいまで外した黒シャツに細いネクタイ(下のほうに十字架の絵みたいのが書いてある)。
そしてしつこい位の貴金属の煌めき
くいっ…
蘭夜さんが四角い黒ぶちメガネを指で上げる。
「そろそろ行かせておくれよ、レイディー」
「「キャーーー」」
女の子達をかき分けるように蘭夜さんが人集りから出ようとすると……
丁度私の目の前に蘭夜さんが来て目が合った。
「お、乙女……君は……」
「えっ? わたし?」
男装女子、蘭夜さんとの初めての出逢いであった。