Episode 13 女装メイドさんやりませんか?①
「響ちゃんってレイヤーさんだったんだあ、いやあ、メイド服良く似合ってるなあ~」
蘭夜さんがテーブルに手をついてグイっと距離を縮める。
「い、いえ……そ、それほどでも…あはは……」
私は、椅子に座りなから少し仰け反る様にして蘭夜さんと距離をとった。
(この人いつも近いんだよなあ……)
「お友達もすっごい可愛いんだねえ!」
蘭夜さんは、キメ顔を作ってから楓ちゃんに視線を投げる。
「…………」
楓ちゃんは、何も答えない。そしてジト目で蘭夜さんを見つめた。
まずい、楓ちゃんが警戒してるよ。
早くこの女好き男装女子を追い払わねば!
「ら、ら、ら、蘭夜さん。お、お友達が待ってるんじゃあ?」
「フフッ、やっぱり乙女は、優しいね。でも心配ご無用さ。ボクらは、可愛い女の子が大好きだからね」
蘭夜さんがウィンクしながら答える。
だ、駄目だ……その自信がどこからきてるのか分からないけど、
この人めちゃくちゃ鈍感。
そんな事を考えていると、
蘭夜さんの後ろからまた一人チャラい男装女子が近付いてきた。
「蘭夜ぁー、その子達ウチの店にスカウト出来なーい?」
「スカウトぉ?」
「うん、ウチの店のメイド二人組今月いっぱいで辞めちゃうじゃん、誰か入れなきゃならないし……これだけメイド服似合ってれば即戦力? みたいな」
バンッ…
蘭夜さんが両手でテーブルを叩いた。
「そ、それは、名案じゃないかあぁぁ!」
ぎゅうッ…
そして私の右手を両手で握りしめた。
「乙女っ、そして隣の可愛い女の子! 男装カフェMOON NIGHTへようこそ!」
「い、いや、まだ何も答えていないんですけど……、ね、ねえ、楓ちゃん」
「…………私は、女の子じゃない……男の娘……」
「「なっ……!」」
メイドカフェに男装執事がいる事あるし、男装カフェにメイドがいても良いかなあ?
などと考えながら書いていました。