Episode 12 楓ちゃんとコス合わせ⑤
観光客の人にシャッターを押してもらい、いくつかやりたかったポーズの写真を撮る事が出来た。
向き合って両手を合わせて撮るポーズでは、楓ちゃんとかなり密着したので結構ドキドキした。
最後に観光客の人達と一緒に記念撮影をしてその人達とは、お別れした。
シンガポールから来た人達らしいけど、あっちの国でも日本のアニメは、結構人気があるらしい。
楓ちゃんが英語で話して私に教えてくれた。
いいなあ、英語が喋れると……
「サンキューサンキュー、バイバーイ!」
「シーユー……」
◇
撮影も一段落したので、私達は、休憩する事にした。
行き道の途中コンビニでお菓子を買っておいたのでテーブルにひろげていく。
私達は、横並びに座りくっついてお菓子を食べた。
テーブルの下でぎゅっと手を繋ぎながら。
一緒にコスするお友達出来て本当に良かった。
仲の良い相方さん欲しかったし……
楓ちゃん可愛いし……
本当良かったよ。
いつも一人コスして自撮りしていた私にとって、この日は、新しいコスの楽しみかたを発見する特別な一日となった。
◇
二人で海を眺めながらお菓子を食べていると、遠くからこちらの方へ向かって歩いてくる軍団がいた。
関係無い人達なので特にどうでも良かったのだが、やけに目立つ軍団だったので、私は、なんとなく見ていた。
チャラい男性5人組。
皆身体の線がやたらと細い。
最近細い男性多いなあ、などと考えていた。
先頭を歩いてる人、誰かに似ている様な……
やけに細いライン
やけにはだけた着こなし
長方形の黒ぶち眼鏡……
あ、あれは……蘭夜さん!
やばい……
コスやってるのとかバレたら恥ずかしい。
大体なんでこんな所に……
いや、今は、そんな事どうでもいい。
とにかく私だとバレない様にしなければ……
私は、少しうつむきながら蘭夜さん達が通り過ぎるのを待った。
早く通り過ぎろ、早く通り過ぎろ……
しかし、何故か蘭夜さんは、通り過ぎていかない。というか、此方に向かって近付いて来ているではないか!
な、なぜだ、なぜ此方にくる……
「君達メイド服可愛いね~、撮影してるの~?」
な、ナンパ……?
私は、恐る恐る顔を上げて、蘭夜さんにニッコリと微笑んだ。
「き、君は、乙女っ! 響ちゃんじゃないかあ!」
「あ、あはは……」
バレちゃった。
どうしよう?




