Episode 11 楓ちゃんとコス合わせ④
私達は、撮影場所の公園に到着した。
うーん、海広くて気持ちいい。
海沿いに細く長い公園。
遠くには、大きな橋やタワーも見える。
公園は、結構空いていて、まばらに観光客が歩いている程度だった。
私達は、屋根付きの木製テーブルに陣取って荷物をひろげていった。
今回私達がやるコスは、双子のメイドさんコス。私は、青の髪色をした妹で楓ちゃんがピンクの髪のお姉ちゃん。
私達は、ウィッグネットを被り黙々とメイクをしていった。
コスをやる時って結構厚化粧になる。
普段は、ファンデーションは、あまり使わない私だけど、コスの時だけは、クリームファンデをべったりと塗って、眉毛なんかも一回塗り潰してから書いていく。
普段なら絶対使わない様な派手なつけまをつけて、アイラインは、わざと縁から大きくずらして書いていく。
こうすると目がおっきく見えるので。
なんだか自分の顔で漫画を描いている様な感覚になってくる。
鏡を見ていると、今の私の顔を見て、知り合いは、私だとわかるのだろうか? などと思えてきた。
二人共メイクが終わりウィッグを被る。
櫛を軽く通してからピンをバッテンにとめたら完成。
さあ、今日は、頑張っていい写真撮るぞ!
◇
私達は、それぞれポーズをとって順番に撮影しあっていった。
二人の写真を撮る時は、遠くに三脚を置いて撮影。これが結構難しい。
なかなか上手く遠近感が掴めない。
こういう時、仲の良いカメコさんとかいたら良い写真いっぱい撮って貰えるのに……
有名なレイヤーさんとかは、専属で撮ってくれるカメコさんとかいたりするみたいだけど、まだ私は、そんなレベルじゃないし、いないんだから考えても仕方が無いよね。
そんな事を考えていると、観光客っぽい一団が通りかかったので私は、声を掛けてみた。
「すいませーん、シャッター押して頂けませんかー?」
「…………」
あれ? 返事が返ってこない。
少しすると一人のおじさんが私に近付いてきた。
「スイマセン、ワタシニホンゴワカリマセーン」
ななな、が、外国人の人だったー。
見た目日本人みたいなのにー。
「あっ、えっと、テイクピクチャー、テイクピクチャー」
私が困っていると楓ちゃんが助けに来てくれた。
「キャンニュー テイクピクチャー オブ アス?」
「オッケー、オッケー」
うわああ、凄い。楓ちゃん英語喋れるんだあ。
楓ちゃん可愛いだけじゃなくて英語ペラペラ?
凄いよ、凄いよ楓ちゃん!
格好いいよ、いや、格好可愛いよ!
私は、楓ちゃんを尊敬の眼差しで見つめた。