第05話 教室炎上
突然、校舎内のどこか遠くから、ガラスの割れる音と轟音が聞こえてきた。
あと なんか悲鳴も。
教室の陽キャ男子数人が反応する。
「なんだ、今の」
「見に行くぞ」
「おい、待てって」
とか言いながら奴らは教室を出て行った。
「ボケッとしてないで、あたしたちも行くよ!」
「えー……」
行く気満々の舞と、渋る俺。
ふたりで同時につばさを見る。
「…………」
つばさは無言で頷いた。
行きましょう、という意味だろう。
舞は得意げな顔で俺に言った。
「ほら早く!」
――――
廊下に出た途端、問題の発生源が分かった。
3つ先の教室の窓がすべて割れていた。
野次馬が次々に集まってきて、その教室を覗き込んでいく。
皆一様に絶句しているようだった。
「翔太」
「分かった分かった」
舞に押されて俺は足を進めた。
廊下に散らばったガラス片を避けながら、全面開放状態の窓から教室内の様子を窺う。
女子3人が教室の後ろの方で床に座り込んでいた。お互いの体に すがり付きながら震えている。
3人だけ? 他の生徒はどこへ行ったんだ?
最初はそう思った。
よく見ると、教室のあちこちが焼け焦げているし、一部の机なんて まだ小さな火が燻っている。
教室を覗いた瞬間に気付かなかったのが不思議なくらいの有様だった。
「これって……」
それきり舞は黙ってしまう。
何と言えば良いか分からないのは俺も同じだ。
俺は呆然と立ち尽くしながら、スキル説明の一文を思い出していた。
火炎魔法Ⅲ 7P(学校の教室くらいが範囲だよ!長々と標的を焼き続けるよ!)
そして次に別のことも思い出す。
モンスター情報の記述。
・倒されると消滅するよ!
教室内に焼死体は見当たらない。女子3人以外の生徒は燃え尽くされて消滅したのだ。
もちろん、俺たち生徒は人間であり、間違ってもモンスターではないが、少なくとも死んだら同じ扱いを受けるらしい。
事ここに至っては、スマホの情報と真剣に向き合うべきだろう。
となると問題はこれだ。
最初の画面に表示されていた箇条書きのふたつめ。
・30分後に一万匹のモンスターが襲撃してくるよ!
マジなのか……。
軽いノリで『詠唱省略』のために7ポイントも消費したことを俺は今更ながらに後悔した。
「翔太くん」
つばさに袖を引かれた。
何度か名前を呼ばれていたような気もするが、あまり覚えていない。
「な、なんだ?」
「スマホ。震えてる」
「あ、え?」
ズボンから震動が伝わっていた。
言われるまで気付かなかった。
スマホを取り出して画面を見てみる。
新着メールが届いているようだった。
ネットは使えないはずだが……。
つばさと舞も自分のスマホを見ている。周りの野次馬も同じくだ。
メールは全員に届いているらしい。
嫌な予感がしたけれど、自分だけ見ないわけにもいかない。
俺は仕方なくメールを開いた。
『室内で火炎魔法を使うと危ないよ! ましてやレベルⅢじゃあね! みんなは気を付けよう! さあ、あと20分で襲撃時間だよ! 頑張ろうね!』




