表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/35

第18話 レベル制限

 戦っているうちに委員長もスキル考察を進めているようだった。

「スキル『危険感知』では、物理攻撃が迫るのか魔法攻撃が迫るのかまで分かるみたいです」

 と、隙を見て俺に教えてくれた。


 ただ、魔法攻撃が来ると分かっても、どんな魔法が来るのかは分からないらしい。

 俺にはあまり関係ないが。

 先制して倒すだけだ。


 まあ、些細な情報でも漏れなく共有するってのは大事だよな。

 思わぬピンチが また訪れないとも限らないし。

 と言うか、訪れるものだという前提で戦うべきだろう。


――――


 ところが、9000匹を倒して次のレベルアップを迎えても、結局ピンチにはならなかった。

 それまでと変わらず俺はモンスターを圧倒し続けた。


 ついには学校周辺のモンスターが全滅してしまった。

 最後の1匹が正門に達した直後、俺はそいつを吹き飛ばし、消滅させた。


 まさかとは思うが、今のがランク3のボスだったってわけじゃないだろうな……。

 呆気ないにも程がある。

 動きも別に速くなかったぞ。

 簡単に倒せるのなら それに越したことはないんだけどさ。


 しかし、こんなんで良いのか?

 パーフェクトクリアってことか?

 俺たちはパーフェクトソルジャーなのか?


 30人前後の前線PTは誰も口を開かなかった。

 俺と同じく、本当にこれで終わりなのだろうか、と困惑しているのだ。

 火炎と弓矢の対策をして以降はワンサイドゲームだったからな。


 一方、屋上がなんか騒がしかった。

 見ると、数え切れないほどの生徒がフェンスに手を掛け俺たちを見下ろしていた。

 なんか大声で喜んでいる。


 いつからあんなに人が居たんだろ。

 戦闘前に委員長が指示していたから、そりゃあ大勢 居て当然なんだが。


 ……つーか、たぶん、モンスターに見付かりたくなくて息を潜めていたんだろうな、あいつら。


 俺たちがここで戦っている限り屋上まで攻め込まれることはないだろうし、戦線が崩壊すれば どうせ攻め込まれるだろうしで、隠れていてもあまり意味はないと思うが、まあ気持ちは分かる。


 委員長は、正門から顔だけを外に出して、ポニーテールを揺らしながらキョロキョロしていた。

 まだ警戒を解いていないらしい。


 つばさと舞は黙考中。

 顔が恐い。

 話し掛けない方が良さそうだ。


 なんか、俺だけ手持ち無沙汰だな。どこかに座って休むか。


 と思っていたら、ポケットのスマホが震え出した。

 今回は全員のスマホに反応があるようだ。


 メールで勝利を祝福してもらえるのだろうか。

 あるいは元の世界に帰してくれるとか。

 クリアしても帰れないと舞は言っていたし、その理由も筋は通っていたが、別にあいつも絶対そうだと思っているわけじゃないだろう。

 期待しながらメールを開く。


『9999匹のモンスターを倒したね! あとはボスだけだよ! ボスと戦う資格があるのは、レベル2以上のPTだけだよ! レベル1のPTはここで退場だよ!』


 まだボスは倒していなかったらしい。

 って言うか、退場?


 周りのPTを見てみる。

 特に変わりはないようだ。

 なんだ、と安心した。


 しかし次の瞬間、みんな一斉に胸を押さえて苦しみ始めた。次々と地面に倒れ伏していく。

 心臓麻痺か? こいつら全員、デスノートに名前を書かれてしまったのか?


 平気なのは、俺とつばさと舞と、あと委員長だ。

 つまり、レベル2以上のPTに所属している4人だけ。


 皆の苦しみ方は尋常じゃなかった。

 のけ反る奴や、うずくまる奴や、中には のたうち回る奴も。

 あちこちから悲鳴や呻き声が上がっていたが、だんだん小さくなっていき、さらには途切れがちになり、やがて全く聞こえなくなった。


 いつの間にか、倒れている奴の数が半分くらいになっていた。

 こんなにも一気に消滅したのかよ、と思っている間に残りもすべて消えてしまった。


 まさかギャル子も?

 あの小賢しい女まで こんなにあっさり殺されるもんなのか?

 俺は辺りを見回した。


 どんなに探しても、金髪小麦肌を目にすることはできなかった。

 他の有象無象と同じように、為す術なく死んでしまったらしい。

 確かに、どれだけ頭が良かろうと切り抜けようのない事態だとは思うが……。


 正門付近に立っているのは4人だけ。生きているのも4人だけ。


 …………。

 幼馴染みふたりと委員長の様子を見る気にはなれなかった。

 気遣っている余裕はとてもない。


 人が死ぬ場面を目撃するのは これが初めてだった。

 教室炎上事件の現場は見ているが、被害者は消滅した後だったわけで。


 俺は校舎屋上に目を向けた。

 さらにショックを受けるだけだと分かっていながらも、そうせざるを得なかった。この目で確かめなければ現実と向き合えそうもない。


 校舎屋上は静まり返っていた。

 大勢が手を掛けていたフェンスも今はガラ空きになっている。

 消滅してしまったと判断するしかなさそうだ。


 俺は大きく息を吸った。

 どんな言葉を吐き出すつもりなのか自分でも分からなかった。

 何でも良いから叫びたかった。


 しかし静かに息を吐き出すことになった。

 手に持ったままだったスマホが再び振動したせいで、叫ぶタイミングを逸してしまったのだ。


 スマホを持ち上げて画面を見るという単純な行為が今の俺には難しかった。

 手の震えが酷すぎてスマホを落としそうになったが、両手で持つことによって何とか顔の近くまで持ってくることができた。

 恐る恐るメールを開く。


『ボスは30分後に来るよ! 頑張って撃退しようね!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ