表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

第16話 弓矢の脅威

 飛んできた矢に狙いを定めて俺は爆裂をイメージした。

 しかし矢に変化はなく、そのまま近くの地面に突き刺さった。


 やっぱり、標的を完全に捕捉していないと撃てないか。

 とは言っても、『身体強化』スキルを取得していない俺の動体視力と反射神経では、高速の矢を正確に捉えることなんてできない。

 つーか、標的ってのはモンスターのことなんだから、仮にドンピシャでも、地面と同じで不発になるような気がする。


「出番が来たようだな」

 バットマンたちが俺の前に出てきた。

 さっそく矢を叩き落とす。迎撃成功。

 やだ格好良い……。


 しかし参ったな。

 こうなると、『爆裂魔法Ⅰ』を万が一にも当てないように気を遣わなければならず、かなり戦いにくい。

 その場でバットを振っているだけなら まだしも、矢を打ち落とすために急に動き出したりするわけだし。


 バットマンたちはそれを察して俺の隣まで下がってくれた。

 まあ彼らだって爆死したくはないだろうからな。


 だがそのせいで今度は守りが薄くなった。

 バットマンたちは下がっただけでなく、俺の『爆裂魔法Ⅰ』を警戒してもいたから、矢の打ち落としは どうしても遅れがちになる。

 ザクッ、と、近くの地面に また矢が突き刺さった。


 しかも、打ち漏らしてしまう矢は時間と共に増えていった。

 バットマンたちの注意力が低下しているためだ。

 ある程度は仕方ないかもしれない。いつ飛んでくるか分からない矢を延々と警戒していたら、疲労が蓄積するのは避けられないだろう。


 不意に、後衛部隊から「おおっ!」と歓声が上がった。

 バットマンたちの打ち漏らした矢が向こうまで飛んでいき、それをギャル子ちゃんが打ち落としたらしい。


 今までそこに矢が届いたことはなかったから、後衛部隊が危険に晒されるとは思わなかった。

 もっと下がってもらおう。


 ギャル子ちゃんは『身体強化Ⅱ』だが、それでも楽に打ち落とせたみたいだ。

 確かに、『身体強化Ⅲ』のバットマンたちも、基本的には余裕を持って軽々と打ち落としている。


 たまに失敗するけど、その原因は明らかだ。

 人間の動きで最も遅いのは始動であり、いくら身体能力が凄かろうと、最初の一歩にはタメを必要とする。

 気付いてから動き出すまでの間に矢が近距離に迫ってしまったら、『身体強化Ⅲ』でも打ち漏らしてしまう。そういうことだろう。

 打ち落としの成否は初動に懸かっていると言える。

 問題なのは集中力の持続なのだ。


 とにかく、このままでは まずい。

 何かを変えないと。

 これまでとは全く別の発想が必要なのかもしれない。


 新しい発想なんて大抵は既存の組み合わせに過ぎないから、糸口さえ掴めば後は簡単に思い付いたりもするんだよな。

 見落としてること。軽視していること。

 この辺にヒントがありそうな気もしなくはないんだが、それ以上のことは分からない。


 俺は幼馴染みの方をチラ見した。

 舞とつばさと委員長はまだ相談していたが、すでに結論は出ていて、今は確認事項を潰している段階のようだ。

 3人の様子から そんな感じがした。

 判断材料の不足はこの短時間で解決したらしい。

 聞き耳を立てていたわけではないから、細かいことは良く分からんが、あいつらの妙案に期待しよう。


 俺は、自分のやるべきことをやる。すなわちモンスターの殲滅。

 矢にビビってモンスターの突破を許したら妙案どころじゃないからな。

 飛来する矢を無視して俺は『爆裂魔法Ⅰ』を撃ち続けた。

 恐いけど無視だ。断固無視。


 しばらくそうしていると、ポケットの中のスマホが震えた。

 なんだ? メールでも来たのか?

 今は精神的にあまり余裕がないんで、内容を確認するのは後にしたい。具体的には矢の脅威が去ってからで。


 …………。

 いや、ひょっとしたら、これが現状打開に繋がるかもしれない。

 スマホを取り出すべきだろうか。


 迷っているうちに高速の矢が飛んできた。

 真っ直ぐ こっちに向かっている。

 このままでは当たる。そう認識した途端、俺は恐怖で棒立ちになってしまった。


 俺の隣に控えていたバットマンは反応が遅れたようだ。

 今さら慌てているのが横目で確認できた。どうやら寸前まで別の方向を見ていたらしい。

 これでは、タメから一歩目を踏み出す間に矢が到達してしまう。

 バットマンの迎撃は とても間に合わないだろう。


 疲労で集中力が落ちていたとはいえ、5人も居るんだから、もう少し何とかならなかったのか、と思ってしまう。全く気付いてない奴すら居るし。

 まあ、バットマンはバットマンで、『爆裂魔法Ⅰ』に当たってしまうかもしれないという問題も抱えてるし、色々大変なんだろうけど。

 でもさぁ、と俺は言いたい。


 しかし他人を責めている場合ではなかった。

 マジで俺に当たりそうだ。

 なのに体は全く動かない。一直線で飛来する矢を呆然と見ていることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ