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(短編) 人生リセット爆弾 -1100文字

「やめるんだ! ワトソン君! そのボタンを押してはいけない!」


「遅いよ! ホームズ君! モリアーティー教授から盗んできたこの『記憶消去爆弾』は既に押してしまった。もうだれにも止められない!」


「なんて事をしてしまったんだ! それを押したらどんなことが起こるか解ってるのか?」


「解ってるさ! 解って押したんだよ! 勝ち組のホームズ君には解らないだろうけど、僕はもう今の人生に嫌気がさしたんだよ。どんなに仕事をがんばってもいつまで経っても出世できないこの僕に。いや、この僕が悪いんじゃない。学歴偏重の社会で学歴のみが幅を利かせ、二流大学卒業という事だけでどんなに仕事を頑張ってもいつまで経っても出世出来ないこの社会システムに! 美味しい事件は一流大学出の新人刑事がすべて持って行ってしまって、残ったのは奇人変人大会のような事件ばかり。おまけに、こんな変人探偵の相手をしなくちゃいけないこの僕に嫌気がさしたんだ!」


「変人探偵って僕の事か?」


「他に変人探偵なんて居る訳ないだろ!?」


「ちょっとムカついたけど説教はあとだ。キミがそのボタンを押したことで大変な事になるんだぞ。みんなの記憶が消えるんだぞ!」


「そうだ。何もかも記憶から消し去ってみーんな同じスタートラインからやり直しだ。ここからは実力だけの世界。過去の学歴なんてみんな忘れてしまって、みな同じスタートラインに立っての競争が始まるんだ!」


「ワトソン君、君は何にもわかってないな! なんでモリアーティー教授がこの爆弾を使わなかったか解るか?」


「そりゃ、教授も犯罪者では有るものの教授と言う職を持っている人生勝ち組だからだな。奴もこの爆弾を使うとその地位を失う事に気がついて、惜しくなったんだろう」


「バカめ! そんな程度で済む話じゃない。これから何が起こるかわからないのか!」


「勝ち組にとっては地獄、負け組にとってはバラ色の人生さ!」


「全ての記憶が消えるんだぞ! 学歴経歴どころか、すべての記憶が消えるんだ!」


「いいじゃないか! まさに負け組のパラダイスだ!」


「全ての記憶が無くなるって事は、言語を忘れしゃべれなくなり、歩き方も食事のとり方も忘れるんだぞ」


「なんだって!? という事は全員がサル、いや赤ちゃんレベルになるって事か?」


「そうだよ! だから君の脳味噌はバラ色なんだよ!」


「まじか!」


「マジなんだよ!」



──ちゅどーん!



 記憶消去爆弾が爆発し、すべての人の人生がリセットされ赤ちゃんからのリプレイが始まった。


「ばぶー!」


「ばぶー!」


「うえーん!」


「うええーん!!!」

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