片恋彼女
掲載日:2014/07/07
『キミがすき』
そんな届かない言葉、口に出せない言葉。
カリカリとペンを動かす。
心臓の仕組み、と書かれたノートを見てため息が出る。
「胸が苦しい」
一旦止めた手を再度動かす。
独り言だったのだが隣の君はそれに反応して問いかけてくる。
病気かと問われれば迷う。
もう一度手を止め宙を仰ぐ。
んー…、と軽くうなってから「そうかも……」とため息。
「いっそ心臓ごと取り除きたい」
ポン、とペンを放り投げた。
隣の君は首を傾げる。
「え?死ぬの?」
笑顔で聞いてくるからタチが悪い。
というか死んで欲しいのか。
ぎゅむっ、と彼の頬をつまむ。
「そういう意味じゃないっ!」
語尾を強めて言い切る。
ぎゅーっ、と頬を抓ることも忘れずに。
何なんだ、まったく。
「いたいっ!抓らないで?!」
悲鳴を上げる彼。
それでも私はお構いなしに力を込める。
彼の手が私の手に触れた。
「でも…よかった」
ホッとしたような声。
何が良かったのだと私は横目で彼を見る。
目が合った彼は笑いながら私の腕を掴み、頬から離した。
ニコッという効果音がつきそうな笑顔。
「君に死なれたら困るから」
それはどう言う意味ですか。




