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2014年/短編まとめ

片恋彼女

作者: 文崎 美生

『キミがすき』


そんな届かない言葉、口に出せない言葉。


カリカリとペンを動かす。


心臓の仕組み、と書かれたノートを見てため息が出る。


「胸が苦しい」


一旦止めた手を再度動かす。


独り言だったのだが隣の君はそれに反応して問いかけてくる。


病気かと問われれば迷う。


もう一度手を止め宙を仰ぐ。


んー…、と軽くうなってから「そうかも……」とため息。


「いっそ心臓ごと取り除きたい」


ポン、とペンを放り投げた。


隣の君は首を傾げる。


「え?死ぬの?」


笑顔で聞いてくるからタチが悪い。


というか死んで欲しいのか。


ぎゅむっ、と彼の頬をつまむ。


「そういう意味じゃないっ!」


語尾を強めて言い切る。


ぎゅーっ、と頬を抓ることも忘れずに。


何なんだ、まったく。


「いたいっ!抓らないで?!」


悲鳴を上げる彼。


それでも私はお構いなしに力を込める。


彼の手が私の手に触れた。


「でも…よかった」


ホッとしたような声。


何が良かったのだと私は横目で彼を見る。


目が合った彼は笑いながら私の腕を掴み、頬から離した。


ニコッという効果音がつきそうな笑顔。


「君に死なれたら困るから」


それはどう言う意味ですか。

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