革命が始まるらしいのでタバコを一服
健康は戦いだ・・・・俺は胸が痛いのを気にしながら、
クーデターの中継を見て、よけいにそう思った。
こいつら、本当に武力で戦いやがった。
タバコの健康ウォーズ。
次のチャンネルでは、デブで女装な首相は、国会の場で追及されていた。
「あなたが、タバコを擁護するから、こんな事件まで起きるんだ。
あんたから禁煙しないと、なくならないんだよ」
「何言ってるのよ。このクーデターの問題は迫害よ。
権利を認めないから、起きた事件でもあるのよ」
どちらも正論だが、事件が起きていることは事実である。
「タバコを吸うと 5歳寿命が短くなるというデータがある」
「それは因果関係は証明されてないじゃないの!!
そのデータがそんなに大事なの??」
「当たり前ですよ。首相! 実際にこんなに差があるんだから。
「じゃあ言わしてもらうけど、酒はどうなのよ。ここに三歳短くなるって書いてあるじゃないの?
タバコもだめなら禁酒もしなきゃね」
「それは極論だと思います。副流煙のように他人に迷惑をかけない」
この議員はいらないことをいってしまった。
「他人に迷惑かけないですと…
あんた、酒の方が、よっぽど迷惑かけてるわよ。酔っぱらいはよくケンカするじゃないの。
酔っぱらって家でDVというのもあるじゃない。そうそう、ついこの間も酔っぱらい運転で
幼稚園児につっこんだ事件があったじゃない・・・タバコでそんなのアル??」
この女装首相は、言葉が立つ。ああいえばこう言えるから、首相なのだ。
さらに彼女は、エキサイトしていった。
「データの事を言えば、離婚の方が悪いのよ。特に男。結婚してると寿命は79.0歳。
離婚をすると68.2歳!!約10歳・・・こっちのほうがはるかに体に悪いわよ。
どうする・・・酒と離婚を禁止しようか???」
こんな屁理屈を言い合うのも、国会では討論という。
「しかもあんたタバコの税収は2兆円あるのよ。で、国家予算は90兆、
どういう事かわかる。これがなくなったら大事なの。
家計からまた5万くらい増税しないとだめなのよ」
いい事を言う。さらに言うと、禁煙産業というのもある。
ここでは、薬品会社と医者という存在が、患者と健康ウォーズを繰り広げる。
禁煙外来では医者が儲ける……その際保険で国民の税金は使われる。
これはお金を搾り取る戦い。
さらに禁煙補助薬も怪しい。
アメリカでは、ある薬が、意識喪失、難聴、自殺、攻撃性と副作用が起きるので大問題になった。
同じ薬を日本では、副作用は頭痛や吐き気程度と言いながら売っていた。
副作用との戦い・・・・まあ軽く信じちゃだめなわけだ。
世の中とは、そんなものだと思わないとやってられない・・・ので一服した。
「ですが、学者による計算では、喫煙による損害計算のほうが・・・」
「どうかしらね・・・健康はいいけど、喫煙で税金は増えて、長寿で年金は減って
それでいいのかしらね・・・ここは私もわからないわね。
でも、禁煙イコール正義、だからここぞとばかかりに喫煙者狩りするようなヒステリックなパッシングは、ヒットラーみたいで怖くない?
これは立派なファシズムなのよ」
そう、これはファシズムなのだ。
リンチに発展している時点で、これは悪政であるのは明確だ。
ちなみに、国会議事堂も分煙されていて、議員は喫煙スペースに駆け込んで吸う。
まあ議員会館の自分の部屋は自由だが、ここまで禁煙ファシズムは近づ来はじめている。
「今回のクーデターに関して、私は喫煙スペースの増設を考えています」
俺は、チャンネルを消した。
そして、あるメモを取り出した。
六本木に、アンダーグラウンドのシガレットバーの住所だ。
そこには、ヘビースモーカーがたむろってるらしい。
そして、このいただけない禁煙ファシズムにたいしての対策を、酒のつまみに飲んでるらしい。
このまま禁煙法でも出来たら、吸うところもなくなり、タバコもなくなる。
その準備のためにも、一度確認して見たかったのだ。
その店は、六本木の裏通り、民家と民家の間に小さな入口があり、地下へと続いていた。
降りていくと、岩でできた噴水の前に受付があり、黒服の男が誰の紹介だときいてきた。
教えてくれた男の名刺をチェックし、さらに俺の身分証明を要求した。
そして、中に通されると、エレベーターがあり、さらに地下へと降りて行った。
そこには、200名ほど入れる、大きなキャバレーみたいな店があり、ジョンコルトレーンの
至上の愛が流れるなら、紫煙が漂っていた。
席はほぼ埋まっており、男の脇にドレスを着た女がついていた。
そして、面白いのは、全員がタバコをくゆらせている事だ。
酒と女とタバコに音楽・・・ヘビースモーカーのパラダイスがあったのだ。
俺はやわらかいソファに座らされると、しばらくして男と知り合った。
コンピュータ関係のサラリーマンで、名を井原聡と名乗った。
彼は言った・・
「僕はね・・・・肺がんなんですよ」
呆気にとられた・・・いきなりのカミングアウト・・・
「でも、タバコじゃないんです。僕はついこないだまで禁煙者でしたから」
・・・・・続く
・・・・・・・続く