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禁断のタバコロード~タバコ吸ってたら殴られました

なんか、胸の上の方が痛い。

激痛でもないが、もやもやしている。

こういう時、いつも「俺はがんではないか?」


そういう時、思うんだ。

「健康は戦争である。だから病魔と闘わなければならない」

でも、敵は、病魔だけじゃないんだよな~



☆☆☆☆☆☆脂質異常症の王様


日本国首相に、あの女装巨人が選ばれた時も、国民は驚く事はなかった。


漫才師が知事になるのは当たり前、小説家が都知事になるのも普通の事

そんな中、ジャバザハットさながらの160キロの巨体で、しかも女装家という男が、

政治の世界に日本の国の頂点にたっても、特に驚くほどの事ではなかったのだ。


「私はね、腹が立つのよ・・・・だって、私はヘビースモーカーで

肺がんになったのよ。その時1年で300万も使ったのよ。

もうこれはおかしいでしょ。何が、福祉国家よ。」


180㎝で160㎏もある女装巨人が、首相に上り詰めた最大の理由は、彼の不健康な体にあった。

もともと健康診断では、高血圧・脂質異常・・・・まさに悪い見本であり、常に医者に通い詰めていた。それゆえ、通院・入院・薬代には詳しくなり、さらに50歳になり、初期とはいえ肺がんになり長期入院。

ここで、彼は啓示を受け、日本健康党なる政党を立ち上げたのだ。


「私は、この体を使って、福祉国家を実現するのよ。

 私以上に、不健康を体験をしている政治家はいないわよ。

 皆さん、健康は戦いなのよ」


彼は、健康ウォーズという名を付け、税金と福祉を徹底的に透明化することで

選挙に乗り込み、大勝する。さらに、薬品メーカーに対しても、副作用の明示と改善を徹底指導し、いい薬品を適正価格にする事で、政党はさらに支持を受ける。


「あんた、20年前と、高血圧の基準が全然違うじゃない!

これはどういう事よ、そりゃ薬品メーカーは儲かるでしょうけど飲まなくていい薬を飲まされる方が迷惑よ。

 モルモットじゃないんだから!」

「なんで、MRIひとつ撮るだけで3万円いるのよ。

 金持ちしか受けさせないわけ…・・ただにしなさいむ」

「何よ、このコレステロール値、これも10年前から危険基準上がってんじゃない。

こういうこっそり操作するのはダメなのよ」

「6才の落ち着かないヤンチャ坊主に、精神安定剤!

バカ親と医者逮捕しなさい」


彼は続けた

「健康診断もまた謀略戦の一つなのよ。

ゲッペルスのデマの流し方みたいなもので、利権により構成されている。

まず、メタボだ。あんなオカシナものはないわよ。」


彼が言うには、男性が85センチで女性が90センチなんて基準があり得ないらしい。

しかも、国が病気という事にしたものだから、メタボ対策で医療業界は大もうけらしい。


「おかげでコレステロールを下げる薬は、国内で2,3000億円売れたんだよ。

 でも、そもそもよほど高くなければいいのよ。

逆にコレステロールを下げると死亡率はあがるんだよ。」


まさに、メタボな首相、身を持って説を訴えるから、これぼどリアルなものはない。

至極もっとまっとうな事を、有り余る脂肪の巨体を震わせ、より健康に、より適切に

指示するため、その人気は、ますますカリスマ的になっていったのだ。

なんせ揺るぎのない不健康体と言うハンディキャップは、どんなにこの女装巨人首相が

権力を持ち金を持っても、常に国民の多くに、「あいつほどデブではない」という優位性を

持たせて、人気はますます増長する始末であった。

・・・・なんせ日本は高齢者が大半を占める国だから。


ところが、この女装首相を、独裁者に変える事件が起きるのだ。

よくある、暗殺未遂事件だ。

時は、まさに参議院選の選挙演説の時に、有楽町で、発砲事件が起きたのだ。

弾丸は、まともに彼の腹部をとらえた。

が、12センチにも及ぶ、腹部の脂分が弾丸を包み、臓器へ到達する事がなかった。

要は、デブだから助かったのだ。

犯人は、政治団体であり、その資本が製薬会社から出ていた事が判明。

いよいよ、彼は、全面戦争に入る。


「たぶん、あの演説なのよ・・・健康診断の訂正。

 でもおかしいわよ。最近の健康診断は・・・特に血圧ね。 

 厚生省が1987年に正常値にしていたのは100~180で高血圧患者は170万人

 ところが、2008年には正常値は85~130に変わり、高血圧患者は2700万人に

 増加し、おかげで、降圧剤の市場は20倍近くになったのよ」


健康診断は、製薬会社と病院の金儲けのためにある。というのが、彼の言い分なのだ。


だが、その時には、まさか、健康独裁国家になるとはだれも気付かなかった。

健康地獄の始まり、圧税・虐殺・圧政・テロETC


もう一度、彼のモットーを繰り返しておく・・・「健康は戦いだ」である。

2016年春の話であった。


そんな時代に・・・悲劇は、起こり始めていた。



☆☆☆☆☆☆☆☆ 殺意のタバコロード


健康は戦いだ・・・・そう、戦いは各地で起き始めていた。


みんな健康のために戦っているのだ。

あるものは、自分の腫瘍と戦い、あるものはうつと戦い、薬品会社に健康グッズの会社に、スポーツジムに・・・ここは金を賭けて戦う。


百者百様の健康ウォーズを、日夜繰り広げている。

そんな中に、珍しい健康ウォーズがある。

それが、この俺だ。

 

俺は、一年前までただのサラリーマンだったのに

今では、指名手配されている身だ。

さっきも、商店街を歩いていると、警察が俺の前を通り過ぎていった・・・

俺は緊張を顔に出さないようにしながら、裏道に入っていった・・・・

 

 「助かった・・・」

胸元のぽけっとからマイルドセブンを取り出し、おもむろに火をつけた。

カチッ! ライタの音が暗い裏道に響いた。


「やばい」


だが、周りに誰もいないのは確認済み。

俺は、タバコの煙をゆるやかに吸い込み、深く味わい、そしてため息のごとく静かに長く吐き出した。

  フーッー 

この瞬間が一番落ち着く・・まさに至福の時なのだ。

だが、同時に、緊張が走る・・・誰かが来る。その前に処理しなければ・・・


この一服こそ、俺が指名手配される理由なのだ。 

俺が、何を隠そう、この街でたった一人の喫煙者なのだ。

そして、このタバコは、今では禁止された嗜好品なのだ。


  ☆☆☆☆☆☆☆


何かが変だぞ・・・と思ったのは数年前のことだ。

あの、俺にとっての悪法 健康増進法というのが出てきてからのことだ。


そこには、受動喫煙の防止 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を 講ずるように努めなければならない。と書いてある。

 

この法律をベースに、次々と近縁の場所が広がり、テレビでも喫煙シーンが叩かれ減っていき

そして、何かへんだぞが、このごろ肩身狭いな・・にかわっていく


、ホテルにレストランに・・・・禁煙の場所が侵食し始めた

 「欧米はもう禁煙が当たり前」

 それが、彼らの言い分・・・欧米か!!! 「お前は意思が弱いな~」


それでも、その時代は、同僚のにタバコはだめ・・と言われた時、そんなことはナイと強く拒絶できたのに・・


しかし、2009年の秋、ついに攻撃が始まった。

禁煙地域をさけて、裏道を通り、いつものようにマイルドセブンをくゆらせた時だ・・・

「そこのお前、何してるんだ」

少なくとも50メートルは離れている向こうから声がした。

振り返ると男のシルエットが走ってきた。

ダッダッダッ・・・・足音はやけに力強い・・・・これは怖い。

たかが、タバコを吸ってる奴に注意する感じではない。

懲らしめてやろうという不穏な空気に感じた・・・・


「えっ?」


その空気に恐怖を感じ、俺は走り出した。つまり逃走だ。


「俺は、泥棒でも痴漢でもない・・・なんで追いかけられてるんだ?」


頭の中は、そんな不満とも疑問とも付かない思いが駆け巡っていた。

が、とりあえず逃げなければ・・・男のシルエットは何か長い棒を握っていたのだ。


「このままだと、やられる」


たかが・・・タバコを吸っただけで・・・・・・・ヤラレル・・・・・・


振り切った・・・・だが、翌日の新聞を見て愕然とした。

「歩きタバコの男性重傷を負う」

なんと俺が襲われた1時間後、別のサラリーマンが、正体不明の二人組みに

材木で殴打され、肋骨骨折で全治3ケ月の怪我・・・・

「・・・・これは行き過ぎだろう。」

まあ。とりあえず、あの道は通るのをやめよう。

しばらくすれば、忘れられるさ・・・・・と考えていた。

だが、そんな甘いものではなかった・・・・・


この襲撃は、「タバコ撲滅リンチ」という名前を与えられ、全国に広がっていったのだ。


法律は、多数決で決まる・・ついにあの法律が登場するのだ。


たよりは、あの首相だけである。


☆☆☆☆☆☆ヘビースモーカーの王様


女装巨人首相は、たばこが大好きだった。

官邸の部屋で、今日も、ショートホープをスパスパしていた。


「何よ、これは!どうなってるのよ・・」


パソコンの画面を見ながら、彼は、顔を赤くし激怒していた。


「なんで、町でたばこ吸ったくらいで、なぶり殺されるわけ。

 これはもうオカシイでしょ。やりすぎよ。

絶対に許さない」


実際、政府の中にも喫煙家、いや愛煙家は、多い。

そりゃ、日本の中でも、永田町界隈ほど、紫煙が似合う地区もない。

なんせ、密談には欠かせない小道具、しかもストレス解消の合法的な手段として

たばこは、政治を支えていたのだ。


それが、健康増進法のおかげで、ガンの原因として徹底的に排除されるようになり

今では、選挙民にたばこを吸ってる姿を見せるものはいない。


「おかしいじゃない、たばこを吸う自由は、憲法で守られてるのよ」


まあ、うそではないが、無理矢理の正論で、女装巨人はいきりたってきた。


ところがだ・・・そう、法律は多数決で決まるのだ。


いよいよ喫煙家と禁煙家の健康ウォーズが始まる。



              ・・・・・・・続く

 



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