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第1話

久しぶりなので初投稿です

投稿方法とか、間違っていたらご指摘ください


というか評価が星標記になっていますが、これはいつからだっけ……?

これもまた、碧星の導きかもしれません


 朝、起きたら身に覚えのない場所にいた。

 そして何故か、手足が縮んでいる。

 声も高い。

 子供になっている。


 辺りを見渡すと、壁に一枚の地図が飾られていることに気付いた。

 それは前世で俺が嵌っていたゲーム、『ウィリディステラ・クエスト』の世界地図に酷似していた。


 『ウィリディステラ・クエスト』はオープンワールド型のRPGである。

 世界観はダークファンタジー、ちなみにR18。

 いろいろと詰んでいる世界観、外道で畜生な悪役、クソみたいな民度のモブ、胸糞悪いシナリオが特徴だ。


 まさか、俺は『ウィリディステラ・クエスト』の世界に異世界転生したのか?


 マジかよ……。

 どうして、よりにもよってバッドエンド確定の胸糞ダークファンタジー(エロゲ)なんだよ!


 もっと、ハートフルな世界に生まれたかった……。

 いや、待てよ?


 これは、推しキャラを救済しろという神の啓示では?

 

 俺の推しキャラ、リーゼは「勇者」である主人公のメインヒロイン。


 彼女は非情に不幸なヒロインで、とにかく悲惨な目にあう。

 序盤から〇〇〇される。

 それから何かあるたびに汚される。

 特に“ニセ勇者”エルミカという噛ませキャラに〇〇〇される展開は腸が煮えくり返りそうになった。

 このエルミカというキャラは本当にクソでカスなキャラで、リーゼの不幸と死因の半分はこいつのせいだ。


 よし、決めた。 

 俺がエルミカをぶち殺して、真のリーゼルートを開発してやろう。


 こう見えても俺は『ウィリディステラ・クエスト』を百周プレイした廃人プレイヤー。

 裏技から裏設定まで知り尽くしている。

 主人公君では選べなかった選択肢、勝てなかった敵にも勝てるはずだ。


 待ってろ、リーゼ!

 俺がお前を助けてやる!!


 世界か、ヒロインしか救えないって?

 俺が両方救ってやるよ!! 


 しかし問題は俺がどのキャラに転生したかだな。

 できればあまり重要じゃない、シナリオに影響を与えない……モブキャラみたいなキャラがいいのだが……。


 そう思っていると……。


「……失礼いたします」


 ドアをノックして、使用人と思しき女性が入って来た。

 彼女は部屋に入るなり、俺を見て目を大きく見開き……。


「エルミカ様が早起きしてる!?」


 うわ!

 悪役転生かよ!!

 最悪!!






 “ニセ勇者”エルミカ。

 エルミカ・アンゲロス・シーメオン。

 彼は大昔、世界を救ったとされる“伝説の勇者”の末裔、名門貴族シーメオン家の長男である。


 エルミカは生まれながらに莫大な魔力と優れた身体能力を持って生まれた。

 そのせいか、彼は五百年に一度生まれる勇者と間違えられてしまう。

 それほどの才能があったのだ。


 世界は魔王の脅威により滅ぼされようとしており、誰もが勇者の再臨を望んでいた。

 政治的な思惑もあり、彼は勇者として持て囃された。


 結果、彼は怠惰で傲慢、強欲な性格へと変わってしまう。

 しかしそれでもエルミカは誰よりも強く、誰も止められない。

 肥大化した自尊心はやがて周囲を巻き込むようになり……。


 という感じで立派なクズキャラへと成長したエルミカは、真の勇者である主人公に倒され、ざまぁされる。

 死に方はルートによって様々だが、今までの報いを受けるかのような悲惨な死を遂げる。

 ざまぁみろ!

 

 と、言いたいところなのだが俺はそんな破滅フラグ満載なニセ勇者に転生してしまった。


 もっとも、ニセ勇者が破滅したのはこいつの言動が極悪だったせいだ。

 そりゃあ、気まぐれに村を襲撃して村娘を奴隷にしたり、町娘を行きずり〇〇〇とか、天〇人みたいなことをしていたら嫌われるだろう。


 まあ、しかしエルミカをぶち殺すという目的は簡単に果たせそうだ。

 俺が今から自殺すれば……。


 いや、でもそれだけだと不十分だな。

 エルミカはリーゼの不幸の原因の半分を占めているが、それ以外の原因でもリーゼは不幸になる。


 となるとその他の原因を排除してから、自殺しないとな。

 しかしニセ勇者の俺がまるで本物の勇者のように振る舞うのはなぁ……。


 主人公の立場を奪うようで、釈然としない。


 しかし同時に主人公とヒロインたちには幸せになって欲しい。

 致命的な胸糞展開は排除しつつ、活躍を奪うのは最低限に留め、そして時に主人公たちの成長を促す。

 そんな都合の良いポジション……。


 あるじゃないか! 

 主人公の先輩、師匠、先達キャラ、憧れの人!! 


 そう、『先代勇者』だ。


 まず「最強の勇者」として、ある程度有名になっておく。


 主人公の過去編とか、第一話で登場し、主人公を颯爽と助ける。

 そして剣とか、何かしらのアイテムを託し、こう言うのだ。


「この剣をお前に預ける」


 そして主人公を陰で見守りつつ、来たるべき時に再会。

 真実を明かす。


「俺は勇者ではない。真の勇者はお前だ」


 そして今まで守ってきた勇者の地位、勇者の剣、そして平和な未来を主人公に託す。

 

「次はお前の時代だ」


 最後は安らかな顔で死亡!!


 よし、これで行こう!

 そうと決まれば、今から修業しなければ。

 やっぱり、まずは筋トレから……。


 と言いたいところだが、まずは自分の能力を確認しないと。

 ゲームではステータス画面で確認できたが、この世界には一目で能力値が分かるような画面は存在しないからな。


 というわけで、俺はシーメオン家の剣術指南役の男性を呼び出した。

 なお、彼は原作開始時にはニセ勇者によって殺されており、一家離散の憂き目にあっている。

 ちなみに彼の娘もヒロインの一人だ。

 結構、可愛い。

 ……どうでもいいことだったな。


「エルミカ様? 一体、この度はどのようなご用件で……」

「剣の修業に決まっているだろう」


 剣術指南役を呼び出す理由なんて一つしかあるまい。

 俺がそういうと、彼は目を大きく見開いた。


「剣の修業!? い、一体どうされたのですか!? もしや、まだ体調が……」


 そう言えばニセ勇者エルミカは修業をサボっていたんだっけ。

 いきなり心を入れ替えましたというのは、少し違和感があるか。


「……先の魔族との戦いで、父上が亡くなられただろう」


 エルミカの両親はエルミカが幼い時に死亡している。

 そのせいでエルミカの暴走を抑えられなかったわけだが……。


「私に力があれば、父上も亡くならなかったかもしれない。……もう二度と、大切な人を失いたくない。そう決意したんだ」


 俺が適当な言い訳をこねくり回すと、剣術指南役の男性は感動のあまり号泣し始めた。

 ちょっと引く。


「ぐすっ……し、失礼いたしました。エルミカ様の力となれるよう、粉骨砕身いたします」


 泣き止んだ剣術指南役の男性は、俺に木刀を渡した。


「それでは、まずは素振りから始めましょう。まず私が手本をお見せします」


 剣術指南役はそう言って木刀を振るう。

 素人目に見ても、彼が達人であることが分かる、美しい太刀筋だ。


「では、エルミカ様も」

「……こんな感じか」


 俺は見様見真似で木刀を振ってみた。

 瞬間、土埃が舞い上がった。

 後に残るのは木刀の残骸と、引き裂かれた大地。


 ……まだ五歳だが、エルミカの身体能力は相当、高いようだ。

 これだけ強かったら、自惚れるのも分かる。

 しかし……。


「さ、さすがはエルミカ様。やはり私の指導など、不要……」

「いや、必要だ」


 強いのは事実。

 しかしこれは素の身体能力、筋力から出力された、力任せの技だ。

 剣術とは言えない。


 本来なら、もっと威力が出るはずなのだ。


「この力を使いこなせるようになりたい。指導を頼む」

「エルミカ様……ご立派になって……はい! 私の教えられる全てをご教授いたします!」


 こうして俺の厳しい修業が始まったのだった。

 ……なお、剣術は一週間で基礎を習得することに成功した。


 この体、本当に性能がいいな。 





 全ヒロイン、救済RTA始まるよー!


 早速、ヒロインたちを助けに……と言いたいところだが、今の状態で戦いを始めるのは不安が残る。

 ゲームでは負けてもコンティニューできるが、この世界で「死に戻り」ができる保障はない。

 慎重に、まずは十分な強さを身に着けてから活動を開始しようと思う。


 そこで俺はアイテムボックスに大量の鉄くずを入れて、走り込みを始めた。

 この世界のアイテムボックスは入れた物質の体積は無視できるが、質量は据え置きである。

 故にアイテムボックスに大量の重りを入れて運動することで、筋力を鍛えることができる。


 筋力は攻撃力や移動速度、そして装備重量に影響するもっとも重要なステータスだ。

 いくらあっても損はない。

 筋力は全てを解決する。


 最終的には錘を背負った常生活を送ることができるようになった。

 

 予想を上回る成長速度だ。

 さすが、修業をサボりまくっていたのに中ボスを張れる男の肉体。

 無駄に才能に溢れている。


 当然、筋力以外の能力も鍛えた。

 スタミナと肺活量を鍛えるために山を何度も上り下りしたり、湖を無呼吸で泳いだり。

 打たれ強さを鍛えるために、ひたすら金属の棒で肉体を殴らせたり。

 もちろん、剣術や徒手での格闘術も、教師たちから学んだ。


 しかしそんな俺の修業は、教師たちからは異様な物に見えたらしい。

 

 どうして、そんなに修業に打ち込むのかと聞かれた。


 みたいな感じの言葉を投げかけられた。 

 ……別に裏技を使っているわけでもない、プレイヤーなら誰もがやる王道の鍛え方をしているだけなのだが。


 取り敢えず、「世界を救うため」みたいな感じのことを適当に言って誤魔化した。

 彼らは感動で打ち震えていた。

 チョロすぎないか? そんなんだからニセ勇者に騙されるんだよ。


 そんなこんなで修業をしていると、気付けば十歳になった。

 もうすでに訓練で伸ばせるステータスは頭打ち。

 これ以上は実戦で伸ばしていくしかない。

 そう判断した俺は家を飛び出し、魔王の手下――魔族たちを片っ端から倒していった。


 ついでに、原作において重要な役割を果たす人物――「家族や弟子を失ったことで鉄を打たなくなってしまう名工」、「両親を殺され、財産を親戚に奪われ、自らは奴隷に落とされてしまうはずの少女」、「魔女の冤罪を掛けられて処刑されてしまう薬剤師と、その弟子の少女」などを救済して回った。


 お礼は俺に対してじゃなくて、主人公たちにしてやってくれ。


 そんな活動の成果か、十二歳になった時、俺は周囲から勇者として認識されるようになった。

 おかげで、“伝説の勇者の剣”を手に入れる機会を得た。


 “伝説の勇者の剣”はこのゲームでもっとも効率の良い「筋トレ用具」である。

 なぜなら、この剣には「勇者以外が装備するとステータスを著しく低下させる呪い」が掛けられているからだ。


 つまりより負荷を掛けられる。

 それだけ筋トレ効率も良くなる。


 なお、原作においてこの筋トレ用具を手に入れられるのは終盤だ。

 エルミカが「何が勇者の剣だ! ただの呪いの掛った骨董品じゃないか!」と杜撰な管理をした結果、泥棒に盗まれるからだ。


 本当にロクなことしねぇな。

 もっとも、俺はこの剣が最強の筋トレ用具だと知っている。

 真の勇者に渡すその時まで、俺が大切に、四六時中身に付けることで守ろうと思う。


 別に四六時中、筋トレしたいわけじゃないぞ? 


 それと隠密の訓練ついでに主人公とリーゼの様子も見に行った。

 二人は救貧院で、貧しいながらも幸せな生活を送っているようだった。


 鍛錬し、魔族を殺し、推しを見守り……。

 そんな生活を続け、早三年。


 俺が十五歳の時。


「リーゼ……大人になったら、俺と結婚してくれ!」

「うん!」

 

 主人公がリーゼに告白し、それを受け入れたリーゼが主人公の頬にキスをする。

 そんな原作の名シーンを鑑賞することができた。


 尊い……。

 不覚にも泣いてしまった。

 俺はこのシーンを見るために転生したのかもしれない。


 え? お前、リーゼの推しだったんじゃないのか?

 主人公に取られていいのか……だと?


 はぁー(クソデカため息)。


 お前、何にも分かってねぇな。

 俺が好きなのは主人公のことが好きなリーゼなんだよ。

 オリ主()のことが好きなリーゼじゃねぇんだわ。


 それにリーゼは幼馴染の主人公のことが大好きで、一途な女の子だから。

 体は穢されても、ずっと主人公のことを想い続ける健気な子なんだぞ。

 それがぽっと出の俺にちょっと優しくされたり、助けられたりするくらいで、俺のことを好きになるわけないだろ。


 リーゼをそこらのビッチチョロイン共と一緒にするな!


 大体、リーゼは「幼馴染ヒロイン」なんだぞ。

 幼馴染でも何でもない俺とくっついたら意味ないだろうが!!


 ……待てよ? イベントが起きたということは、今日はリーゼが魔王軍に誘拐され、性奴隷にされる日では?

 危ないところだった!!


 満足して帰りそうになったところで、俺は慌てて踵を返し、救貧院へと戻った。


 戻った時には丁度、魔王軍の幹部――七魔将が救貧院を焼き払い、主人公とリーゼに襲い掛かろうとしているところだった。

 

 間一髪のところで俺は二人の間に割り込み、そのまま豚面の魔族と戦闘になった。

 しかし慌てていたせいか、|勇者の剣とアイテムボックス《筋トレ用具》を外すのを忘れていた。


 『勇者の剣』は選ばれし伝説の勇者――レナードしか抜くことができない。

 もっとも、鞘ごとぶん殴ることはできるが。


 適当に誤魔化しながらも、俺は七魔将を打ち倒した。

 

 しかし咄嗟に主人公を庇ったせいで利き腕を失ってしまった。

 まあ、別に回復魔法で生やせられるし、特に支障はないが……。


 しかし子供の情操教育上、良くないものを見せてしまった。

 さすがの主人公もこれにはショックを受けてしまったようで、泣かれてしまった。

 

 適当に慰めつつ、怪我を確認する。

 よし、主人公君もリーゼも大した怪我はないな。良かった。


 え? どうやったら強くなれるかって?

 そりゃあ、筋肉よ。

 筋肉は全てを解決する。そのためには筋トレが必須だ。


 よし、じゃあ、君にはこの剣をあげよう。

 え? 重すぎて振れない? 力が抜ける? そりゃあ、そういう呪いがあるからね。

 

 “伝説の勇者の剣”が手に入った俺には、要らない筋トレ用具だから。


 その剣で毎日、筋トレしなさい。

 勇者の剣ほどじゃないにしても、効率はいいはずだから。


 じゃあ、君が勇者に相応しい実力になったら、また会おうね。

 その時には剣を返してね。

 代わりに“伝説の勇者の剣”を渡すから。

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青星を捧げよ!

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