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第8話 美少女ダンジョン配信者




「こんルリ〜! 告知してた通り、今日はダンジョンの上層で探索配信していきまーす!」


戦闘服を着たブロンドヘアーの可愛らしい少女がダンジョンの中で空を浮かぶカメラに向かってそんな陽気な挨拶をする。


“こんルリ〜!”

“こんルリ”

“ルリルリ、こんにちは”

“¥3000 お納めください”


「早速投げ銭ありがとうございます! けど、無理ない額でお願いしますね」


“りょーかい”

“でも、つい投げ銭しちゃう”

“¥4100 これ、今月の子供の給食費です。お納めください”

“話聞いてたか?”

“結構リアルな金額で草””


「本当に無理ない金額でお願いしますね?!」


給食費ニキの登場に彼女は焦ってもう一度、カメラに向かってそう告げる。

これが登録者200万人を超える人気ダンジョン配信者――緋色ルリの配信だ。


「じゃあ、早速攻略していこうか」


ルリはレイピアを手に持つ。

その剣身は針のように鋭く尖り、柄は金色に輝き、神聖な雰囲気を嫌でも感じる。


「おっ……早速スラちゃんですね!」


彼女は青みがかった半透明のモンスター……ダンジョンで一番有名なモンスター、スライムを見つけると


「ていやっ!」


レイピアでそのスライムの核を貫いた。

核は一瞬にして砕かれ、核を失ったスライムの体は蒸発していく。


“強い”

“つよっ”

“流石にスライムだからな”

“ルリルリ、普通に中堅くらいの実力あるからな”


「あはは、流石に私も1年以上ダンジョン攻略してるんだからスライムくらい余裕だよ」


ルリは照れたように笑う。


“高校生でオーガ単独討伐してるだけあるな”

“照れてる、ルリルリ可愛い”

“よっ『聖剣使いの神童』!”

“その二つ名めっちゃ厨二臭くて草”


「もう、あんまり褒めすぎないでよ……とりあえず、もうちょっと下に潜るねー!」


“はいはーい”

“おけまる”

“頑張れ〜”

“流石に上層じゃ苦戦しないか”


ルリは道すがらモンスターを瞬殺しながら階層を下っていく。

そして


「いた、今日のお目当てのオーク!!!」


「ブォォォォ!!」


ルリの方向へ突進してくる3体の筋肉質な緑色の肌をした怪物――オークを見つける。


すると、ルリはオークへ向かってレイピアを前に突き出す。

だが、オークとの距離はまだあり、それは空を切る……はずだった。


「伸びて!」


レイピアはその言葉に応じ、淡く光ると剣身を伸ばしながらオークに迫る。


「ぶほぉぉぉ!!」


オークは剣の速さに対応しきれず、核を貫かれた。

だが、それを見ても怖気付かず、もう2体のオークがルリの左右両方から挟撃するように突撃してくる。


レイピアは斬ることが出来ない武器だ。

そのため、一体ずつしか本来なら相手できない。


そんな状況で彼女は鞘にレイピアをしまう。


その間にオークはすぐそこまで近づいて来ており、手に持った棍棒を、彼女を叩き潰すために振り上げる。


刹那、風を切るような音がした。


次にゴトン、と音がした方向にはオークの頭が転がっていた。


“スゲぇぇぇぇぇ”

“つよ”

“えげつな”

“なんにも見えんかった……”



「流石に焦ったー! まさかオークなんかが連携とってくるなんてね」


彼女はそう呟きながらレイピア……否、刀の形状をしたものを鞘に仕舞う。

所有者の意のままに形状を変える剣……聖剣。

彼女はこれを召喚する聖剣召喚という超レアスキルを持っている。

これが彼女が聖剣使いと呼ばれる所以である。


ルリは額に浮かんだ汗を裾で拭い、水筒を取り出す。

本来、オークは連携などが出来るほどの知性は無いため、今回の件は偶然とも言える。


「流石にちょっと疲れちゃったかも。一旦、ここで休憩しまーす!」


“お疲れ様”

“おつかれー”

“ゆっくり休んで”

“偶然、攻撃タイミングが重なったのか”

“それでも瞬殺するの草”

“¥10000 ルリチャンはやっぱり強いね”


「投げ銭ありがとうございます。み、みんなが言う程強いわけでもないですよ……」


“ルリちゃん、自己評価低すぎ”

“謙虚だなあ”

“個人的にBランク探索者と同じ実力はあると思ってる”

“この子がDランクとかどうなってんだよ”


「みんな大袈裟だよ〜!」


ルリは笑って視聴者のコメントに答えていく。


ちょっとしたイレギュラーはあれど、コメント欄も穏やかであり、同接はいつも通りの15000人。


「じゃあ、どんどんモンスター倒していくねー!」


特にいつもとあまり変わらない配信になるはずだった。



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