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第56話 ロックゴーレム




 そこから現れたのは俺の身長の2倍くらいの大きさの土で作られた手だった。


「な、なんじゃこれ?!」


 土の手は少し後ろに振りかぶり


「うおっ」


 俺めがけて勢いよく手が叩きつけられた。

 俺は咄嗟に後ろにジャンプすることでなんとか回避する。


“でかっ”

“こいつが本体か?”

“スマ〇ラのマ〇ターハンドみたいな見た目してるな、こいつ”

“指からビーム出てきそう”


 土の手は起き上がると今度は、周りで燃えている草を掴んでいき、その体を少し後ろに仰け反らして


「うわっ?!」


 現在進行形で燃えている草を俺に向かって投げつけてきた。


 そのまま受け止めたら絶対に服とか髪に火が燃え移るじゃん……。

 あっ、それなら逆に利用してやるか。


 俺はよく狙いを定めてショックブラストを放つと、ショックブラストは燃えている草を伴って飛んでいく。

 ……土の手に向かって。


 火を纏うショックブラストは土の手に命中し、砂埃が辺り一面に舞う。


「どうだ? やったか?」


 しかし、砂埃が晴れた時、視界に入ったのはボロボロになった土の壁と、その後ろで待ち構えている土の手であった。


“めっちゃフラグ立ててて草”

“もしかして、この平原にあるもの全てを操れるのか?”

“そもそも土だから耐火性あるんじゃない?”

“あれ? この戦いが終わったら結婚するんだっけ?”


「おい、こっちは真剣に戦ってるのにふざけすぎだろ、お前ら……」


“戦闘中にコメント欄見てる狂人には言われたくないっす”

“ほら、こんなとこ見てないで集中しろ〜”

“……あれ? 深層ってコメント欄見ながら戦えるほど楽勝な場所だったっけ?”

“こいつがおかしいだけやな”


「お前ら……」


 俺はいい加減、スマホをしまい、戦闘に集中する。


 一つわかったことがある。

 このモンスターにとって、あの土の手は守らなければならないほど大切なものであるということだ。


 もしも、土の手がただの捨て駒であれば一々、土の壁を出してまで攻撃を防ぐ必要なんてなかった。

 あの土の手は本体……またはそれに準ずるほど大切なものではないのか?


 しかし、ショックブラストを撃ってもあの土の壁に阻まれるからな……どうしようか。


 ――ゴゴゴゴ


 俺が思考を巡らせていると激しく地面が揺れ――


「グギギギ……ガガガ」


 地面から3体のゴーレムが現れた。

 あれは……ロックゴーレム、Bランク相当のモンスターだ。


 ロックゴーレムたちは俺を見つけると、俺を排除するために重い足取りで近づいてくる。


「う〜ん、面倒だな……」


 ロックゴーレムは一撃が重い一方、足と攻撃速度がとても遅いモンスターだ。

 そのため、力だけで言えばCランク相当と言われる。


 しかし、あいつの面倒なところは物理攻撃、スキル攻撃の全てを無効化してくるところである。

 唯一の倒す手段はあいつの背後についている赤い宝石を砕くこと。


 そのため、一般的に1人がロックゴーレムの気を引いてもう1人が背後から倒すという手段が推奨されているのだが……あいにく、俺は一人ぼっちだ。


「グガガガ……!」


 3体のロックゴーレムはようやく、俺の近くまで接近し、大きく拳を振り上げる。


 ……もしかして、今なら背後に回り込めるんじゃないのか?


「〈身体強化〉」


 俺は小さくそう唱えると体が薄く赤色に光る。

 今までは攻撃の隙をついて背後に回ろうとしてもロックゴーレムの振り向く速度の方が速くてできなかった。


 しかし、今は魔法がある!


 俺は強化した身体能力でロックゴーレムの背後に回り込むと――


「隙ありぃぃぃ!」


 俺のストレートはロックゴーレムが反応するよりも速く宝石に当たり、宝石を砕いた。


 よしっ! まずは一体目だ。

 これを続けていけば全員倒せるぞ。


 2体目のロックゴーレムも懲りずに攻撃しようとしてきたので俺は足に力を入れ、地面を蹴り――


「あれ……?」


 足に力が入らなかった。

 俺は咄嗟に振り下ろされるロックゴーレムの腕を両手で掴む。


「くっ……」


 自分の腕からミシミシと音が鳴った気がした。

 ロックゴーレムの攻撃威力はAランク相当。


 移動速度と攻撃力全振りで紙装甲の俺が食らっていい威力ではなかった。


 しかし、どうして俺の足に力が入らなかったのだろうか。

 俺は足に視線を向けると――


「え……?」


 そこには地面に半分ほど埋まった自分の足があった。


 違う、これは俺の足に力が入らなかったんじゃない。

 地面が沼になっているせいで地面に対して力が入らなかったのだ。


 やられた。

 やけに土の手が静かだと思ったらこいつ、こんな小細工をしてやがった!


 俺は咄嗟に思考を巡らす。


 動けない……ということはロックゴーレムの攻撃を避けられないということ。

 紙装甲の俺にこれ以上の攻撃は致命傷になりかねない。


「でも、どうすればいいんだよ……?!」


 急いで足を抜こうと力を入れても余計、足が沈んでいくだけ。

 かといってゆっくりしていたら次のロックゴーレムの攻撃が来てしまう。


「グガガガ……!」


 迫り来る2体のロックゴーレムの拳。


「〈ショックブラスト〉〈ショックブラスト〉」


 その拳が当たるギリギリで俺はショックブラストでその攻撃を弾き飛ばしていく。


 あっぶな!

 沼に入っているからか、足元がおぼつかなくて狙いを外しかけた。


 ロックゴーレムをある程度遠ざけたところで俺は別の方法を試してみる。


「〈ショックブラスト〉」


 俺は沼に向かってショックブラストを放った。

 ……しかし、泥は表面だけ飛び散るだけで大した変化はなかった。


 ダメだ、これ以上対処法が思いつかない。


 動けなければロックゴーレムの背後に回ることはできない。

 つまり、ロックゴーレムを倒すことはできない。


 ……もしや、今この状況は詰みなのか?





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