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狂人バーサーカー系ダンジョン配信者だったのですが、美少女ダンジョン配信者を助けて丁寧な対応したら実はまともなことがバレました  作者: わいん。


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第30話 リア狂に勝ったビジ狂



「んで……お前は迷惑系配信者だっけか?」


「あ、あの野郎! 逃げやがったな!」


 フルプレートアーマー男に逃げられた後、俺は迷惑系配信者と呼ばれている男に近づいていく。


 家に帰ってハーゲンダッツを食べてぐうたらする計画を邪魔したのはこいつだな。

 ぐうたらの恨み、ただでは済まさせないからな?


「さあ、迷惑系配信者! 地におでこをつけて、土下座しろぉぉぉ!」


「は、はあ? 誰がおめえみたいなクソガキに……! お前なんか偶然、強いスキルを持ってて、偶然、有名になっただけの野郎じゃねえか!」


「そうだけど? 〈ショックブラスト〉」


 俺は彼の腹部目掛けてショックブラストを放つと、彼は壁まで吹っ飛び、衝突した。


 これは彼の言葉が効いているからではない……決して違うからな? 


「俺はただの運が良かっただけの野郎だぜ? 偶然、ショックブラストっていう意味のわからんスキルを授かって、このスキルをずっと信じ続けて練習し続けてたらそこそこ強くなって、なぜか人気になっただけの一発屋だよ」


「くそっ……開き直りやがって……クソガキが」


 彼は剣を杖にしながら立ち上がると、苦しげにそう言った。


「でもよぉ、そんなクソガキをSランク探索者引き連れてボコボコにしようとしてる大の大人は誰だっけー? 挙げ句の果てに仲間に逃げられた人望もない大人は誰だっけなぁ?」


「ッチ……んなの今は関係ねえ――」


「うるっせぇ、俺の理論が全てだ、ボケが! 〈ショックブラスト〉!」


 俺は足の裏からショックブラストを放ち、高速で男に肉薄すると


「何よりなぁ! 俺はお前みたいな自分の欲望のためには平気な顔して人を傷つける奴が大っっっ嫌いなんだわ! 〈ショックブラスト〉!」


 ストレートを出し、その拳からショックブラストを放った。


“うおおおおお”

“かっけええっす! ビジ狂先輩!”

“なんか、途中で暴論になった気がするけど……かっけえええ!”

“多分、ゼウスの言葉がガチ効きしたんだろうな……”

“でも、言ってることは正論なんだよなww”

“マジでどっちが狂人だよwwww”

“リア狂VSビジ狂……勝者はビジ狂!!!”


「お前ら好き勝手言い過ぎじゃね?」


 俺はコメント欄を見つめながらそう呟くと、迷惑系配信者の方を振り向く。

 すると、彼は口から泡を吹き出して気絶していた。


 ありゃ? 流石にあの攻撃が直撃すると頭がぐちゃぐちゃになると思って、彼の頭上の壁を殴ったのだが……気絶するほどのショックがあったらしい。


「まっいいや……ダンジョンの異変の原因も見つかったし、迷惑系配信者もボコボコにしてやったし……帰るか!」


“まあ……いいのか”

“お疲れ”

“まあ……ゼウスにはイラついてたし、ボコボコにしてくれてサンキュー”

“お疲れー”


 ――――――――



「……何がどうなってやがる」


 俺は鳴り止まないスマホのバイブ音に起こされた。

 確か俺は目覚ましはつけていなかったはずだ……じゃあ、この音は全部……SNSの通知?


 嫌な予感しかしない……マジで嫌な予感しかしないんだけど!!!


「よし、一旦落ち着こう……」


 落ち着け、俺。

 大丈夫だ、きっと大したことじゃないさ……。


 ――だから、一旦、もう一回寝よう



 ――――――――



「……何がどうなってやがる……」


 3時間後。

 二度寝を終えた俺は、スマホの画面を見ながら呆然とそう呟いた。


『トレンド1位おめでとー!』

『流石! 救世主柊!』

『迷惑系探索者の成敗! 襲われていた男の救出! 流石やね!』

『リア狂に勝ったビジ狂』


 ……うん、本当にどうしてこうなったんだよ。


 どうやら、俺が助けた青年が俺のことを良い人だと言いふらしたらしい。

 いやさぁぁぁ!!! 緋色さんの時もだけど、どうしてこんなにみんな俺の敵になるんだよぉぉぉ!


 いやさ、君たち俺に助けられたんだよね? ちょっとくらい俺の味方してくれても良くない?

 そんなに俺に恨みあるの?


「もう……どうしろって言うんだよ……」


 俺の狂人バーサーカー系配信者というイメージは、より崩れていくのであった。



 ――――――――


『先日、逮捕された野山太郎容疑者について野山容疑者の住んでいた地域の住民に容疑者の印象をインタビューしてみました』


 次に現れたのは少し汚れた家の玄関に立ってマイクを向けられている60歳くらいのお爺さんだった。


『事件前の野山容疑者に対してどのような印象を持っていらっしゃいましたか?』


『……礼儀正しい若者だとおもっとったよ。会った時には毎回挨拶をしてくれるし、ワシがゴミを捨てにいくのに苦労していた時、代わりにゴミ捨て場所までゴミを持っていってくれたこともあったからな』


 お爺さんはやるせなさと悲しみが混じった複雑な表情でそう答えた。


『なんと! 迷惑系配信者でもあった野山容疑者は地域では評判が良かったのですね!』


『……ああ、そういえば1ヶ月前から少し様子が変だったな。挨拶は返してくれなくなったし、気味の悪い笑顔を浮かべるようになっておったからのう』


『ほう……どうやら野山容疑者に事件1ヶ月前に何かがあったようです!』


 その後、軽くコメンテーターが何かを言うと、今度は天気のニュースに移り変わっていった。







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黒幕ありか
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