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狂人バーサーカー系ダンジョン配信者だったのですが、美少女ダンジョン配信者を助けて丁寧な対応したら実はまともなことがバレました  作者: わいん。


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第24話 シャレにならない――




「20体目ぇぇぇ!!!」


 高揚感と全能感と共に俺はゴブリンたちを殴っていく。


 右、左、後ろ……至る所から不規則的にゴブリンたちは攻撃してくるが、俺はそれを屈んだり、体を傾けたりして回避し、すぐさま反撃していく。


 そうしていく内にみるみるゴブリンの数は減っていった。


“あ、こいつやったな”

“絶対、めんどくさくなって狂化スキル使っただろ”

“もう、めちゃくちゃじゃねえか”

“でも、強いから何とかなってるんだよなぁ”

“なんだ? この化け物? 新種のモンスター?”


 俺はコメント欄にドン引き?されながら全てのゴブリンを倒していくのであった。



 ――――――


「ふう……疲れた」


 ゴブリンを全員倒し終え、狂化スキルの効果も切れたところで俺はカバンから水を取り出して飲んでいく。


“お前、狂化スキル使っただろ?”

“やったな?”

“もうネタ割れてんだよなぁ”


「狂化スキル? 何のことだかわからねえなぁ?」


“しらばっくれて無駄だぞ”

“あの切り抜き、100万回再生される程、有名になってるからな”

“柊『今日は新しく手に入れたこの狂化スキルを試してみようと思います!』”


「だ、誰のことを言ってるんだか」


 マジで俺の過去の配信の切り抜きを広めた奴は誰なんだよ……。

 配信のアーカイブからコメント欄を辿り、ユーザー名は特定できたのだが……ユーザー名は『nnmm』。

 正直、誰なのか全く見当が付かなかった。


「それはそうと、3階層でこの数のゴブリンが現れるのは明らかに変じゃないか?」


“うわ、話題変えた”

“ずるいぞ”

“まあ、確かにおかしいな”

“一旦、ゴブリンの件優先か”

“マジな話、スタンピード起こってるんじゃないの?”


「スタンピードの可能性は俺も考えてみたんだが、それにしてはモンスター単体の強さが弱すぎると思わないか?」


 ちなみにスタンピードとは、溢れ出したモンスターが別階層や地上に出てくる現象のことである。

 主に探索者があまり活動していないダンジョン・階層で起きる。

 そのような場所ではモンスターの数が増えすぎてしまうため、モンスターの数がその階層の規定モンスター量まで増え、モンスターは他の階層に移動し始めるのだ。


 これが連鎖的に起き、最終的に上層に中層のモンスターが大量に発生したり、中層に下層のモンスターが発生したりする。

 ……これが一般的なスタンピードの解釈である。


 今回の例では、さっきから大量の数が現れているものの、ゴブリンも灰狼も両方とも上層で現れるモンスター。

 スタンピードであれば、上層には中層からモンスターが溢れてくるため少しおかしい。


「それと……さっきのゴブリン、何故か下の階層に移動していたし」


 スタンピードでは上の階層にモンスターが移動することはあっても、下はほとんどない。

 一体、何が起きているのだろうか?


「何か視聴者共、考えはないか?」


 俺はコメント欄に助けを求めた。


“下の階層への移動かぁ……”

“何が起こってるんやろな”

“そもそもモンスターが階層移動するのってどんな時だっけ?”


「モンスターの階層移動はスタンピードの時とか……自分より格上のモンスターの気配を近くに感じた時だな」


“じゃあ、格上のモンスターがいたってことなのか?”

“馬鹿言え、モンスターは下に向かってたんだぞ? その理屈だとすでに調査した1、2階層に格上のモンスターが居たってことだぞ?”

“モンスター……か”

“そういえば、今、新種の超強いモンスターがいたな”

“うん。それも俺らの目の前に”


「おい? 狂化スキルを使うからって俺をモンスター扱いするな?」


 にしても、どうしたものか。

 考えても考えても原因がわからない。


 仕方がない、こういう考察はダンジョン協会の人に任せて俺は調査をするとするか。


「じゃあ、とっとと4階層行くぞー」


“魔石は回収しないんやな”

“そこはマジの狂人なんだよなぁ”

“これで回収しない理由が親に怒られるから、とかだったら面白い”


 マジでコメント欄の人、察しが良すぎるだろ。

 前世、神様か?


 俺は階段を降りると、目の前にはさっきと同じような景色があった。

 一見すると……普通だな。


 俺は少し走りながら辺りを見渡していく。


「ゴブゥ!」


 途中、1体のゴブリンに絡まれたのでテキトーに頭を殴っておく。

 他にもゴブリンには稀にエンカウントしたが、一度に1体から3体と、常識的な範囲の数である。


 階段の方も確認してみたが、異変はなかった。


“マジで普通だな”

“ブラックフェンリルの一体でも現れないかなー”

“ブラックフェンリルさーん、狂人はここですよー!”


「おい、ブラックフェンリルだけは呼ぶな? シャレにならない――」


 ――刹那、下の階層から『ウオオオォォン』という狼の咆哮が聞こえた。


「……嘘だろ?」


 俺はその咆哮がブラックフェンリルのものではないことを祈りながら第5階層に向かうのであった。




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― 新着の感想 ―
迷惑系の話にすぐ繋がるやつじゃないのか
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