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狂人バーサーカー系ダンジョン配信者だったのですが、美少女ダンジョン配信者を助けて丁寧な対応したら実はまともなことがバレました  作者: わいん。


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第23話 結論、殴ろう!!!




「キャウゥン……!」


 4体の灰狼ローウルフは壁にぶつかり、そのまま光の粉になって消えていった。


“流石、ビジ狂”

“つよ……”

“瞬殺すぎてバーサーカー演じてるのか、素なのかわからんww”

“いや、普通に考えて2階層でDランクモンスター5体はおかしいだろ”


「俺が初心者だった頃は2階層だと居ても灰狼ローウルフ2体だったと思う、流石に5体が連携を取ってくるのはおかしい」


 しかし、どうしてなんだ……?

 スタンピードと言うには、数が少ないし、モンスターも弱すぎるような……?


 とはいえど、まだ2階層しか調査していないのに、スタンピードではないと判断するのは早計だ。


「しかし、まだ2階層か……」


 このままでは下層に辿り着く頃には日が暮れそうだ。


「少し、ペース上げるぞ」


 俺は駆け出した。



 ――――――



「3階層は……普通そうだな」


 俺は辺りを見渡しながら走っていくが、俺の目には数匹のスライムや灰狼ローウルフしか映らなかった。


「キュイィッ!!!」


 走っている俺目掛けてスライムが飛び込んでくる。


 基本的にモンスターは無視しているのだが、こちらを攻撃してきたのなら別だ。

 俺は飛び込んできたスライムを掴み、遠くに向かって投げる。


「キュイィィィ……」


 徐々に遠くなっていくスライムの鳴き声。

 すまんな、こっちはお前の相手なんてしてる暇ないんだわ。


 そうして数分で3階層のほとんどを調査し終えた。


 どうやら、この階層は異常無しのよう――


「なんだあれ?……」


 俺が異常なしと判断しようとしたその瞬間、遠くに大きな緑色の塊が見えた。


 あれは……確か俺が唯一、まだ調査していない階段周辺だ。

 どうせ、4階層に降りるときに通るので後回しにしていたのだ。


“何があったんや?”

“なんだあの緑色”

“モンスター?”

“馬鹿言え、3階層にあんなにモンスターがいるわけ……”


 俺は目を凝らしてあの緑色の塊をじっと見る。

 よく見ると緑の塊は横に長く、所々、突起があった。

 それらの突起は手足のように動いているようにも見えて……。


 まさか、あれって――


「モンスター?」


 あの少し燻んだ緑色に、まるで人のような手……俺は少し既視感を感じた。


 確かめるために俺はカバンから双眼鏡を取り出し、覗き込むんで見ると――


「ゴブリン?!」


 そこに映ったのは大量のゴブリンだった。

 少なくとも30体はいる……。


 さらに観察するとどうやらゴブリンたちは階段に向かって歩いているようだった。


 待て、おかしい。

 モンスターは階層を移動しないはずだ。

 なぜなら、モンスターは階段や他の階層を本能的に嫌うからである。


 もしも、階層移動をしようとしているのであればその本能を覆す何かがあったとしか思えない。


 ……しかし、考えても考えてもその何かの正体が思いつかなかった。


 仕方がない、こうなれば俺のやるべきことは一つだけである。


「よし、全部、倒すか!!!」


“え?”

“だ、大丈夫そ?”

“頭も大丈夫そ?”

“いってら、遺骨は拾ってやるよ”


「死ぬ前提で話すな? ちょっとお前ら俺のこと舐めすぎじゃないか?」


 ここは狂化スキルを使って、少し俺がどれほど強いのか知らしめてやらないと。


“だって見知らぬ人に対して150万円のポーションを分けてあげる親切で謙虚な凄く強い探索者だもん”

“ビジ狂だからなぁ”

“はいはい、そう言って狂化スキル使うんでしょ?”


「っ……」


 完全に読まれていた。

 視聴者の俺への理解度高すぎないか?


「あーもう! もうヤケクソだァ! 〈ショックブラスト〉」


 俺は狂化スキルを使わずにショックブラストで加速し、ゴブリンの集団に突っ込んでいく。


 近づくと、ゴブリンの集団の全容がわかってくる。


 数はざっと50体。どれも上位種ではなく普通のゴブリンだ。


 ……おかしいな。ゴブリンの集団の多くは上位種が率いているため一体くらい上位種がいてもおかしくない。

 むしろ、ここまで大きな集団で上位種が居ない方がおかしい。


 こんなことあるのか?


「ゴブゥ!!!」


 俺の存在に気づいたゴブリン一体が叫ぶ。

 すると、他のゴブリンたちも全員がこちらを振り返ってきた。


「ゴブゴブ」

「ゴブゥ」

「ゴブッ!」


 奴らは棍棒や短剣を構えると、じっと動かずにこちらの動向を見てきた。

 場は一触即発の状態になる。


「じゃあ、こっちから行かせてもらうぜ? 〈ショックブラスト〉!」


 戦いの火蓋を切ったのは俺のショックブラストだった。


 俺はショックブラストを集団の中心に向かって、ゴブリンとゴブリンの間を縫うように放つと――


「ゴブゥ?!」


 大量のゴブリンたちが四方八方に吹っ飛んだ。

 しかし、どうやらダメージはそこまでだったようで、吹っ飛んだゴブリンたちは立ち上がって武器を構える。


「でも、これでいい! 〈ショックブラスト〉!」


 今度は加速のためにショックブラストを使った。

 俺はゴブリン集団のゴブリンの少ない空間に向かって突撃し――


「恨むならコメント欄を恨めよ?」


 通りすがりに次々とゴブリンを殴っていく。


 さっきのショックブラストはゴブリン同士の距離を遠ざけるために使用した。


 何度も言うが俺は範囲攻撃ができず、1体ずつしか相手できない。

 そのため、あそこまで密集されていると1体を相手している間に他のゴブリンに囲まれたり、横や後ろから攻撃されてしまうのだ。


「5体目!」


 俺は正面のゴブリンの顔面を殴る。

 刹那、背後から気配を感じたため、後ろ蹴りを入れる。


「ゴブゥ?!」


 後ろにいたゴブリンはそのまま吹き飛び、光の粉になって消えた。


「にしても、ちょっと面倒だな……」


 ちょっと面倒だし……ちょっと危険だ。


 殺気や気配で不意打ちは防げているのだが、気配察知の成功確率は100%じゃない。

 やり続ければいずれ、失敗する時が来る。


 ……まあ、そうは言っても今までミスったことなんてないんだけどな。


「〈ショック〉〈ショック〉」


 とりあえず、目の前のゴブリン2体に対してショックブラストを放つと、後ろのゴブリンたちを巻き込んで吹き飛んでいく。


 しかし、光の粉となって消えたのはショックブラストが命中した2体だけだった。


 さっきの灰狼なら、これで後ろの奴らも倒せたのにな……。

 仕方がない、あれを使うか。


「〈狂化〉」


 配信に乗らないくらいの小声で俺はそう言った。


 結局、小賢しい真似や頭を使って策を練るより、狂いながら拳で殴るのが一番!


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