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狂人バーサーカー系ダンジョン配信者だったのですが、美少女ダンジョン配信者を助けて丁寧な対応したら実はまともなことがバレました  作者: わいん。


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第18話 もしかして、犯人じゃね?



 そこから数日後。


「あっ、柊さん、こっちです!」


 そこには、笑顔でこちらに向かって手を振って歩いてくる美少女が一人。


 あの後、『では、オーナーに挨拶したり、加入時の説明などをしたいので金曜日に集まれますか?』

 と言われ、俺は緋色さんに指定された待ち合わせの場所である噴水の前に来ていた。


 彼女は白いワンピースを着ており、それが彼女のブロンドヘアーとよく合っている。

 ……何というか、半年前に膝枕してれた子も美少女だったけど、緋色さんもとんでもない美少女だ。

 恐らく、美人という観点で見れば緋色さんに軍配が上がるだろう。


「じゃあ早速行きましょうか」


 彼女はそう言って俺の隣を歩いていく。


「今日は時間を空けてきてくれてありがとうございます、柊さんは凄く強い探索者ですし、忙しかったでしょうに」


「いえ……今は夏休みなので俺は配信をしていない間はそこまで忙しくもないですよ」


 筋トレやイメトレは当然、家でもやらないといけないが、それでも夏休みなので時間に余裕はある。

 俺たちは平日のいつもより、少し人の少ない街中を歩いていく。


「そういえば、柊さんも高校生でしたね」


「ええ……よく知ってましたね」


 彼女はまるで元々知っていたかのような口調だった。

 確かに配信で何回か言ったことはあるが……。


「だって柊さんと私、同じ高校じゃないですか」


「……はい?」


 同じ……高校?!

 俺は必死に過去の記憶を辿るも彼女のような見た目をした女子生徒を見た記憶は見つからない。

 というか彼女のような大物配信者となれば学校にいるだけで噂として嫌でも彼女の名前が耳に入ってきそうだが。


「えっと……勘違いとかじゃないですか?」


「それはないと思いますよ、柊さんの家に行く時、柊さんの中学からの同級生の人に家を教えてもらったので」


「……そういうことか」


 なぜか住所がバレていると思ったらそういうことだったんだな。

 もしかしたら、何か非合法な手段で住所を特定されたのかと思ったが、杞憂だったようだ。


「でも、それにしては学校で緋色さんの話聞きませんね」


 俺がそういうと彼女は少し考える仕草をし


「ああ、それですか……私、学校では結構がっつり変装しているので、一部の本当に仲がいい友達以外、配信者の緋色ルリだってことを知らないんですよ」


 肩をすくめてそう言った。


「ダンジョン探索者は怪我や不測の事故なんかで続けられなくなることがあるかもしれないですし、配信だっていつまでも続けられるとは限りませんから……だからこそ、私はあの学校で普通に勉強したいんですよ」


 彼女の目はどこか遠くを見つめていた。


 彼女のその言葉に俺は感心する。

 俺はダンジョン探索がとにかく、したくて我武者羅に探索と配信をしているだけなのに、彼女は将来のことをここまで考えているのか。


「そういうことですか……」


 ただ、感心する一方で考えすぎだとも思う。


「でも、柊さんの名前は学校でかなり有名ですよね」


「うっ……」


 緋色さんが変装をして、身バレ防止をしている一方、俺はそういうのを一切していない。

 そもそも、最初は全然登録者がいなかったため、必要がなかったのだ。

 しかし、膝枕事件の後、俺の名前が学校でチラホラ噂されるようになった。


 現在は……うっ、考えたくない。


「でも柊さんは私と同じ歳なのに、そういう細かいことを考えなくてもいいほど、強いですからね。私と違って、気にする必要はないと思いますよ」


 俺はその言葉に少し彼女との距離を感じた。

 彼女は未来のことを恐れているのだ。


 しかし、登録者が200万以上いるのに何故、そこまで――


「あっ、着きましたよ」


 彼女は目の前の白いビルを指差し、そのままビルの中へ入っていく。

 ビルといっても、このビルそんな高層階まであるわけでもない。

 しかし、建てられたのは最近らしく、壁には汚れがなく、真っ白だった。


 俺も彼女の後ろをついていくと、途中で建物のテナント看板を見つける。


 1階と2階の部分に『探索者クラン:ハイス』と書かれており、他の階層には別の探索者クランの名前が書かれていた。


 すると、前から大きなカバンを持った男性がやってきた。

 あのデザイン……あれは高ランク探索者がよく愛用するブランドの鞄だ。

 つまり彼は――


「おっ、ルリちゃんじゃないか」


「太田さん!」


 太田と呼ばれた男は爽やかな笑顔で緋色さんに挨拶する。

 くっ、イケメンを見ると発作がぁぁぁ。


「太田さんは今からダンジョン探索ですか?」


「いや、少しアイテム整理をしてるだけだよ。そういうルリちゃんは……新人の勧誘かい?」


 イケメン男は俺の方を見るとそう言った。

 が、段々と表情が驚いたものに変わっていく。


「待った、もしかして君、あの超話題の柊君か!?」


「ま、まあ……」


 俺は少し気まずさを感じて視線を下にズラす。

 俺は知ってるぞ、俺は探索者としてでも配信者としてでもなく、ビジネス狂人として有名だということを!


「いやあ、まさかこんなところで会えるとは……実はうちのオーナーが君の大ファンっぽくてさ。なんでも同接が一人くらいの時から見続けている最古参だとか」


 最古参、最古参……。

 俺は直近の配信が頭をよぎる。


 もしかして、俺の〈狂化〉スキルのことをバラした犯人じゃね?



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オーナー氏 やりやがったな
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