【初見の人へ1】第三十話までのあらすじ
新中華界域脱出で話が一段落ついたので、いったん過去のあらすじをまとめておきます。
第三十一話からは1989年編。とりあえずあらすじだけ読んでおけば、1989年編だけでも読めます。
<あらすじ>
主人公、高田翔平は北京生まれ日本育ちの日本人。五徹が余裕、超健康、外見はずっと26歳という伝説のブラック企業社員。だが、かつて3歳のとき、中国武装警察隊員の男・王昊天により両親を惨殺された過去を持つ。1989年6月4日、中国現代史上最大の事件である六四天安門事件の夜のことだった。
いっぽう、そんな翔平の「監視」任務を命じられた中国大使館員・アイス(白希冰)。もとは党体制の最高の名家の出身(紅二代)なのだが、政治的後ろ盾のおじさまが失脚。日本に左遷され、懲罰任務として「日本で最も働き方がブラックな人」(=翔平)の監視を命じられていた。本来は完璧なエリート外交官、ただし性格は超冷淡。もはや回復不能なキャリアと一族の失脚を嘆く没落共産貴族。それが彼女だ。
しかし、2027年6月4日、天安門事件記念日。
都内で突如、中華系ハッカーによる大規模なサイバーテロが発生。200人以上の被害が出る。翔平がアイスと食事中だったカフェにも、マシンガンを搭載した戦闘用ドローンが飛来。翔平はアイスを乱射からかばい多数の銃弾を身に受けるが──、無傷。彼はなぜか、かつて1980年代に研究が行われていた中国版超能力(人体特異効能)「刀槍不入」の継承者だったようなのだ。
やがて、テロの実行者たちがミャンマーのサイバー中華軍閥「新中華界域」であると判明。その指導者は、なんと38年前に翔平の両親を惨殺した王昊天と同名の人物だった。
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翔平とアイスは、それぞれの立場で新中華界域に渡航する。そこで見たのは、中国共産党の真の理想を実現するべく、極度に効率化された統治思想と科学技術・金融政策・通貨管理・サイバー軍事技術の粋を集めた「中華の民のユートピア」。その裏側にあるのは、凄まじい格差と階層社会、AI監視体制、イデオロギー支配と愚民のコントロールという、中国の毒を最大限に煮詰めたような暗黒世界であった。
滅びた白一族の再興を主張する界域序列3位、チャガンの意見により、新中華界域の象徴元首に推戴されたアイス。だが、ぎりぎりでその放棄を決め、凶悪なサイバー監視体制のなかで決死の逃亡を試みる。逃亡は失敗したが、そこに出現した謎の男・レックスの意向で2人は日本への帰国を許された。
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翔平の手元に残ったのは、レックスから渡された、両親がその死の直前に書いたノート。人体特異効能の正体と両親の死の秘密を知り、王昊天の野望を止めるには──?
その答えは1989年5月。天安門事件前夜の北京にあった。




