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序章ー時代に求められた者達の果てにー
君の待ち人は来ないよ…それだけは確かなことではないかな?
結論として浴びせられたその言葉に反論のひとつも返せなかったことは悔やみきれない心の傷だ。
それは古傷となった今でもなお自分の存在を主張している。
「現実」という名前を得たその傷口は私だけではなく周囲の皆の可能性や未来への展望を封印するに至り、「自分こそは唯一無二の”事実”なのだ」という自認を持つほどとなった。
挑むことも抗うことも許容してはくれない茨の枷となったその「現実」はいよいよ日々の暮らしからも安息を奪おうとしている。
そしてかつての誓いに捧げたこの命と魂もいよいよ契約の対価として消費する時が来てしまった…
新たな秩序の構築のために。