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偽者であり、真者でも。
ライブは終わり、休憩室に向かっていた林一。
今はとても静かで、林一がここで素を出していた。
「今日も、嘘が上手くいった…。」
誰もいないと思って安心していると、
聞き覚えのある声が聞こえた。
「林一。」
その声は、落ち着いた声で、林一の後ろにぽつんと
静かに立っていた。
「っ!……。」
林一は、自分以外の人の存在を見つけ、
びっくりしながらも、いつも通りにしようとする。
「なんだ、“錬”じゃないか!」
「なんか僕に用とかあるのかい?すまないけど、
今は休憩中だから後で――」
「林一。」
林一は、ほっとし、いつもの嘘の自分を演じながら
いつも通りに振る舞う。
…だが、錬が構わず呼び出す。
「…何、ちょっと怖いじゃないか錬!」
林一は、ちょっとしたからかいで言っていた。